Yahoo!ニュース

「日本に4連勝中の“楽しい”記録が破られた」侍ジャパンに敗れた韓国。母国メディアは敗因をどう報じた?

金明昱スポーツライター
準決勝で日本に敗れ肩を落とす韓国の選手たち(写真:ロイター/アフロ)

「悪夢の8回」――。

 ほとんどの韓国メディアがそう表現するほど、紛れもなく勝敗を分けたのは2-2で迎えた8回だった。

 救援で登板した韓国のコ・ウソク。一死一塁から近藤健介を一ゴロに仕留めて併殺で終わるところ、一塁のベースカバーでベースを踏めずに仕留めそこねた。

 そこから一気に二死満塁のピンチを招くと、バッターボックスに立った山田哲人が左中間へ走者一掃の二塁打を放ってスコアは2-5。ここで勝負は決まった。韓国は9回の最後の攻撃でも得点を奪えず、決勝戦に進めなかった。

「スポーツ東亜」は「ディティールで分かれた勝敗」と見出しを打ち、日本のミスのない守備と比較しつつ「コ・ウソクがベースを踏み外し、イニングを終えなければならない状況だったが、その後も日本の攻撃が続いた」と、痛恨の凡ミスが勝敗の分かれ目だったと強調していた。

 また、ニュース総合サイト「news1」は「8回が事実上、勝敗を分けた決定的シーンだった」と、こちらもコ・ウソクのベースカバーミスがなければ、かなり状況が変わっていたと伝えている。

 さらに「今回の敗戦で、五輪野球の舞台で続いていた韓日戦の連勝も途切れた。2000年シドニー五輪の予選リーグから、日本を相手に4連勝中だったが、この日の敗戦で“楽しい記録”も破られた」と、過去の五輪で日本に勝利してきた記録がストップしたことも記憶として残ると報じている。

 ちなみに8回のピンチの状況で、コ・ウソクを降板させなかった理由についてキム・ギョンムン監督はこう答えていた。

「彼が8回を終えてからにしてほしいと伝えてきた。ブルペンで準備していたピッチャーはいた。ただ、今日勝てば終わりだが、明日の試合も考える必要があった」

 選手の力を信じた結果だったが、あまりにも惜しい敗戦。ただ、韓国には次がある。

 敗者復活に回り、5日に米国と決勝進出を賭けて戦う。ここで勝利すれば、再び日本と当たる。雪辱を果たすためにも、まずは米国を相手に勝利を手にしたいところだ。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

金明昱の最近の記事