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ビットコインが大暴落 中国最大の取引所が入金停止

木村正人在英国際ジャーナリスト

12月初めに史上最高値をつけていた仮想通貨ビットコインが18日、大暴落した。中国最大のビットコイン取引所のBTCチャイナが同日、人民元建ての入金停止を発表したためだ。

ビットコインは2009年に誕生したインターネット上の仮想通貨。中央銀行のような機関は存在しないが、ビットコインのすべての取引記録はネット上の台帳で閲覧できる仕組みになっている。

クレジットカード決済のような為替・事務手数料がかからないことから世界で人気を集めていた。

しかし、中国マネーの流入でバブルが発生、英紙フィナンシャル・タイムズによると、12月初めには年初価格の50倍に当たるビットコイン1単位当たり7395人民元を記録。

BTCチャイナが売却停止を発表すると、18日昼過ぎの時点で一気に25%も下落。ビットコイン1単位当たり2800人民元となっている。英国や米国でもビットコインの価格は暴落している。

ビットコインへの対応は各国によってまちまちで、今年3月、ビットコインが違法薬物売買やマネーロンダリング(資金洗浄)に使われる恐れがあるとして米財務省は仮想通貨の規制方針を公表していた。

ビットコイン人気によるバブル過熱を懸念した中国人民銀行(中央銀行)が12月5日、中国国内の金融機関に対してビットコインを利用した金融サービスを禁止するという通達を出したため、ビットコイン市場は急落していた。

さらに17日には、1月31日からネット上の第三者支払いサービス会社にも適用する方針を打ち出した。

このため第三者支払いサービス会社のYeePayが18日、ビットコインの取り扱い停止をBTCチャイナに通告したため、BTCチャイナは、人民元建ての入金停止を発表したという。BTCチャイナは顧客からお金を預かり、一定の手数料を取ってビットコインの売買注文に応じていた。

BTCチャイナはこれまでにビットコインを購入した顧客に対しては換金に応じる方針だ。

中国人民銀行は個人が自己責任でビットコインを取引することは禁じていないものの、第三者支払いサービス会社のビットコイン取引を禁止したことで、ビットコインを新たに購入するのは事実上、不可能になった。

ビットコイン支持者は、当局がビットコインを全面禁止するのは不可能だと主張しているが、中国人民銀行による規制で中国国内のビットコイン市場が崩壊したことで、その他の国でも存続の危機に直面しそうだ。

(おわり)

在英国際ジャーナリスト

在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。masakimu50@gmail.com

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