強すぎる拳四朗 元王者を4RKOで圧倒「今後はベルトを集めたい」
23日横浜アリーナでボクシングトリプル世界戦が行われた。
6度の防衛を果した拳四朗(27=B.M.B)が、元WBC世界ライトフライ級暫定王者で同級12位のランディ・ペタルコリン(27=フィリピン)を迎え、7度目の防衛戦を行い4RKO勝利を収めた。
当初はフェリックス・アルバラード(ニカラグア)との統一戦が予定されていたが、アルバラードが体調不良で欠場を申し入れた為キャンセル。
後日、ペタルコリンとのタイトルマッチが発表された。
試合の展開
リングネームを「拳四朗」から「寺地拳四朗」と変更し挑んだ7度目の防衛戦。
第1Rは静かな立ち上がりとなった。素早い出入りでフットワークを駆使する拳四朗に対し、ペタルコリンは低い体勢から伸びのあるストレートを放ってくる。
予想以上にパンチが伸びてくるのか、拳四朗は深追いせず、様子を見ながらジャブを当てていく。
第2Rでは、サウスポーのペタルコリンが飛び込みながら左ストレートを繰り出し、拳四朗が何度か被弾してしまう。
まだお互い距離感を掴めず、一進一退の攻防が続いた。
状況が大きく変わったのは第3R。
拳四朗が攻勢を強めて積極的に主導権を握りにいく。プレッシャーを掛け、上下にパンチを打ち分けているのが印象的だった。
そして、拳四朗の踏み込みながらの右ストレートが、相手のみぞおちに入りダウン。
ペタルコリンはたまらずリングに膝をつくが、すぐに立ち上がり試合再開。
だが、その数秒後。再度拳四朗がボディに打ち込みダウンを奪う。
3R終了間際、拳四朗がボディで3度目のダウンを奪ったが、ゴングが鳴り次のラウンドへ。
第4Rは、開始直後から激しい打ち合いとなった。ペタルコリンもパンチを繰り出すが、拳四朗が軽快なフットワークでかわしていく。
そして、拳四朗の放った左のボディがペタルコリンのレバーにヒット。
ペタルコリンがリングに両膝をつき、レフリーが試合をストップ。拳四朗のKO勝利となった。
ボクサーの嫌いなパンチ
拳四朗は見事なボディ打ちで流れを変えた。
ボクサーにとって一番嫌なパンチは「ボディ」だと言われている。
顔面へのパンチは、アドレナリンが分泌されていて痛みを感じないが、ボディにパンチをもらうと呼吸が困難になり動けなくなる。
また、試合が進むにつれてジワジワと効いてくるので、地獄の苦しみとなる。
ボディの中でも特に効くのは、みぞおちとレバー(肝臓)だ。
今回、KOに繋がった拳四朗のボディ打ちもここにヒットしていた。
ペタルコリンもかなりのダメージを受けたようで、苦しい表情を浮かべていた。
拳四朗は、軽量級でありながら一発で勝負を決めるだけのパンチ力を持っている。
さらに今回の試合では、急遽相手が変更になったにもかかわらず、柔軟に戦った「適応力」を見せつけた。
今後の拳四朗
試合後のインタビューでは「3回も立つとは思わなかった。結果倒してよかった」と安堵の表情を見せた。
また、今後については「防衛回数とベルトを増やすのが目標。一戦一戦勝てば13回行ける自信しかないので、これからも13回防衛するところを見ていてください」と自信を見せた。
拳四朗の目標は、具志堅用高氏が持つ日本歴代1位の13回の最多防衛記録を超える事だ。
今回の相手のペタルコリンも元暫定王者という実績を持ち、パンチと勢いのある、決して弱い相手ではなかった。
だが、拳四朗はそれ以上の強さを見せつけ圧勝した。
前回の試合でも、ランキング1位のジョナサン・タコニンを4Rで仕留めた。
ここまで7度の防衛のうち5試合をKOで終わらせており、ランキング上位の選手では相手にならない。
現在この階級には以下の王者が君臨している。
WBAスーパー京口紘人(26=ワタナベ)
WBAレギュラー カルロス・カニサレス(ベネズエラ)
IBF フェリックス・アルバラード(ニカラグア)
WBO エルウィン・ソト(メキシコ)
どの選手との対戦も見たいところだが、同じ日本人王者の京口紘人の存在がやはり気になる。
京口も今回の試合を観にきていたようで「合計4度のダウンを奪って4RボディーでKO勝ちでした!強かった!おめでとうございます!来年リングで会いましょう」と自身のSNSに投稿していた。
2人は学生時代からのライバルでもあり、対戦を望んでいる。
拳四朗も「統一戦は流れてしまいしたが、また来年くらいにあったらなと思っています」と話していた。
来年、両者の対戦の実現に期待が高まる。