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英語のできない日本男子が祖国を滅ぼす 世界英語能力ランキングで日本は49位に転落 韓国は31位

木村正人在英国際ジャーナリスト
英語能力で男子をはるかに上回る日本女子(写真:アフロ)

[ロンドン発]88カ国・地域130万人の英語能力を分析した世界最大の「EF EPI( English Proficiency Index=英語能力指数)」2018年版で日本のスコアは低いレベルの51.8で49位にまで転落。この調子だとランキングがどこまで下がるのか見当もつきません。

ランキングが急激に下がっているのは参加する国が年々増えていることもありますが、お隣のライバル、韓国と比べても下がり方が尋常ではないことが分かります。

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日本のランキングを下げているのは男子です。日本男子のスコアは49.9と世界平均の52.63、アジア平均の53.07に比べて随分、低くなっています。

一方、日本女子のスコアは54.11と世界、アジア平均の各54.57とそれほど変わりません。

韓国男子は55.99、韓国女子は56.57です。

地域別のスコアでは

(1)欧州56.64

(2)アジア53.49

(3)アフリカ53.21

(4)中南米50.33

(5)中東46.02

です。日本はアジア21カ国・地域の中でも11位と真ん中ぐらいのレベルです。日本より下なのはパキスタンやバングラデシュなど途上国ばかり。

日本の都市別では

(1)東京55.13(高いレベル)

(2)大阪53.23(同)

(3)横浜52.61(同)

(4)神戸50.97(低いレベル)

(5)京都50.71(同)

(6)名古屋50.25(同)

(7)札幌48.78(同)

(8)福岡48.12(非常に低いレベル)

の順になっています。

今回の報告書では次のような傾向が浮かび上がりました。

・世界的に英語能力は向上 

・英語を話す社会は開放的で階級制が少なく、女性に対して平等

・英語と技術革新に正の相関関係

・男性より女性の英会話能力は高い

・41歳以上の英語能力が一番低い

・管理職は経営陣や一般社員よりも英語を習得

英語能力指数が上がれば年収も上がるという正の相関関係もあるようです。

「EF EPI 2018」より抜粋
「EF EPI 2018」より抜粋

日本語で得られる情報量と英語で得られる情報量には雲泥の差があります。語学の習得は年齢が若ければ若いほど吸収力が速く、英語を通じて蓄積される情報量には年々、大きな開きが出てきます。

昔は「読み・書き・算盤」と言われましたが、21世紀は「英語・ググる(検索能力)・エクセル(表計算ソフト=分析力)」です。

前回のエントリー「これでは韓国になめられて当然だ 日本のビジネス環境ランキング34位から39位に転落」で指摘したように、世界銀行のビジネス環境ランキングで日本が低迷しているのにも英語能力が密接に関係しています。

島国の日本は鎖国という歴史もあり、放って置くとどんどん内向きになってしまいます。英語教育だけでは限界があります。

大学や企業の国際競争力を向上させるためには、国を世界に向けて開いていく大胆さが求められています。

(おわり)

在英国際ジャーナリスト

在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。masakimu50@gmail.com

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