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「鎌倉殿の13人」の北条義時 歴史ゲームでの評価は?

河村鳴紘サブカル専門ライター
NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の公式サイト

 NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」がスタートしました。主演の北条義時は小栗旬さんが演じ、脚本家の三谷幸喜さんが手掛けるなど期待が大きそうです。かつて「真田丸」のときは真田信繁(幸村)、「おんな城主 直虎」のときは井伊直虎という具合に、タイミングを合わせて彼ら・彼女らが登場するゲームも出ました。狙いはもちろん、大河の人気にあやかるためです。

 ただし、戦国時代を題材にしたゲームは多いのですが、鎌倉時代を題材にしたゲームは少な目で、パッと思い浮かぶ人は少ないでしょう。

 歴史好きは別にして、織田信長や豊臣秀吉ならともかく、「鎌倉殿の13人」の主役・北条義時の名を聞いたとき、「誰?」「どんな人なの?」という人もいたはずです。

 だからこそ、北条義時について解説する記事がにぎわったわけです。……ということは、ネームバリューがないともいえ、同時代のゲームを出しても……となるわけです。ゲーム制作には原則として相応の人員と開発費が必要。勝算のないテーマ・題材はビジネスとして避けられる傾向にあるので、「歴史ゲームを作るならファンの多い戦国時代」となりがちです。

 「信長の野望」や「三國志」など、これまで多くの歴史ゲームを手掛けたコーエーテクモのクリエーター・シブサワ・コウさん(3D地図を担当)に以前取材したときに「なぜ他の歴史ゲームを作らなくなったの?」と尋ねると、上記2作が突出して売れるからという実に分かりやすい答えが返ってきました。

【参考】NHKも一目を置く超ロングヒットゲーム「信長の野望」はどうして37年売れ続けるのか(文春オンライン)

 ただし、平安時代末期と鎌倉時代前期は、戦国時代に負けないほどダイナミズムに富んだ、実に面白い時代です。どんな具合かといえば。

・平清盛は、武士として政権を取るが絶頂から約20年で一族は滅亡。

・処刑を免れた御曹司(源頼朝)が、天下を取る大逆転劇。

・軍事の天才(源義経)が奇策で連勝し、平家を倒した立役者に。しかし兄(頼朝)と対立して、最後は恩人(藤原秀衡)の息子に裏切られて死ぬ。

・源頼朝に屈して義経を殺した地方勢力(奥州藤原氏)は、その後滅亡。

・天下を制した頼朝の血筋は三代で絶える。三代将軍・実朝の謎の多い暗殺。

・源頼朝の死後、鎌倉幕府の有力者たちの激しすぎる主導権争い。

・朝廷(後鳥羽上皇)がチャンスと見て、鎌倉幕府を倒そうとする。しかし朝廷は完敗(承久の乱)。

 約40年ほどの間に、次々と大イベントが起こるのです。

 そして数は豊富とはいえませんが、平安末期・鎌倉時代初期を舞台にしたゲームはいくつか存在します。そして北条義時の名前が登場するものもあります。

 パッと思いついたゲームを2作品挙げます。源平の戦いを描いた「源平合戦」(1994年発売)と、ユーラシア大陸を席巻したチンギス・ハーン一族と世界各地の英雄が登場するシミュレーションゲーム「チンギスハーン・蒼き狼と白き牝鹿4」(1998年発売)です。いずれもコーエーテクモゲームスがPCなどで発売しました。

 そして北条義時のゲーム中の評価(能力)は有能ですが、意地悪に言えば、何かに突出した能力……とんがったキャラになっていません。「源平合戦」も「蒼き狼と白き牝鹿4」も当時プレーしましたが、北条義時よりも軍事の天才である源義経のほうが明らかに活躍していました。

 ただし大河ドラマで人気になって、北条義時の人気が出れば事情は変わるかもしれません。ファンの期待に沿い、反映させるのがゲーム制作のポイントの一つですから、もっと能力が高くなって扱いが良くなったり、ゲストキャラとして登場したりすることもあるでしょう。そう思ってみると、また違うものが見えるかもしれません。

サブカル専門ライター

ゲームやアニメ、マンガなどのサブカルを中心に約20年メディアで取材。兜倶楽部の決算会見に出席し、各イベントにも足を運び、クリエーターや経営者へのインタビューをこなしつつ、中古ゲーム訴訟や残虐ゲーム問題、果ては企業倒産なども……。2019年6月からフリー、ヤフーオーサーとして活動。2020年5月にヤフーニュース個人の記事を顕彰するMVAを受賞。マンガ大賞選考員。不定期でラジオ出演も。

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