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KO必至の好カード 問題児カシメロと強打者・赤穂亮の勝負の行方は

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
(写真:ロイター/アフロ)

ボクシング元WBO世界バンタム級王者のジョンリル・カシメロ(32=フィリピン)と、WBO世界スーパーバンタム級9位・赤穂亮(36=横浜光)の試合が発表された。

試合は12月3日韓国・仁川で、スーパーバンタム級10回戦で行われる。

カシメロについて

カシメロはこれまでライトフライ級、フライ級、バンタム級で世界3階級を制覇してきた。

戦績は35戦31勝(21KO)4敗、軽量級離れしたパンチ力で高いKO率を誇る。

バンタムに階級を上げてから6連続KO記録を打ち立て、前回の試合は2021年に2階級王者のギレルモ・リゴンドウと対戦し、2-1の判定で勝利した。

過去には井上尚弥との試合も決まっていたが、新型コロナウイルスの影響で中止となった。その後は、減量失敗やコンディション調整に失敗など、度重なる失態で世界王者のベルトを剥奪された。

実力者ではあるが1年以上のブランクがあり、現在はトップ戦線から離脱している。

赤穂について

赤穂は2度の世界挑戦経験のあるボクサーだ。戦績は43戦39勝(26KO)2敗2分、カシメロ同様、強打を持っている。

2015年にタイで行われた世界戦での敗戦以来、6年間負け無しで勢いに乗っている。

今回の試合の発表会見では、「勝っても負けても、これが最後の試合のつもりで戦う。カシメロは一番噛み合う相手だと思う」と話している。

世界戦ではないが、元世界王者との対戦だ。試合に勝てば一気に知名度もあがり世界へのチャンスが広がるだろう。

前回の9月に行われた試合では、エドリン・ダプドン(フィリピン)を相手に1Rに左フック一撃で試合を決めた。

試合後には「ここまでやってきて、いい加減“答え”がほしい。このままボクシングを続けていいのか、躓いてやめるのか」と話していた。まさにその答えを出す試合になるだろう。

勝敗の行方

過去の実績を比べると前世界王者のカシメロが有利だ。しかし、連勝で勢いに乗る赤穂にも充分にチャンスはある。

ライトフライ級から階級を上げてきたカシメロと、この階級で何試合も戦ってきた赤穂では、階級でのキャリアが違う。

ボクシングの階級の壁は高い。その階級で無敵だったボクサーでも一つ階級を上げるだけで全く勝てなくなるケースもざらだ。

カシメロは減量苦から階級を上げてきたが、まだこの階級での実績はないに等しい。強敵ではあるが、赤穂の耐久力とパンチがあれば互角に戦えるだろう。

また、コンディション調整で失敗してきたカシメロが、どの程度仕上げてくるかも勝敗の鍵となる。

この試合に向けて「いつでもどこでも俺は戦う。赤穂に勝ったら次は井上尚弥とやりたい」と語ったカシメロは、以前から井上との対戦を熱望している。

井上はバンタム級で4団体統一戦後には階級を上げ、スーパーバンタム級へ進出するつもりだ。

対戦を望むカシメロにとって、この試合に勝利し存在をアピールしたいところだろう。ハードパンチャー同士の対戦ため、KO必至のスリリングな展開が予想される。

試合は12月5日、WOWOWエキサイトマッチで放送予定だ。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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