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那須川天心の次に軽量級の主役になるのは誰だ?RISE WORLD SERIES開幕が近づいてきた

清野茂樹実況アナウンサー
今年のWORLD SERIES優勝候補の志朗(写真:日刊スポーツ/ アフロ)

東京ドームを一杯にしたキックボクシング興行「THE MATCH 2022」から1年、RISEのトーナメント戦「RISE WORLD SERIES 2023」が7月2日に幕を開ける。日本と世界のトップ選手8名を集めたこの大会で主役となるのは誰なのか?今秋まで開催される大会の意義と注目選手について解説したい。

4年ぶりの本格復活

RISE WORLD SERIESとは2019年にスタートしたトーナメントで、世界の強豪を招聘することからこの名称が付けられた。ABEMAによる無料中継開始のタイミングとも重なり、58kg級を制した那須川天心、61kg級を制した白鳥大珠の知名度はさらに上がった。ところが、翌年に巻き起こったコロナ禍によって、海外選手の入国が閉ざされたのはご存知の通り。この期間は国内選手中心のトーナメントに変更されていたものの、今年はコロナ関連の制限がなくなって、晴れて4年ぶりに本来のトーナメント戦が復活するのである。

本命は天心のライバル志朗

ここまで読んでWORLD SERIESの大会価値はお判りいただけたと思うが、続いて注目してほしいのが、今年は階級が初めて54kg以下に設定されたことである。この体重設定はバンタム級とスーパーフライ級の中間で、現在のRISEで層が最も充実している2つの階級から選手が参加できるからだ。その中心に存在するのが、現役のRISE世界バンタム級王者の志朗である。15歳から渡泰してムエタイを経験。リングを上手に使って攻撃を当てる技術力は高く、4年前のWORLD SERIESでは那須川と優勝を争った実績を持つ。「那須川天心を最も追い詰めたライバル」であり、経験値は頭一つ抜けた存在だと言ってよい。

対抗は12連勝中の大﨑

そして、対抗と目されているのは、RISEスーパーフライ級王者の大﨑一貴だ。大﨑は2020年からRISEに参戦。つまり、4年前の大会にはまだ不在だったわけで、この間に頭角を現した選手である。後ろ回し蹴りなど空手をベースにした派手な技を持ち、強さはライト層にも伝わりやすい。海外選手との対戦経験も豊富で、RISEのリングでは12連勝負け無し。さらにその前から数えると18連勝中であり、今、軽量級で最も勢いに乗っている男と言ってよいだろう。志朗とはこれまで二度も対戦が流れており、決勝戦での顔合わせに期待がかかるところだ。

主役になるチャンスは誰にでもある

先述した通り、トーナメントは志朗と大﨑が注目されるが、彼らの他にもフライ級とスーパーフライ級で二階級を制した田丸辰、そして海外の強豪5名を加えた計8名によって3大会をかけて争われる。さらにリザーブファイトにエントリーしている風音は志朗に、政所仁は田丸にそれぞれ勝っており、何かのアクシデントで本戦に絡めばさらに波乱を起こしてくれるかもしれない。那須川天心という圧倒的興行の柱がいなくなった今、チャンスはどの選手にもあり、那須川と同じようにスピードと若さを兼ね備えた軽量級の選手がその座を射止める可能性は高い。今年は旗揚げから20年を迎えたRISEにとって新たなスタート、まずは7月2日にエディオンアリーナ大阪で始まる1st ROUNDに注目してもらいたい。

※文中敬称略

実況アナウンサー

実況アナウンサー。1973年神戸市生まれ。プロレス、総合格闘技、大相撲などで活躍。2015年にはアナウンス史上初めて、新日本プロレス、WWE、UFCの世界3大メジャー団体の実況を制覇。また、ラジオ日本で放送中のレギュラー番組「真夜中のハーリー&レイス」では、アントニオ猪木を筆頭に600人以上にインタビューしている。「コブラツイストに愛をこめて」「1000のプロレスレコードを持つ男」「もえプロ♡」シリーズなどプロレスに関する著作も多い。2018年には早稲田大学大学院でジャーナリズム修士号を取得。

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