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悪童カシメロ実は良いやつ?挑発は「試合を盛り上げるためにやっているだけ」

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
(写真:ロイター/アフロ)

12月3日韓国・仁川で、スーパーバンタム級10回戦が行われ、ボクシング元WBO世界バンタム級王者のジョンリル・カシメロ(32=フィリピン)と、WBO世界スーパーバンタム級9位・赤穂亮(36=横浜光)が対戦する。

カシメロについて

試合を控えるカシメロが、ボクシングプロモーションA-SIGNのYouTubeチャンネルでインタビューに応じた。

カシメロは、世界3階級(ライトフライ、フライ、バンタム級)を制覇した王者だ。35戦31勝(21KO)4敗の戦績を誇り、強打を武器にKO勝利を積み重ねてきた。

前回の試合は2021年、2階級王者のギレルモ・リゴンドウと対戦している。その試合では2-1の判定で勝利し、今回1年4ヶ月ぶりに階級を上げ試合に挑む。

元世界王者のカシメロと、2度の世界挑戦とカシメロと同じ強打を持つ赤穂との対戦は大きな注目を浴びている。

しかし、カシメロは確かな実力者ではあるが、素行や行動から問題児として知られている。

カシメロの問題行動

2021年8月に予定されていた5階級制覇王者ノニト・ドネアとの統一戦では、試合前にドネアの妻でありマネージャーのレイチェル夫人に無礼な態度をとったことでキャンセルされた。

同年12月には、現WBO世界バンタム級王者のポール・バトラーとの防衛戦が決まっていたが、前日計量をウイルス性胃腸炎のため欠席し、試合が中止となった。

翌年4月にバトラーとの防衛戦が再設定されていたが、英国ボクシング管理委員会の医療ガイドラインに抵触する違反行為を行い、再び中止となった。

これらの事件を起こす以前から、試合前に相手を罵り派手なパフォーマンスで悪役を演じてきた。

カシメロはインタビューで「自分が悪役になっていることは理解している。トラッシュトークは試合を盛り上げるためにやっている」と語っている。

新型コロナウイルスの影響で中止となった井上尚弥との統一戦以降、井上に対し「お前はモンスターじゃない。オレにビビってる」など盛んに挑発を繰り返している。

井上との対戦を熱望している気持ちはわかるが、快く思わないファンも多いようだ。本人は「コナー・マクレガーみたいにやれば試合が盛り上がる。プロモーションの指示通りにやっている」と話している。

赤穂戦に向けて

日本のボクシング界ではトラッシュ・トークは少ないが、海外ではよくある話だ。それが試合を盛り上げる一面もある。

今回対戦する赤穂に対しては「赤穂はいいやつだよ。挑発しても何も返してこない」と話している。

「今まで戦った相手はみんな挑発してきた。ベルトを奪うとか、ノックアウトするとか。何も言ってこない赤穂に驚いたよ」

赤穂に対しては好意的な印象を持っているようで、メディアで報道される姿とは違う一面もあった。動画のコメント欄にはカシメロに対して好意的な意見も寄せられていた。

ヒールな印象のあるカシメロだが、気さくな雰囲気で人間味が伝わる内容ではあった。「俺はこういうプロモーションを探していた。リングの中で本物を見せる」と語っている。

1年ぶりの試合で、カシメロがどのようなパフォーマンスを見せるか注目が集まる。世界タイトル戦ではないが、赤穂との試合は、強打同士の一戦となりスリリングな展開となるだろう。

今回の試合は元世界王者の伊藤雅雪が設立したTBプロモーションが主催する。「本物のボクシングをみせていきたい」そう語った伊藤氏の手腕にも期待したい。

試合はWOWOWエキサイトマッチで生中継される予定だ。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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