朝ドラこと連続テレビ小説「ブギウギ」（NHK）、スズ子（趣里）が愛助（水上恒司）の子供を妊娠して、幸福の絶頂に。だが愛助は病が再発していた。

琵琶湖のそばの余呉湖でロケを行った、スズ子と愛助、最大の幸せなシーンがキラキラして、心に残った第17週。その一方で、再び闘病生活に入った愛助の弱り具合がいたましい。

朝ドラは撮影スケジュールの都合上、なかなか順撮りできないそうだが、水上さんは、次第に弱っていく愛助をどう演じたのか。制作統括の福岡利武チーフプロデューサーに聞いた。

「水上さんは台本を読んで、病で痩せて見えるところは大事なポイントであると考え、だいぶ前の段階から、自分の肌の色や痩せ具合を考慮にいれていました。とくに、第17週から、病気が深まっていくにつれて工夫されています。水上さんは、体格もいいし、スポーツをやっていたから、ともすれば健康的なキャラクターに見えてしまうので、しっかり役作りしないと、病に冒された人物のリアリティが出せないのではないかとずいぶん考えていらっしゃいました」

たしかに、顔色が抜けるように白く、第17週では激痩せして見えた。病になったり治ったり、また悪化したりの流れを短期間で、すごく努力して表現している水上さん。さぞや大変なことだろう。撮影していないときはどうしているのだろうか。

「とても元気ですね（笑）。ひとりで暗く集中し、誰ともしゃべらないというようなことはなく、前室でみんなとおしゃべりしながら楽しくやっています。たまにひとりで読書していることもありますが。どちらかといえば、大阪ことばが難しいみたいで、言葉の確認に余念がないようです」

慣れない大阪ことばや、自身の健康的な身体を病の身体に見せることなど、たくさんの課題に挑む水上さんに注目したい。

さて、その愛助。下宿時代から、その部屋のインテリアが独特のものだったが、引っ越して、スズ子との愛の巣（？）を築いてからも、下宿時代のアイテムをそのまま持ち込んでいる。

ひとつ気になったのが、木彫りのトーテムポールみたいな楽器みたいなもの。やけに存在感のあるあれは何なのか、福岡CP に聞いてみた。

「ありますよね。僕も気になって、聞いたことがあるんですよ。民族楽器の、太鼓なんです。愛助の部屋には、さまざまな楽器のオブジェや民族楽器のほか、胸像にチャップリンのようなヒゲが付けられたものなどもあり、世界のエンターテインメントに興味を持っている愛助の嗜好が表現されています」

さらに気になるのが、居間でスズ子と愛助がちゃぶ台に向き合ったとき、奥に映っている家具と置物。昭和の家にはちょっとめずらしいテイストである。美術スタッフのかたにコンセプトを確認してもらったところ、

「その頃、中国文化が入ってきていたため、中国テイストものを置いたそうです。三鷹の家が和風だったので、西洋のものではなく、中国のものでも日本の家に馴染むようなものを選んだそうですよ」

スズ子も愛助も、先端のエンターテインメントに従事している者たちらしく、庶民とは少し違ったアイテムを持っている。こういうさりげない工夫が、ドラマに厚みや深みを作り出すのだ。