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強さは健在か 階級を上げた悪童カシメロの実力は

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
(写真:ロイター/アフロ)

12月3日韓国・仁川で、スーパーバンタム級10回戦が行われ、ボクシング元WBO世界バンタム級王者のジョンリル・カシメロ(32=フィリピン)と、WBO世界スーパーバンタム級8位・赤穂亮(36=横浜光)が戦った。

試合の展開

ゴングがなり向かい合う両者。ともに強打の選手であるため会場には緊張感が漂っていた。距離を取るカシメロに対し、赤穂は距離をつめていく。距離の取り合いから、時折強打が飛び出るなどスリリングな展開が繰り広げられ1ラウンドが終了。

2ラウンドでは、カシメロが一発を狙い迫力のあるパンチを見せる。すると赤穂がカシメロの大ぶりなパンチに合わせてカウンターを放ち、ダウンを奪った。

カシメロはポイントを挽回しようと猛攻をしかけ、赤穂をロープまで追い込み連打を浴びせる。近距離での打ち合いとなり、赤穂の頭が下がったところに、カシメロの右フックが後頭部にヒット。

そこでレフリーが間に入り、試合を中断した。後頭部へのパンチは反則行為となるため、5分間のリカバリータイムが与えられた。

しかし、時間が経過するも赤穂は立ち上がれず、試合はノーコンテスト、無効試合となった。

カシメロの実力

悪童と呼ばれ様々なトラブルを起こしてきたカシメロだったが、今回のハプニングは故意ではないだろう。

後頭部への攻撃は、ラビットパンチと呼ばれている。語源がウサギを殺す時に後頭部を撃つことからきているように、人間にとっても後頭部は急所だ。

試合になると、選手は興奮しているため揉み合いになり、後頭部にパンチが当たることは珍しくない。特にカシメロのように動物的な動きでパンチを放つ選手であれば、レフリーが止めに入るまでパンチを打ち続ける。

今回はクリンチ中の出来事のため、赤穂も視界が遮られ、予想できないタイミングでもらってしまった。通常の選手のパンチなら試合を再開できたかもしれないが、カシメロのパンチ力は想像以上だったのだろう。

赤穂は試合後にSNSで下記のように投稿している。

カシメロは身長158cmと小柄な選手だが、体に厚みがありパワーパンチを持っている。1年半のブランク、しかも階級を上げてから初の試合だったためカシメロの仕上がりが気になっていたが、健在ぶりを十分アピールできただろう。

階級を上げたことで、持ち前のパワーがさらに際立ったようだった。

試合後にはこの興行を主催したTBプロモーションの代表で、元WBO世界スーパーフェザー級王者の伊藤雅雪氏が、結果についてリング上で説明した。

「ラウンド前半の後頭部へのパンチで、試合続行不可能となり、ローカルルールで無効試合となりました。残念です」

今回初の興行だっただけに、メインイベントがこのような結果となり残念だろう。

試合後にカシメロは「この試合は勝ったと思っている。ダメージを与えていたのは自分だった。映像をよく見てほしい。後頭部は狙っていない」とコメントしている。

再び王座返り咲きなるか

赤穂も2ラウンドでダウンを奪い、健闘していただけに悔しい思いもあるだろう。

無効試合になってしまったが、カシメロにとっては再び世界王者に返り咲くための第一歩となった。この階級でも危険な存在となるだろう。

現在スーパーバンタム級のトップには下記の王者達が君臨する。

WBA&IBF ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)

WBC&WBO ステファン・フルトン(アメリカ)

さらに、井上尚弥が13日の4団体統一戦後にこの階級に加わる予定だ。カシメロは井上との対戦を熱望しており、SNS上で盛んに挑発している。

今回の試合前の会見でも「赤穂に勝ったら次は井上尚弥とやりたい。でもいつも逃げられている」とコメントしていた。

トラブルメーカーのカシメロが今後どのように進んでいくのか、注目が集まる。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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