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「日本の弱さを間接的に証明したのはオマーン」韓国メディアがサウジ戦の敗因をチクリと指摘

金明昱スポーツライター
サウジアラビアに0-1で敗れた日本(写真:ロイター/アフロ)

「“W杯脱落の危機”日本、韓国の危機説と次元が違う」

 韓国のサッカー専門サイト「フットボリスト」がつけた見出しだ。

 カタール・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選で日本代表は、敵地でサウジアラビアに0-1で敗れた。そのニュースはお隣の韓国でも速報で報じられていた。

 ただ、母国・韓国代表もシリアに2-1で勝利したとはいえ、内容ではほぼ互角に近かった。韓国は後半3分に先制したが、同39分にシリアに同点ゴールを許し、あわや引き分けになるところを救ったのがエースのFWソン・フンミンだった。後半43分に決勝ゴールを奪い2-1で勝利した。

 韓国はグループAを2勝1分の勝ち点7で現在2位。1位は3勝しているイランだ。

 しかし、グループBの日本は1勝2敗の勝ち点3で3位。オマーンとも同じ勝ち点3で並ぶが、得失点差でわずかに3位に入った状況だ。勝ち点9で1位のオーストラリア、2位のサウジアラビアには大きく突き放された。

 そんな日韓の状況を比較した「フットボリスト」は、「韓国代表の“危機説”と競技力は、悪いシナリオに対する憂慮から出た話だが、日本は“危機”そのものだ。W杯本戦行きも不透明になった」と伝えている。

 さらに「日本は1勝2敗で深刻な危機に陥った。初戦はホームにも関わらずオマーンに0-1で敗れ、危機が始まった。2戦目で中国に1-0で辛勝し、続くサウジアラビアにも敗れ、問題が大きくなった」と報じ、初戦のオマーンに敗れたあとの対処の悪さがそもそも危機の始まりと指摘している。

「日本の10月の日程は、W杯当落をいち早く左右する最も重要なマッチアップだった。サウジ戦に続いて、12日にはホームでオーストラリアとの試合があるからだ。日本、サウジ、オーストラリアはグループBのアジア最強国だ。このなかで2チームがW杯本戦に進み、3位のチームはプレーオフに進む」と現状を説明したうえで、「現在、有力な3位候補は日本だ」と言い切っている。

 オーストラリアとサウジが3戦全勝で1位と2位だが、3位争いを日本とオマーンがすることになると予想。

 こうした状況になったことについて「フットボリスト」は「日本を破ったオマーンが、その後の2試合でサウジとオーストラリアに敗れたことで、さらに日本の弱まった競技力を間接的に証明した格好となった」と指摘している。

 つまり、オマーンが日本に勝利したことで、サウジアラビアも「勝てない相手ではない」と見ていたと分析。もちろんそれはオーストラリアにも言えることで、アジアではW杯常連国の日本も今は難しい相手ではないと見られているかもしれない。

 いずれにしても日本にとっては12日、ホームでのオーストラリア戦が最大の山場になる。ここで勝利できなければ、W杯出場がさらに遠のくのは間違いない。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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