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10月、山手線で線路切替の工事 大きな目的と迂回ルートの重要性

小林拓矢フリーライター
工事当日は注意して山手線を利用しよう(写真:kawamura_lucy/イメージマート)

 10月22日(金)の終電後から、25日(月)の初電まで、渋谷駅において山手線内回りの線路切換工事が行われることになった。

 渋谷駅が、時間をかけて変わりつつある。東急東横線の地下化に始まり、東京メトロ銀座線ホームの移設・島式ホーム化、JR東日本埼京線ホームの移設と、周辺の施設の改良と合わせながら迷いにくい、使いやすい駅へと変化するべく、少しずつ前進していった。

 当然ながら、その流れの中で山手線ホームも変わっていく。2面2線の狭いホームから、1面2線の広いホームを将来はめざす。

 JR東日本の渋谷駅は、従来は山手線のホームがあり、埼京線の延伸にともないかなり南側にホームが付け足されたという形になっている。当時は、現在の埼京線ホームがあった場所には東急東横線の地上駅があり、そこにホームをつくることはできなかった。

 副都心線と東急東横線の直通が決まり、この状況が大きく変わることになった。

今回の工事の概要と、今後の見通し(JR東日本プレスリリースより)
今回の工事の概要と、今後の見通し(JR東日本プレスリリースより)

東横線の地下化がドミノ倒しのように渋谷駅周辺を変えていく

 渋谷駅周辺は長年、再開発を続けている。そのキーとなったのが、東急東横線の地下化だった。副都心線と直通したというだけではなく、その後の大規模な渋谷駅周辺の再開発と、線路再編のもとになった。

 東京メトロ銀座線はJRと直結、渋谷スクランブルスクエア開業でJRと東急を縦方向で移動することが容易になり、より動線がわかりやすくなった。

 しばらくは工事が続きわかりにくいことがあるかと思われるが、終了時には渋谷は使いやすい駅になる。

なぜ山手線の内回り線路切換工事は行われるのか

 渋谷駅の山手線ホームは、内回り・外回りで分かれているものの、どちらも狭いということが問題になっていた。そのため、内回りと外回りのホームを一つにし、広いホームへと拡幅しようとしている。その拡幅の一段階として、今回の内回り線路切換工事と、山手線内回りホーム拡幅が行われようとしている。

 以前は2度にわたる埼京線のホーム切換工事で、埼京線が上下線止まることになった。今回は内回りだけとはいえ各駅停車路線の山手線が止まるということになり、影響は大きいと考えられる。

 内回りホームの拡幅は、こののちの外回りホームの統合とあわせて準備が行われるため、工事のための仮囲いスペースが広がることにもなる。そのスペースを確保するための拡幅である。

山手線内回り線路切換工事でホームが拡幅される(JR東日本プレスリリースより)
山手線内回り線路切換工事でホームが拡幅される(JR東日本プレスリリースより)

 線路をやや東側に移し、そこで得られたスペースで拡幅するということになっている。

 この拡幅では何に注目すべきか。

工事のために内回りだけ運休

 渋谷駅の山手線ホームの構造が特殊だからかもしれないが、まずは内回りだけ運休するということに着目したい。運休するのは全線ではなく、池袋~新宿~渋谷~大崎間である。つまり、それ以外の内回りは運転する。だが、その内回りも、約10分に1本。外回りは池袋~東京~大崎間は3分から4分にかけて1本、大崎~新宿~渋谷~池袋間は4分から7分にかけて1本となっている。なぜ大崎や池袋で山手線は折り返しなのか。新宿や恵比寿ではないのか。

 大崎や池袋は、山手線の始発や終点となることができる駅だからである。両駅とも車両基地があり、これらの駅始発の列車も時々見られる。この間に折り返し設備のある駅が山手線にはない。

 今回の山手線内回り線路切換工事では、埼京線・りんかい線が新木場~大崎~赤羽間を増発し、相鉄線直通列車が新宿~池袋間を延長運転する。この延長運転は新宿駅の2番線ホームで相鉄線直通列車がふさぐのを防ぐためだろう。

 注目すべきは、品川からの山手貨物線を使用し、品川~新宿間で臨時列車を運転するということである。山手貨物線といえば山手線に並行して湘南新宿ラインや埼京線が走っている路線と一般には思われるが、その名の通りもとは貨物線で、品川まで延びている。この路線では大崎にホームはなく、品川から恵比寿まで無停車である。大崎にあるホームは支線のホームである。かつてはこの線路を使い、品川発の東北方面への列車が運行されたこともある。

当日の運転計画概要(JR東日本プレスリリースより)
当日の運転計画概要(JR東日本プレスリリースより)

 この路線が、旅客用として使用されるのだ。ここに入る車両はどんな車両なのか、ふだんは「成田エクスプレス」くらいしか見られないこの区間はどんな車窓風景なのかということも、注目すべきだろう。また品川ではどのホームを使用するかも気になる。

 今回の工事で、ふだんはなかなか乗れない路線に乗ることができる。

 で、当日はどうすべきか?

混雑が予想、別路線を利用しよう

 この線路切換工事の当日は、山手線がふだんより混雑する。本数が少ないからだ。迂回乗車を積極的に活用しよう。おそらく、各種乗換案内アプリも対応するはずである。問題は、山手線でしか行けない駅である。ただ、そういった駅は目白と新大久保しかないといえる。原宿は東京メトロ千代田線や副都心線の明治神宮前に直結し、そのほかの駅も私鉄や地下鉄がある。振替輸送も設定されている。

 新大久保や目白といった駅を利用する場合も折り返し乗車など複雑なことをやらなければならない。たとえば新宿から目白に行ったら、目白から帰るときにはいったん池袋に行き埼京線に乗って新宿へ、というケースが思い浮かぶが、この場合、交通系ICカードは新宿と目白を行き来した、と読み取ることになる。

 迂回ルートを積極的に利用し、混雑を避けて移動しよう。

 今後もJR東日本渋谷駅では、ホーム拡幅にともなう工事が行われる。その際に、今回と同様の対応が取られることになることが予想される。山手線が運休するとどうなるかがわかる機会となる。

フリーライター

1979年山梨県甲府市生まれ。早稲田大学教育学部社会科社会科学専修卒。鉄道関連では「東洋経済オンライン」「マイナビニュース」などに執筆。単著に『関東の私鉄沿線格差』(KAWADE夢新書)、『JR中央本線 知らなかった凄い話』(KAWADE夢文庫)、『早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした』(講談社)。共著に『関西の鉄道 関東の鉄道 勝ちはどっち?』(新田浩之氏との共著、KAWADE夢文庫)、首都圏鉄道路線研究会『沿線格差』『駅格差』(SB新書)など。鉄道以外では時事社会メディア関連を執筆。ニュース時事能力検定1級。

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