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イ・ボミ「日本ツアー引退」でも韓国ツアーは「復帰?」母国ではどう見られているのか?

金明昱スポーツライター
イ・ボミが韓国ツアーでの自身の立場について語った(写真・KLPGA)

 今シーズンを最後に日本女子プロゴルフツアーから引退したイ・ボミが、11月10日から3日間にかけて行われる韓国ツアー最終戦の「SKシールダス・SKテレコムチャンピオンシップ」出場する。大会にエントリーしたことを受け、韓国メディア各社がイ・ボミの近況と意気込みについて一斉に報じている。

「NEWSIS」は「日本ツアー引退したイ・ボミ『KLPGAツアーは最後ではない』」と見出しを打ち、まずは彼女の日本での実績について伝えている。

「韓国ツアーで4勝したあと、11年から日本ツアーに参戦。12年の初優勝を皮切りに、ツアー通算21勝をマークした。15、16年には賞金女王となり、16年伊藤園レディスの優勝で20勝を達成したことで、韓国ツアーの永久シードを獲得した。日本ツアーの歴史上、もっとも愛された韓国選手として評価された。今年3月に日本ツアー引退を発表した。『NOBUTA GROUPマスターズGCレディース』を最後に日本のファンとお別れをし、韓国に帰ってきたイ・ボミは、永久シード選手であるため、すべての試合に出ることができる」

 イ・ボミも日本にいる間、「日本のツアーからは離れるけれど、韓国では永久シードがあるので“引退”にはならない」と何度も話していた。実際、韓国メディアに向けても同様のことを話している。

「最後の試合ではないけど来年は…」

「私の選手としての引退試合と思っている方がいるようですが、まだKLPGAツアーは最後ではないので、残念に思う必要はありません。練習ラウンドとトレーニングは続けていて、今大会は夫(イ・ワン)がキャディを務めてくれる予定なので、リラックスして試合に出たいと思っています」

 ただ、「来年も韓国ツアーに出続けるのかは未定」とした。それでもイ・ボミは今大会で自分の役割を果たしたいと思っている。

「今も韓国ツアーで頑張っている(アン)ソンジュオンニ(=お姉さんの意)のように、KLPGAツアーでいいプレーを見せるのが目標。それよりもファンとの出会いやツアーの発展のために先輩としての役割を少しでも果たしたい」

 イ・ボミがここではっきりとしておきたかったのは、韓国ツアーの「引退試合」ではないということ。今後の計画についても「人生の“後半戦”の具体的な契約は未定です。長く見ればゴルフ場で戦うこともあると思いますが、ティーチングや解説なども考えたりしています。当面は友人(チェ・ナヨン、キム・ハヌル、ユン・チェヨン)と共にテレビやYouTubeなどに出演の予定はあります」と語っていた。

 いずれにしても報道を通じて見えてくるのは、イ・ボミが毅然と引退ではないという立場表明をしたことと、韓国側からすれば母国ツアーへの復帰を歓迎していることだ。

 プロゴルファーとしての肩書きは残しつつ、他分野への活動を活発化させていきたいというイ・ボミ。今年最後のプレーを次は韓国のファンが見届ける番だ。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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