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大激戦 IBF王者スペンスがWBC王者ポーターからダウンを奪いタイトル統一

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
(写真:REX/アフロ)

アメリカのロサンゼルス、ステープルズ・センターで、WBC・IBF世界ウェルター級王座統一戦が行われた。

2万人近くの大観衆の中、IBF王者のエロール・スペンス・ジュニア(29=アメリカ)とWBC王者のショーン・ポーター(31=アメリカ)が戦った。

激しいペース争い

今回の試合では両者のスタイルは大きく異なる。

サウスポースタイルのスペンスは、身長177cm(リーチ183cm)。

それに対し、オーソドックスのポーターは、170cm(リーチ177cm)。

そのため、体格が一回り小さいポーターが前に距離を詰めていき、スペンスが距離を取って戦う構図となった。

序盤は静かな立ち上がりで両者見合っていたが、徐々にポーターが前に出てプレッシャーをかけていく。

対するスペンスは距離を取りながら、ジャブをついて様子をうかがう。

近距離ではポーター、遠距離ではスぺンスがペースを握っていった。

両者の得意とする距離が異なるため、激しいペース争いが繰り広げられた。

中盤、スペンスが接近戦でボディを放ちポーターの動きを止めにかかるが、勢いがあるためなかなか止まらない。

だが、徐々に距離を掴んだスペンスが、ポーターの打ち終わりにパンチを集めていく。

下がったらスペンスがペースを握るため、ポーターも負けじと前に出る。

攻勢ではポーターだが、パンチの適格性ではスペンスが上回った。

ダウンでペースを引き戻す

後半、体格が上回るスペンスが接近戦で圧力を掛けていく。

ポーターも負けじとパンチを返し、ポイントを振り分けるのが難しいラウンドが続いた。

両者後半になり疲労も見られる中、11Rにスペンスの得意の左フックが炸裂し、ポーターがダウン。

ボディ打ちで警戒させていたところに、いいタイミングで顔面にフックが直撃した。

これで試合が終わってもいいタイミングで入ったが、ポーターも立ち上がり意地の攻勢を見せる。

試合後にポーターが語っていたが、このダウンが勝敗を決める大きな差になった。

最終ラウンドでは、ダウンを奪ったスペンスが攻勢を掛けていった。

KOでは決着がつかず勝負は判定へ。

2-1のスプリットディシジョン(116-111-2者がスペンス、115-112-1者がポーター)でスペンスが王座を統一した。

激戦のウェルター級

試合後のインタビューでスペンスは、「最高の気分。タフな試合だったが、努力が報われた。誰とでも試合をしたいし、挑戦を受ける」と語った。

また、元世界2階級王者ダニー・ガルシア(アメリカ)も、リングに上がり両者の健闘をたたえた。

この階級は、非常に激戦で他の王者達にも注目だ。

WBA王者にはレジェンドのマニー・パッキャオ(フィリピン)が君臨し、WBO王者には無敗のテレンス・クロフォード(アメリカ)がいる。

クロフォードは、パウンドフォーパウンドランキング(全階級で誰が強いか)で2位にランクインされていて、前スーパーライト級4団体統一王者だ。

他にもパッキャオと接戦を演じた、キース・サーマン(アメリカ)や、リング場に上がって対戦をアピールしたダニー・ガルシア(アメリカ)も健在。

最近の世界的な傾向で、選手達もビックマッチを求めてアピールしている。

混戦を極めるこの階級の最強は誰なのか。ウェルター級の盛り上がりに期待が高まっていく。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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