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<ブックオフ>中古ゲームの年末商戦の売れ筋は? 前年同月比4倍の作品も

河村鳴紘サブカル専門ライター
ブックオフ イオンモール大牟田店のゲームコーナー=ブックオフ提供

 年末商戦はゲームソフトが最も売れる時期なのですが、実際にどんな売れ方をしているのでしょう。さまざまなジャンルの中古販売を手掛ける「ブックオフ」に聞いてみました。

◇スイッチの売れ行き強く 比率は5~6割

 中古を扱うブックオフでも、年末商戦は繁忙期になります。新品のゲームソフトも扱っていますが、ブックオフで売れるのは、やはり圧倒的に中古。そしてゲームに限らず、扱う商品そのものが増えるそうです。なぜ年末年始に商品が増えるのか……というと、各家庭の大掃除で出た不用品が店に持ち込まれるから。つまり、年末年始は、買いどきでもあるわけです。

 話をゲームに戻します。ブックオフコーポレーションのブックオフ商品部ソフトグループ・稲森達也さんは中古ゲームの売れ行きについて「ここ何年かは、ニンテンドースイッチのソフト一色にそめられています」と話しています。これは全国的にも同様の傾向と言います。

 ブックオフで今年11月に売れた中古ソフトのランキングですが、トップ10は、すべてニンテンドースイッチのソフトで、ほとんどが任天堂のソフトでした。1位は新作の「スーパーマリオブラザーズ ワンダー」で、2位には「大乱闘スマッシュブラザーズ」。ランキングを見ての通り、定番ソフトと、新作ソフトが入り乱れる構図です。

◆ブックオフ直営店 11月の中古ソフト販売ランキング
(1)スーパーマリオブラザーズ ワンダー
(2)大乱闘スマッシュブラザーズ スペシャル
(3)ピクミン4
(4)マリオカート8 デラックス
(5)マリオパーティ スーパースターズ
(6)太鼓の達人 ドンダフルフェスティバル
(7)スプラトゥーン3
(8)ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム
(9)桃太郎電鉄~昭和 平成 令和も定番!~
(10)あつまれ どうぶつの森

 各メーカーは中古ゲーム対策として、追加コンテンツを定期的に配信するなど、さまざまな工夫を凝らしています。しかしそれでも、中古市場には相応の数が出るそうです。また年末商戦は、パーティー系ゲームの売れ行きが普通の月よりも伸びる傾向にあります。また「ポケモン」はどのタイトルも良く売れるといい、シリーズものは、過去の作品もよく動くそうです。

 せっかくなので、ゲーム機ごとのソフトの割合も聞きました。稲森さんは「肌感覚」と前置きした上で、ニンテンドースイッチが5~6割を占めると説明。残りは、PS4、ニンテンドー3DS、PS5、ファミコンなどのレトロゲームなどで分け合うような感じになるそうです。PS5よりもまだPS4の売れ行きが強く、3DSもしっかり動いているあたりは、いかにも中古市場らしいといえます。

 PS4のタイトルで人気なのは「アーマード・コア6」や「ホグワーツ・レガシー」「ストリートファイター6」。さらに昨年2月に発売されてだいぶ時間が経過している「エルデンリング」も人気です。2020年の発売当時はバグ騒動のあった「サイバーパンク2077」も上位に来ているそうです。同作は、バグ問題を立て直してからは動きが良いのだそうです。

◇中古ゲームで前年同月比4倍の作品も

 ブックオフの中古ゲームソフトで面白い動きとしては、ニンテンドースイッチの人気ソフトが今年は前年同月比と比較して、よく売れる傾向があるそうです。

 例えば「大乱闘スマッシュブラザーズ スペシャル」(2018年発売)ですが、今年10月の売れ行きが前年同月比で2倍に急増。「マリオパーティ スーパースターズ」(2021年発売)に至っては、今年10月の売れ行きが前年同月比で4倍になったそうです。価格の大きな変動があるわけでもないのに、なぜこのタイミングで急激に売れているのか。ブックオフでも、急増した理由に心当たりがないそうです。

 ちなみに昨年のニンテンドースイッチ本体は、新品の品不足を受けて、中古市場が活況でした。そしてスイッチ本体で最も売れるのは、最も価格が高い「有機ELモデル」でぶっちぎりとのこと。続いて低価格の「ライト」、最後に「通常版」とのことです。

 スイッチ本体の売れ行きについて、なぜ高い有機ELモデルが最も売れるのか。そして通常版よりもライトの方が売れるのか。不思議なところではあります。稲森さんは「テレビにつないで遊ぶなら、有機ELモデルである必要はないはずなのですが……。周囲の話を聞くと『人気商品の最新型は欲しくなるもの。他は旧モデルという扱いになるのでは』という声がありました」と明かしています。

 中古市場で、国内だけで本体を3000万台売ったニンテンドースイッチの取引が活発なのは当然ですが、数年前に出たソフトでも勢いが落ちていないのです。中古市場でスイッチのソフトが、活発に売れているのが何を意味するのか……気になるところです。

サブカル専門ライター

ゲームやアニメ、マンガなどのサブカルを中心に約20年メディアで取材。兜倶楽部の決算会見に出席し、各イベントにも足を運び、クリエーターや経営者へのインタビューをこなしつつ、中古ゲーム訴訟や残虐ゲーム問題、果ては企業倒産なども……。2019年6月からフリー、ヤフーオーサーとして活動。2020年5月にヤフーニュース個人の記事を顕彰するMVAを受賞。マンガ大賞選考員。不定期でラジオ出演も。

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