ソニーグループの2021年度第2四半期(7~9月)の連結決算が発表されました。そこでゲーム事業の数字を追いつつ、いまだに慢性的な品不足が続くPS5の出荷数について考えてみます。

◇ゲーム事業は好調も

 ソニーグループの今四半期(7~9月)の売上高は、前年比13%増の約2兆3694億円。営業利益は、同1%増の約3185億円。第2四半期では、いずれも過去最高を更新しました。

 原動力の一つは、変わらずゲーム事業ですね。同部門の売上高は約6454億円で、営業利益は約827億円。売上高は前年同期と比べて1388億円増加し、営業損益は約227億円減ったので「増収減益」です。それでもソニーグループの部門でいずれの数字もトップです。

 「なぜ利益だけが伸びないの?」と言われると、ゲーム機の「PS5」の価格が高いので売上高は伸びやすい反面、利益的には厳しいから。家庭用ゲーム機のビジネスは、ソフトで利益を稼ぐ仕組みになっているので、ゲーム機がより普及して以降が勝負でしょう。

 なおゲーム部門の2021年度の通期決算の見通しですが、売上高は2兆9000億円で営業利益は約3250億円と変更なし(ちなみ2020年度の通期実績は、売上高が約2兆6563億円、営業利益約3417億円)。そしてPS5の今年度の出荷計画数の「1480万台以上」もそのままです。今回注目したいのは、この「変更なし」です。

◇出荷計画「引き下げ」の可能性は

 「1480万台以上」の数字は、元々「1480万台」という数字の達成に相応の自信があり、積み増す気が満々だったことを意味します。

 ところが、実際の出荷数は、第1四半期が230万台。第2四半期は330万台でした。計画通りなら、残り半年でおよそ900万台強を出荷する必要があります。新型コロナウイルスの感染拡大を境に、どの業界も半導体不足が指摘されており、さらに部品調達や生産、流通なども大変ですから、事情は変わりました。そう考えると「半年で900万台強」は、なかなかのハードルの高さです。

 PS5の今年度の出荷計画について、決算説明会の質疑応答で「引き下げの可能性は」と質問が出ました。ソニーグループの十時裕樹副社長は、世界的な物流の混乱、半導体などの供給制約の影響は受けていると認めています。それでもなお、PS5の出荷計画は現時点では変えず、努力で克服すると説明しました。

 つまり、ギリギリの戦いを強いられているということでしょう。この1年のPS5の出荷ペースは、PS4の出荷状況と比較して語られています。もちろんPS4を出した当時は、こんな阻害要因はなかったわけです。新型コロナに端を発する物流の混乱という不安要因を考えると、よく踏ん張っているというのが正直なところです。

 普及の阻害要因は、何かと目立つ「転売」に行きがちですが(もちろんそれも一因でしょうし、問題なのですが)、本質的には、作れば片っ端から売れるはずの商品(PS5)の出荷数が思うように増やせないことでしょう。ここから盛り返す可能性もありますが、「引き下げ」がいつあってもおかしくない……というのが実感です。

 いずれにしても、メーカーにできる対策は正攻法……人気商品(PS5)を1台でも多く出荷するしかありません。まだ忍耐の日々が続きそうです。

 同時に、もし「悪質転売」がなければ、どれだけの好業績だったのか。これは任天堂の決算でもいえることですが、残念でなりません。

◇PSプラス会員は増 月間アクティブユーザーは減

 決算説明会では、ゲーム事業の説明には「モメンタム(勢い)」「エンゲージメント(ユーザーとの関係性)」というワードが使われていました。アドオン(追加の)コンテンツの売り上げが好調だったことを取り上げながら、ユーザーのゲームに対する興味が依然として高い状態にある……と強調していました。

 有料のネットワークサービス「プレイステーションプラス」の会員数は4720万。第1四半期の4630万から増加しました。同サービスは、ビジネスのポイントで安定収益をもたらしてくれます。5000万の大台を目指して、着実に積み上げられるかでしょう。

 そして月間のアクティブユーザー数は1億400万で、昨年の「巣ごもり需要」があった1億1400万(昨年度の第1と第3四半期、ピーク時)よりは落ちています。今後PS5が普及したときに、数字がどう変化するのかも注目したいところです。