英王室の2つの爆弾 アンドルー王子と親密なマダム逮捕 メーガン夫人「妊娠中、王室は守ってくれず」

バージニアさん(中央)の腰に手を回すアンドルー王子。右はギレーヌ被告、2001年(提供:Shutterstock/アフロ)

「生き証人」の逮捕で内堀は埋められた

[ロンドン発]エリザベス英女王の次男アンドルー英王子(60)=王位継承順位8位 =が勾留中に自殺した米富豪ジェフリー・エプスタイン被告の未成年者性的搾取への関係を取り沙汰されている疑惑で、米連邦捜査局(FBI)は2日、「生き証人」の英女性ギレーヌ・マクスウェル被告(58)を潜伏先の米ニューハンプシャー州で逮捕、起訴しました。

昨年11月、疑惑の責任を取って公務から引退したアンドルー王子はついに内堀を埋められた形です。「英王室は私をメディアの攻撃から守ってくれなかった」と暴露するメーガン・サセックス公爵夫人とともに英王室にとって2つの大きな時限爆弾になるのは必至です。

アンドルー王子が英メディア王ロバート・マクスウェル氏(故人)の娘ギレーヌ被告の紹介でエプスタイン被告に会ったのは1999年のこと。90年代前半にはすでに、ギレーヌ被告から「恋人」としてエプスタイン被告を紹介されていたとも報じられています。

父親のマクスウェル氏は1991年、大型ヨットから転落して亡くなります。同氏の経営するメディアグループでの年金不正が明らかになり、メディア帝国は崩壊。ギレーヌ被告はエプスタイン被告の“情婦”のような生活を送っていたようです。

アンドルー王子は捜査には協力せず

ニューヨーク社交界入りしたギレーヌ被告は94~97年に14歳の少女ら3人を買い物や映画、旅行に誘って手懐け、自分も服を脱いで一緒にエプスタイン被告に性の奉仕をしていた疑いが持たれています。こうした未成年者性的虐待が何年も続けられていたそうです。

被害者のうち1人はロンドンで性の奉仕をさせられており、ロンドン警視庁がどのような形で捜査共助に応じるかも注目されます。

検察官は2007~11年にかけ、2000万ドル(約21億5000万円)以上がエプスタイン被告の関連口座からギレーヌ被告の関連口座に送金されたと指摘しました。アンドルー王子はFBIの捜査に協力すると釈明したものの、書面を提出することに同意しただけです。

アンドルー王子がアメリカの管轄権が及ぶ地域に一歩でも足を踏み入れたが最後、そのまま逮捕されてしまう恐れもあるからです。

今年初め、ギレーヌ被告はエプスタイン被告の6億ドル(約645億円)の資産を求めて訴訟を起こしており、性の奉仕のために手懐けられたと訴えている女性70人以上に補償したいという考えを明らかにしています。

アンドルー王子とエプスタイン被告の危険な関係を振り返っておきましょう。

【アンドルー王子とエプスタイン被告の危険な関係】

1992年、米フロリダ州パームビーチにあるドナルド・トランプ現米大統領の別荘マー・ア・ラゴで、トランプ氏とエプスタイン被告が女性を観察して批評する様子が録画される。

2000年、アンドルー王子とギレーヌ被告がエプスタイン被告とともにトランプ氏の別荘マー・ア・ラゴで過ごす。

同年6月、エプスタイン被告とギレーヌ被告がエリザベス英女王主催のウィンザー城でのダンスパーティーに招かれる。

同年12月、アンドルー王子がギレーヌ被告の誕生日を祝うパーティーをエリザベス女王所有のサンドリンガムの別邸で開く。エプスタイン被告も招かれる。

01年、バージニア・ロバーツさん(当時17歳)の証言によると、アンドルー王子と3回性的な関係を持つ。最初の関係はロンドンにあるギレーヌ被告邸。あとの2回はニューヨークのエプスタイン被告邸、そしてカリブ海に同被告が所有する島でのどんちゃん騒ぎだったとされる。

バージニアさんの腰に手を回したアンドルー王子の横でギレーヌ被告が微笑んでいる写真はエプスタイン被告が撮影したとされる。

06年5月、未成年者への性的暴行でエプスタイン被告に逮捕状。その2カ月後、同被告はアンドルー王子の長女ベアトリス王女の誕生日を祝ってウィンザー城で開かれた仮面舞踏会に招待される。

08年、エプスタイン被告が司法取引に応じて未成年者買春の罪を認め、禁錮1年半の有罪判決。この時の担当はフロリダ州マイアミの連邦地方検事で、後にトランプ大統領に労働長官に指名されるアレクサンダー・アコスタ氏。アコスタ長官はその後、秘密裏に行った司法取引を批判され、辞任に追い込まれる。

10年、アンドルー王子はエプスタイン被告の出所を祝ってニューヨークで開かれた身内のディナーパーティーに出席。エプスタイン被告邸で女性を見送る姿や、セントラルパークをエプスタイン被告と一緒に歩いているところを隠し撮りされる。

11年、アンドルー王子が疑惑に関連して英貿易特使を辞任。

15年、英王室が、アンドルー王子が17歳だったバージニアさんと性的関係を持ったという裁判所への訴えを否定。バージニアさんの証言は「信用できない」と退けられ、アンドルー王子に関する訴えは裁判記録から削除される。

19年7月、エプスタイン被告が性的搾取を目的とした未成年者の人身取引容疑で再逮捕される。有罪の場合、最高45年の禁錮刑が科される可能性があり、被害者の中には14歳の少女も。エプスタイン被告は3週間後に自殺。

同年8月、エプスタイン被告の別の被害女性ジョアンナ・シェーベルイさんも01年にニューヨークの同被告邸でアンドルー王子に胸を触られたと証言していることが発覚。

1日3度のオーガズムを求めた性豪エプスタイン

エプスタイン被告は食事と同じく1日3度オーガズムに達しないと満足できなかったとされる性豪。自分の遺伝子を残すためニューメキシコの牧場で20人の女性を妊娠させ、自分の死後は頭部と性器を冷凍保存する計画を立てていたと報道されています。

アンドルー王子のほか米大統領就任前のトランプ氏やビル・クリントン元米大統領ら政治家、有力者、著名人らと「セレブな関係」を築いていました。クリントン氏もエプスタイン被告のプライベートジェットで旅行し、ニューヨークの自宅を訪問していたことが分かっています。

少女たちに与えられた性の報酬は1回300ドル(約3万2300円)程度。買い物や映画、旅行の代金は全てエプスタイン被告持ちだったとされています。

これまで英王室は「アンドルー王子が人的搾取を許容し、参加し、促したと示唆されるのは耐え難い」と疑惑を全面否定。王子自身も「逮捕や有罪につながる、いかなる行動も目撃せず、疑いもしなかった」と潔白を主張してきましたが、英王室のイメージダウンは計り知れません。

メーガン夫人「妊娠中、英王室から保護されなかった」

ダイアナ元皇太子妃のダブル不倫、離婚、悲劇の交通事故死というスキャンダルからようやく立ち直り、順風満帆だった英王室はヘンリー王子=王位継承順位6位=とメーガン妃(サセックス公爵・公爵夫人)の結婚、長男アーチーちゃんの出産から一気に嵐に包まれます。

自分が主張する活動方針が受け入れられず、英王室を離脱することになったメーガン夫人は英大衆紙を相手取った裁判で「妊娠中、英王室から保護されなかった」「結婚式の警備は観衆を守るための出費で、それを上回る10億ポンド(約1340億円)以上の観光収入がもたらされた」と主張しています。

この裁判はメーガン夫人が不仲になっている父親に宛てた手紙を大衆紙が報じたのが原因です。大衆紙が報じた手紙は本物で、メーガン夫人の名誉を毀損しているわけでもなく、報道には公共の利益が認められるとみられています。

そもそも父親との不仲はメーガン夫人の個人的な問題なのに、論点を英王室の閉鎖的な体質にすり替えるのはいかがなものでしょう。

メーガン夫人は「自由と平等の国」アメリカのハリウッドでキャリアを積み上げてきた女性です。母親はアフリカ系で、奴隷貿易で巨万の富を築いた白人帝国主義の象徴とも言える英王室にメーガン夫人が嫁入りするのはもともと無理があったのかもしれません。

メーガン夫人の主張を素直に受け入れられないのは、自分の正当性を強調するために、父親だけでなく、ウィリアム王子とキャサリン妃、そして英王室と周囲を次々と悪者に仕立て上げる傾向が強く感じられるからです。ヘンリー公爵が心配です。

米白人警官による黒人暴行死事件に端を発した黒人差別撤廃運動「Black Lives Matter(黒人の命は大切だ)」は欧州に飛び火し、原因をつくった奴隷貿易やそれに続く植民地支配の清算を迫っています。

奴隷貿易とそれに関連して得られたイギリスの富は現在の貨幣価値に換算すると約2640億ポンド(約35兆円)とも言われています。

アンドルー王子とメーガン夫人という2つの時限爆弾を抱えた英王室は再び大きな試練を迎えています。

(おわり)