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韓国女子ゴルファーから見た日本は“やっぱり”魅力的?申ジエが日本初参戦の韓国3選手から感じたこと

金明昱スポーツライター
韓国のイ・ソミ。日本のメジャー初参戦ながら3位タイに入った(写真・KLPGA)

「今回、日本ツアーに参戦した韓国の3選手はとてもいい印象を受けて帰ったと思いますよ」

 そう語る申ジエは、久しぶりに日本ツアーに参戦した後輩たちの姿に喜びを感じているようだった。

 国内女子ゴルフのメジャー初戦「ワールドレディスチャンピオンシップサロンパスカップ」に韓国ツアーから3人の選手が出場した。2021、22年にそれぞれ6勝して2年連続賞金女王となったパク・ミンジ(24)、22年年間女王のキム・スジ(26)、ツアー通算5勝のイ・ソミ(24)と、ツアー屈指の実力者が世界ランキング上位者の資格で出場したが、いずれも日本ツアーは初出場だった。

 難易度の高いセッティングに悪天候が加わり、スコアメイクに苦しむ選手が多いなか、3選手は予選を通過。最終順位はイ・ソミが3位タイ、キム・スジが10位タイ、パク・ミンジが20位タイに入った。

 彼女たちは帰国後、今週の韓国ツアーに参戦しているが、3位タイにはいったイ・ソミは、韓国メディアに日本ツアー初参戦の感想についてこう語っていた。

「グリーンがとても難しかったです。グリーンが小さく、スピードも速かった。ピン位置も難しい場所にきってありました。コースもラフも長かったですし、雨風も強くなることもあったので、さらに難しくなりました。実際、韓国とは芝の質が少し違うだけで、コースはそれほど違いを感じませんでした。アンダーパーを1回は記録したかったですが、それを達成できなくてとても残念です。機会があればまた日本に来たい」

 また、キム・スジも日本ツアーに好印象を持っていた。

「メジャーのコースで難しかったけど面白いセッティングで楽しめました。また機会があるのならば他の大会も出てみたいです。日本ツアーに行くという選択肢も考えるようになりましたし、機会があれば、資格をクリアして参加してみたいです」

 パク・ミンジは韓国のトッププレーヤーとしてのプライドもあったのだろう。悔しさがにじむコメントを残し、リベンジを誓っていた。

「来年に向けても勉強になったので、また戻って来られたらなと思っています。その時は今回の経験を踏まえて万全の準備をして戻ってきたい。日本ツアーに対しての興味は湧きました。選手を守る制度もしっかりしていますし、たくさんの方が選手を尊重してくれる雰囲気があって、すごく良かったです」

「日本ツアーに来てみてすごく良かった」

 大先輩の申ジエも彼女たちと少しの会話を交わしたようだが、これから日本ツアーを選ぶきっかけになるかもしれないと言っていた。

「彼女たちは今まで日本ツアーは見て、聞いただけだったようですが、実際に来てみると『すごく良かった』と話していました。こうして機会があるたびに日本ツアーに挑戦してもらえるのは私としてはすごくありがたいです。この大会にはコロナ禍で出たくても出られなかった韓国選手たちも多かったと思うので、今回は日本ツアーを知ってもらえるいい機会になったと思います。もし彼女たちが日本に来る機会があれば、色々なアドバイスができればと思っています」

 帰国した3選手は、日本ツアーで経験したことを韓国ツアー選手や関係者に話しているはずだ。それを聞いた他の選手たちも、日本ツアー挑戦を考えるきっかけになると思う。

 かつてイ・ボミが賞金女王になった全盛期に、日本ツアーの良さが多くの選手に広まり、その後、キム・ハヌル、ユン・チェヨン、アン・シネ、イ・ミニョン、ペ・ソンウなどが参戦してきた。

 現状では日本のプロテストに合格するなどして正会員にならなければ、日本ツアーの予選会(QT)にも出られないが、それでもこれからは少しずつ日本ツアーへ意識を向ける韓国の選手たちが出てくるかもしれない。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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