任天堂の家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」の累計出荷数が7987万台となり、ニンテンドー3DSの7594万台を超えました。来年度もこの勢いが続くのであれば、「Wii」の1億163万台を抜いてしまう可能性すらあります。

 任天堂の2021年3月期第3四半期(2020年4月~12月)連結決算が発表されました。実感のつかめない巨大な金額に加え、訳の分からない決算用語が並び、「メディアの記事から見るとすごく良さそうなのは分かるけど……」とお悩みの方もいると思うので、ポイントを二つに絞って解説します。

◇スイッチの快進撃 来年度にはWii超えの可能性も

 一つは、「ニンテンドースイッチ」(ニンテンドースイッチライトを含む)の現時点(9カ月間)の出荷数が2410万台だったことです。それは、ゲーム史を変えたWiiに匹敵することを意味します。

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 スイッチの今年度の年間計画数は、当初1900万台でした。ところが皆さんご存じの通り、新型コロナウイルスの感染拡大による需要拡大・品不足(高額転売)を受けて、2400万台と大幅な上方修正をかけました。にもかかわらず、それを9カ月でクリアしたことになります。

 そしてスイッチの売れ行きの勢いが、来年度も続くのであれば、「Wii」の1億163万台を抜いてしまう可能性すらあります。

【参考】ニンテンドースイッチの1億台突破 2021年度達成の公算大 うわさの上位版は…(今年1月2日配信)

 スイッチの新たな年間出荷計画数は、2650万台に設定されました。この数字は、2009年3月期、家庭用ゲーム機「Wii」の年間最高出荷数の2595万台を上回ります。決算時、好調に見せかけるため過大に数字を設定するケースもあるのですが、絶好調の任天堂にはその必要性はないので、手堅い予想になります。いかにスイッチが世界的に人気なのかが分かります。

 なお9カ月の売れ行きの内訳ですが、スイッチが1677万台で、スイッチライトが733万台となり、価格の高いスイッチの方が売れています。スイッチの方が売れる傾向は世界的には同じなのですが、日本の方がより強く出ています。

◇コロナ不振の他業種が嫉妬しそうな業績

 二つ目は“狂っている”(誉め言葉)としか思えない営業利益です。任天堂の売上高は前年同期比37.3%増の約1兆4045億円、本業のもうけを示す営業利益は同98.2%増の約5211億円でした。分かりやすくいえば、営業利益が前年度の「約2倍」なのです。

 さらに通期(1年間)の業績予想……売上高1兆6000億円、営業利益5600億円が何を意味するかです。予想通りなら、売上高は2009年3月期の約1兆8386億円には届きませんが、同年度の営業利益の約5552億円を上回ることになります。つまり、任天堂の全盛期に匹敵する業績になります。コロナで苦しむ他業種の経営者から見ると、嫉妬(しっと)すら感じる数字です。

 「スイッチがこれだけ売れるなら、売上高がもっと伸びるのでは?」という疑問もあるかもしれません。ですが、これは仕方ない面があります。2009年3月期は、WiiとニンテンドーDSの二つのゲーム機が大ヒットした“空前絶後”の当たり年です。ゲーム機は利益幅は少ないのですが、売上高は稼げるビジネスになっているのです。一つのゲーム機で、二つのゲーム機の売上高を抜くのはかなり大変ですが、営業利益をこれだけ稼げば文句のつけようもないでしょう。

 なおスイッチのファミコン(6191万台)超えがニュースになり、ヤフートピックスで取り上げられたのは、昨年11月の話です。コロナの「巣ごもり効果」という“追い風”があるにしても、驚異的な“成績”なのです。