鮮魚も運ぶ新幹線 高速輸送能力を使ってどんなサービスを行うべきか

新幹線の速達性はさまざまな形で利用できるはずだ(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

 新幹線は、速い。その速さゆえに多くの人が新幹線に乗る。この速さを使ったサービスをもっと広げられないか、ということは多くの人が考えているだろう。

 6月11日に、新幹線の速達性を利用した新鮮な魚介類輸送の実証実験が行われた。新潟県佐渡島で採れた南蛮エビをジェットフォイルと上越新幹線を使用し品川へ、岩手県宮古市で採れたウニを岩手県北バスと東北新幹線を利用してやはり品川へ。駅ナカの鮮魚店に並べられた。

 東京では味わえないような新鮮な魚介類、とくに佐渡島の南蛮エビは足が速く、東京で食べることはほぼ困難といってもよかった。そんな生鮮食料品が、新幹線の速達性を利用することで食べられるのだ。

 では、新幹線を利用した荷物輸送サービスというのは、これまでなかったのだろうか。

新幹線を利用した輸送サービスがかつてあった

 1981年には、東京~新大阪・大阪間で東海道新幹線を利用した「レールゴー・サービス」という小荷物輸送サービスが開始され、同年には山陽新幹線博多まで延長された。86年には集配サービスも行う。このサービスは2006年まで行われていた。

 東北・上越新幹線ではいまも行われている。JR東日本の子会社・ジェイアール東日本物流では、「新幹線レールゴー・サービス」というサービスを行い、東京~仙台・新潟間で小荷物の輸送を行っている。

物流企業が行う速達サービス

 一方物流業界でも、広域速達サービスは行っていた。郵便でも、飛行機や新幹線を利用して主要都市間を結ぶサービスが、2003年まで行われていた。

 バイク便業者の「ソクハイ」は、東京~大阪間をバイク便と飛行機のリレー輸送で配送する「東京大阪即配便」や、地方に新幹線や飛行機を使って届ける「ハンド即配便」といったサービスも行っている。

 郵便での広域エリアでの当日配達サービスは不採算ゆえに公社化・民営化の際に消えていったものの、お金をかけさえすれば高速輸送が可能なバイク便事業者のサービスは、いまも続いている。

 ニッチな需要、とはいえるかもしれない。しかし、新幹線を使った高速輸送サービスを何かできないものだろうか、とは考える。

「鮮度の高い」ものを運ぶ

 高速輸送を必要とするものは、なによりも「鮮度」が要求されるものだ。今回の実証実験で行われた魚介類というのもそういったものだろう。

 ある高級寿司店が、鯛をにぎらない理由として、東京では明石の鯛が手に入りにくく、手に入ったとしても鮮度の問題があるということを言っていた。ならば、午前中に採れた明石の鯛を、東海道・山陽新幹線に載せて東京まで運び、夕方には銀座の主要な寿司店にまで届けるというサービスが行われてもよい。

 逆に東京発で「鮮度」が大事なのは情報である。仙台や新潟では、『日刊ゲンダイ』『夕刊フジ』『東京スポーツ』などの夕刊紙は、発売翌日朝に駅の売店に並んでいる。しかし新幹線を使えば、発売当日の夕方には店に並べることができる。東京ではこれらの新聞は、正午ごろには店に並んでいるからだ。

 地方の新聞を東京の駅売店に並べる、ということはすでに行われている。東京駅の一部の駅売店には、『下野新聞』『上毛新聞』『新潟日報』『北國新聞』といった、新幹線沿線の新聞が並んでいる。早い時間帯の新幹線で東京駅まで運び、売店に並べるのだ。当日の午前中にはすでに店頭にある。

 新幹線の高速輸送能力は、旅客だけのものではないはずだ。扱いの面倒くささという課題さえなんとかすれば、さまざまなものを高速で輸送できると考えられる。

 みなさまもどんなものを新幹線で運べばいいか、考えていただきたい。