Yahoo!ニュース

「どうする家康」だけではないユニークな徳川家康の姿 平和主義者やギャンブラーも

河村鳴紘サブカル専門ライター
徳川家康のイラスト(提供:アフロ)

 松本潤さん主演のNHK大河ドラマ「どうする家康」がスタートしました。徳川家康と言えば、戦国の世を生き抜き、忍耐と権謀術数を駆使した成功者……というイメージですが、松本さんの演じる家康(松平元康)は、タイトル通り「どうする」と迷いのあるユニークな家康像が描かれています。小説やマンガなど他のコンテンツでは、どんな家康像があるのでしょうか。

 戦国時代は、小説をはじめ、ゲームや映像など多くのエンタメコンテンツの題材になっています。徳川家康の一般的なイメージをシンプルに表せば、長い時間をかけて天下を取ったこともあり「忍耐」でしょうか。また豊臣家を滅ぼし、豊臣派の大名を次々と取り潰した手法から「冷酷」というイメージを抱く人もいるでしょうか。長年の平和を作り出しただけに政治家としての能力は高いものの、親しみやすいかと言うと厳しいものがあるかもしれません。

 ですが、歴史にはいろいろな解釈ができる余地があり、コンテンツは娯楽であるがゆえに、いかにして面白いキャラクター性を創出するかはクリエーターの腕の見せ所です。

 まず挙げるとすれば、山岡荘八の小説「徳川家康」でしょう。同作の家康は、平和主義者の側面があります。豊臣家の滅亡時に、豊臣にゆかりのある武将ですらあきらめる中、家康は豊臣家を存続させるために懸命に努力を続けます。ちなみに同小説を原作にした横山光輝のマンガ「徳川家康」もあり、全23巻と中身も詰まっています。

 続いてユニークな家康を挙げると、宮下英樹さんのマンガ「センゴク」シリーズです。同作は、豊臣秀吉の子飼いの武将で仙石秀久が主人公ですが、家康もキーマンの一人として登場します。同作に登場する家康は、ギャンブラーで激情にかられる性格だったのですが、忍耐を覚えて生来の激情を抑え込み、スケールの大きな武将へと成長していきます。織田信長や豊臣秀吉を相手に本心を隠し続け、関ケ原の戦いで本心を見せるシーンは圧巻です。

 みなもと太郎の歴史ギャグマンガ「風雲児たち」に登場する家康は、天下統一、権力への執着をより強めることで、ユニークに描かれています。「秀吉からすべて奪い取った」と豪語し、徳川の天下を維持するために、あらゆる可能性を吟味していきます。朝廷の権威に対抗するため、自らを神にした構想は、家康のスケールの大きさ、思慮深さを感じさせます。一方で、絶対的権力者の寂しさ、苦労を思わせるシーンもあり、複層的に描いているのです。

 番外編となりますが「影武者 徳川家康」も、面白いところ。隆慶一郎の小説で、マンガもあります。関ケ原で家康が暗殺され、影武者が家康になりすます……という衝撃の内容で、影武者や家臣を通して、家康像が描かれています。物語の設定上、家康は早々に死ぬものの、家康の持つカリスマ、存在感を感じさせてくれます。

 徳川家康のイメージも、多彩なバリエーションがあるのです。なお、作品によってはアプリなどで無料で読めるものもあります。「どうする家康」をより楽しむためにも、多彩な家康像を押さえておくのも良いのではないでしょうか。

サブカル専門ライター

ゲームやアニメ、マンガなどのサブカルを中心に約20年メディアで取材。兜倶楽部の決算会見に出席し、各イベントにも足を運び、クリエーターや経営者へのインタビューをこなしつつ、中古ゲーム訴訟や残虐ゲーム問題、果ては企業倒産なども……。2019年6月からフリー、ヤフーオーサーとして活動。2020年5月にヤフーニュース個人の記事を顕彰するMVAを受賞。マンガ大賞選考員。不定期でラジオ出演も。

河村鳴紘の最近の記事