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メリンダと離婚のビル・ゲイツ 性豪エプスタインの「恐怖の館」を数十回訪問

木村正人在英国際ジャーナリスト
離婚を発表したばかりのビル・ゲイツ氏とメリンダ氏(写真:ロイター/アフロ)

[ロンドン発]米マイクロソフトの共同創業者で慈善活動家としても知られるビル・ゲイツ氏(65)が妻メリンダ氏(56)と離婚したことに関連して、米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は16日「離婚するずっと前からゲイツ氏は疑わしい振る舞いの評判が立っていた」と報じました。いったい何があったのでしょう。

世間から理想的な夫婦と見られてきた2人は3日ツイッターで「この27年、私たちは素晴らしい3人の子供を育て、世界中の人々が健康で生産的な人生を実現できる基盤を築いてきました。次の段階で夫婦として共に成長できるとは思えなくなりました。新しい人生を始めるために私たち家族にスペースとプライバシーを下さい」と離婚を発表したばかりです。

NYT紙によると、2018年、メリンダ氏は、長年のマネーマネジャーに対する女性のセクハラ申し立てについてゲイツ氏の処理方法に満足していませんでした。ゲイツ氏が秘密裏に問題を解決するために動いた後、メリンダ氏は外部調査を求めたそうです。このマネーマネジャーはまだ職にとどまっています。

マネーマネジャーはゲイツ氏と夫婦が共同で設立した慈善団体「ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団」のために堅実な利益を上げていました。ゲイツ氏は女性と秘密保持契約を結んで、マネーマネジャーに対するセクハラの申し立てを解決しました。

またゲイツ氏には少なくとも2~3回にわたって、マイクロソフトと財団で働いていた複数の女性を食事に誘うなど、不適切な行為があったそうです。

06年、マイクロソフトの女性社員によるプレゼンテーションに出席したゲイツ氏(当時、会長)は会議が終わった後、すぐ女性を夕食に誘い出すメールを送りました。その1、2年後、財団を代表してニューヨークを訪れたゲイツ氏はカクテルパーティーで一緒に働いていた女性を夕食に誘い出そうとしたそうです。

こうしたゲイツ氏の振る舞いは不愉快な空気を職場にもたらしたとゲイツ氏のアプローチを受けた6人はNYT紙に述べています。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、マイクロソフトの取締役は19年にゲイツ氏との性的関係に関する女性の申し立てについて法律事務所に依頼して調査を開始したそうです。ゲイツ氏は00年にマイクロソフトの最高経営責任者(CEO)を退任、14年まで会長を務めました。

20年には公衆衛生や気候変動問題に専念するとして取締役も退任。ゲイツ氏の広報担当者はWSJ紙に「ほぼ20年前に友好的に終わった事件があった。取締役を辞める決定はこの問題と全く関係がない」と説明しています。ゲイツ氏は同じ日に友人の著名投資家ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハザウェイの取締役も辞任しました。

非常に気がかりなのは、未成年者の人身取引で起訴され、勾留中に首つり自殺した米大富豪ジェフリー・エプスタイン被告とゲイツ氏の関係です。NYT紙によると、メリンダ氏はゲイツ氏が性犯罪者と時間を過ごすことに不快感を示していたのに、ゲイツ氏はその行動を続けたそうです。

11年以降、ゲイツ氏はエプスタイン氏と何度も会っており、性的に搾取された少女たちから「恐怖の館」と恐れられていたニューヨーク・マンハッタンにあるエプスタイン氏の居宅を少なくとも3回訪れ、少なくとも1回は深夜に滞在したとNYT紙は報じています。エプスタイン氏のプライベートジェットに乗って一緒に移動したこともあるそうです。

米メディア、デイリー・ビーストは、ゲイツ氏はこの「恐怖の館」を数十回も訪れ、その中でエプスタイン氏に最悪の状態に陥っていたメリンダ氏との結婚について相談していたと報じました。

10年にこの「恐怖の館」を訪れた映像を英大衆紙にすっぱ抜かれたアンドルー英王子(61)は英王室の公務を解かれています。ゲイツ氏もアンドルー王子もエプスタイン氏とのいかがわしい関係をいずれも否定しています。

19年10月にゲイツ氏とエプスタイン氏の関係が公になった時にメリンダ氏は結婚生活の解消に向けて弁護士を依頼したと報じられています。同年4月には、マイクロソフトはハラスメントや差別に関する従業員の苦情を処理するプロセスを変更すると発表しています。

メリンダ氏はマイクロソフトに入社した後、1994年にゲイツ氏と結婚しました。ゲイツ氏の純資産は少なくとも1341億ドル(約14兆6400億円)。慈善活動について2人はツイッターの声明で「使命を共有し、今後も共に働いていく」と明らかにしていました。

(おわり)

在英国際ジャーナリスト

在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。masakimu50@gmail.com

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