Yahoo!ニュース

WBCの日本優勝で野球ゲームにも追い風

河村鳴紘サブカル専門ライター
ワールド・ベースボール・クラシックに出場、活躍した大谷翔平選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 野球の国・地域別対抗戦、第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、日本代表が優勝しました。大谷翔平選手が9回に登板し、米大リーグ屈指の打者・マイク・トラウト選手を三振に打ち取り、喜びを爆発させる姿に感動を覚えた人も多いでしょう。テレビやネットニュース、SNSはWBC一色でした。

 そんなWBCの盛り上がりを受けて、ゲームの動向にも変化がありました。スマホの野球ゲーム「プロ野球スピリッツA」が、iPhone向けなどのダウンロードサービス「App Store」で、並み居る人気ゲームを押しのけ、ゲームランキングのトップになりました。

 スマートフォンのゲームは、特定の人気ゲームがつねに上位を独占する傾向にあります。「App Store」でいえば、「ウマ娘」と「モンスターストライク」がトップを争っていました。「プロ野球スピリッツA」も、人気作の一つですが、この二つの壁は高かったのです。

 さまざまなスマホゲームのランキングデータが開示されていますが、そこでも「プロ野球スピリッツA」の躍進が表れています。デイリーのデータを追うと、WBCが始まる前はあまり変化が見られなかったものの、開幕の中国戦、第2戦の韓国戦で一気に急伸。その後もそのまま上位にランクインし続けていました。世間の盛り上がりと、ランキングの変動が比例しているともいえるでしょう。

 さらに言えば優勝直後に、ゲームを手掛けるコナミデジタルエンタテインメントが「プロ野球スピリッツA」で、大谷選手や山本由伸選手、村上宗隆選手らWBCの選手が登場、ゲーム内で獲得できる企画を始めました。日本代表のユニホーム姿の大谷選手を見ると、思わずゲームがやりたくなる人も多いでしょう。

「プロ野球スピリッツA」の大谷選手
「プロ野球スピリッツA」の大谷選手

 基本利用料アイテム課金のスマホゲームは、ゲームを遊ぶ人をいかにして増やすかがビジネスモデルの要です。そのためには、世の中の動きに敏感に反応しなくてはいけないうえに、ゲームは手間がかかるので何かと大変なはずですが、スピーディーな動きはさすがです。権利の調整もある中で、当たり前をキチンとできるかが大切なのです。

 スポーツゲームの売れ行きですが、実は日本代表の活躍と相関関係があります。日本代表が世界大会で快進撃をすると、ソフトが急に売れたり、アプリのランキングが伸びるのです。

 サッカーのワールドカップでは日本代表が勝つと、パッケージゲームの売り上げがその週は数倍に増えたりします。ラグビーのワールドカップで日本代表が同じく勝つと、スマホゲームのダウンロードランキングで、ラグビーのゲームが何本も上位にランクインしました。

 ちなみに逆に日本代表が負けると、売れるような動きはありません。“神頼み”になるのは確かですが、それだけに勝てば追い風……プロモーションの効果は抜群といえるでしょう。

サブカル専門ライター

ゲームやアニメ、マンガなどのサブカルを中心に約20年メディアで取材。兜倶楽部の決算会見に出席し、各イベントにも足を運び、クリエーターや経営者へのインタビューをこなしつつ、中古ゲーム訴訟や残虐ゲーム問題、果ては企業倒産なども……。2019年6月からフリー、ヤフーオーサーとして活動。2020年5月にヤフーニュース個人の記事を顕彰するMVAを受賞。マンガ大賞選考員。不定期でラジオ出演も。

河村鳴紘の最近の記事