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今年の日本女子ゴルフQTが韓国選手にはある意味ラストチャンス!?例年の倍となる大量エントリーのワケ

金明昱スポーツライター
日本QTに出場する“第2のアン・シネ”ユ・ヒョンジュ(写真:KLPGA提供)

 来シーズン、日本女子プロゴルフ界に新たな“韓流旋風”は吹き荒れるのだろうか。

 今年も活躍が期待されていたイ・ボミやキム・ハヌルは本来の調子が戻らず元気がなく、“セクシー・クイーン”アン・シネも日本ツアー出場は限られている状態だ。

 今季、優勝を手にしている申ジエやアン・ソンジュ、昨年から日本ツアーに参戦したイ・ミニョンやユン・チェヨンらの活躍は目覚ましいが、これからも優勝や上位進出ができる保証は一つもない。

 日本における女子ゴルフ“韓流”も、陰りが見え始めるころかと思われたが、今年の日本のクオリファイングトーナメント(QT=予選会)でちょっとした“異変”が起きている。

 というのも、今年は韓国から多くの選手がQTにエントリーしていることが判明したからだ。

約30人の韓国人選手が日本QT出場

 ちょうど8月8~10日まで、B地区(静岡県)とD地区(兵庫県)でファースト(1次)QTが行われたのだが、両地区合わせて14人が出場。その中からセカンド(2次)QTに駒を進めたのは5人。

 さらにLPGAに確認したところによると、8月29~31日に行われるA地区(福島県)とC地区(三重県)のファーストQTにも17人の韓国人選手がエントリーしているという。

 つまり、ファーストQTが始まる時点では、約30人の選手が日本のQTにエントリーしていたことになる。

 実は2016年は16人、2017年は17人だったのだが、今年はその2倍近い選手がエントリーしていた。なぜこんなにも今年は多いのか。

 これまでは非会員でもQT受験が可能で、上位に入ればTP単年登録によってツアー出場が可能だったが、この制度も今年まで。来年以降QTを受験するには、プロテストに合格するか、ツアーで優勝してLPGA会員資格を得るしかない。

 ただし、今年から賞金シードを獲得しても会員資格が得られるようになったため、今年QTを突破して来季ツアーに参戦、優勝ないしシード権とともに会員資格も獲得するというのが最高のシナリオになる。

 もしそれが叶わなければ、会員資格を持たない韓国人選手がプロテストからQTまで通算5回の予選会に参加することはかなりの負担。彼女らにとってはある意味、今年が日本ツアーに参戦できるラストチャンスになるというわけだ。

“第2のアン・シネ” ブレイクなるか

 前述の通り、ファーストQTを突破できなかった韓国人選手も多く、そう簡単に来季の出場権を得られるわけではない。ただ、エントリーした選手の顔触れを見ると、実力者と人気選手が多数存在する。

 第一に注目したいのは24歳のユ・ヒョンジュ。彼女は今月29日から始まるC地区(三重県)に姿を見せる。

 現在は下部のドリームツアーを主戦場とするが、韓国ゴルフ界では話題の選手の一人。172センチの長身で抜群のプロポーションを誇る。インスタグラムにアップしたセクシーな写真が話題になったり、ゴルフ用品のCMにも起用されたりと、日本の出場権を獲得できれば“第2のアン・シネ”として注目されるのは間違いない。

 今年4月の韓国ツアーでユ・ヒョンジュと会い、会場で話を聞いたが「日本で“第2のアン・シネ”と言われているのは人づてに聞きました(笑)」と、日本でのプレーをかなり意識していた。

 近年は多くの韓国選手が日本でプレーし、結果を残していることもよく知っていた。それに、日本ツアーのいい話をたくさん聞いたという。

「日本は環境が抜群で、プレーした韓国人選手の誰もがとてもよいツアーだと言ってます。私も日本でプレーしてみたい!」と笑顔を見せていた。

新たな“刺客”登場の予感

 22歳の若手、キム・イェジン(LPGA登録名はキム・エジン)にも注目だ。B地区のファーストQTを3位で突破。2013年に韓国でプロとなり、2016年に初優勝。2017年はトップ5入りが2回と実力は折り紙つき。韓国のシード権を持つ実力者が、日本参戦に意欲を燃やしている。

 29歳のキム・ダナも170センチの長身で、韓国では“美女ゴルファー”と呼ばれている一人。2009年にプロ入りし、2013年に1勝。昨年シードから陥落し、今季は下部ツアーでくすぶっていたところ、日本挑戦を決意した。こちらも今月29日のC地区(三重県)に出場する。

 そして、ファイナルQT突破が確実と見られているのが、2016年に韓国ツアーで2勝し、3年連続で4ツアー対抗戦「ザ・クイーンズ」に出場している24歳のペ・ソヌ(LPGA登録名はぺ・ソンウ)だ。

 実力通りにB地区のファーストQTを1位通過。今後、彼女の名前を日本で見る機会は増えるかもしれない。

 いずれにしても、例年よりも人気・実力を備えた韓国人選手がエントリーしていることもあり、来年以降も女子ツアーはより競争力が高まるのは間違いなさそうだ。

(『週刊パーゴルフ』2018年8月28日号に掲載されたものを加筆・修正しました)

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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