任天堂の家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ(スイッチ)」の累計出荷数が2021年度までに1億台を突破する可能性が高いのはご存じでしょうか。任天堂の決算を普通に見ると、そういう結論になるのです。

 スイッチのファミコン(6191万台)超えがニュースになったのが、第2四半期の決算発表があった2カ月前の昨年11月なので、「え?」と思うかもしれません。

 2019年度(2020年3月末時点)までのスイッチの累計出荷数は5577万台でした。今年度(2020年度)の出荷計画が2400万台(当初発表の1900万台から上方修正済み)で、

Wiiのピーク時(2595万台、2008年度)に迫る数字となります。

 従って、計画通りなら今年の3月末までに累計7977万台になります。この段階でニンテンドー3DS(7594万台)の数字を上回るので、その時は「スイッチが3DS超え」というメディアの記事でにぎわいそうです。計画数より23万台売れて8000万台に届けば、2021年度の1億台到達の確率は相当アップします。

 ちなみに2020年9月末時点の半年間で、スイッチは既に1253万台を出荷しています。最も売れるクリスマス商戦(第3四半期、2020年10~12月)抜きの数字で、今年3月には「モンスターハンターライズ」(カプコン)というビッグタイトルが待ち受けます。

 懸念は、昨年12月に発表された、スイッチの一部機器の不具合、交換でしょうか。現段階では出荷計画の変更(下方修正)はありませんが、その影響も気になるところです。

【参考】初回設定中にエラーコード「2162-0002」が発生するNintendo Switch本体について(任天堂)

 2021年度(2021年4月~2022年3月)の年間出荷数ですが、発表されるのは例年であれば年度末決算の出るゴールデンウイーク前後ですね。なおこれまでのスイッチの年間出荷計画の推移は以下のようになります。

=著者作成
=著者作成

 新型コロナの脅威はいまだに世界的に猛威を振るっていて、「巣ごもり需要」も引き続き期待できる状況にあります。総合的に見ると、2021年度までの1億台到達は、急な販売不振、大規模トラブルに見舞われない限り、届きそうな状況です。

◇スイッチの上位バージョンは?

 さらにいえば、任天堂には切ってない“カード”があります。ネットのうわさや、一部メディアの記事でも取り上げられているニンテンドースイッチの上位バージョンです。

 ゲーム機の改良、新バージョンの開発、次世代機の開発は、水面下で着手しているのが普通です。任天堂のライバルであるソニーも同じで、開発者がPS4 Pro(PS4の上位バージョン)を作るにあたりPS5を意識し、PS5でもその先のことを考えていることを明かしています。

【参考】PS5の構想とコンセプトは 5年後を見抜く眼力 そしてその先は……

 携帯ゲーム機に特化した「ニンテンドースイッチライト」が発売されたのは、2019年9月でした。その前年度(2018年度)はスイッチの年間出荷数が計画未達で、そのテコ入れとして出された形になっています。そう考えると、スイッチが売れている今、上位バージョンを出すとしても、時期尚早と言えます。

 ただし、ピークを迎えたゲーム機はその後は出荷数を減らす流れになるので、経営視点で見ると、スイッチが遅かれ早かれその局面に差し掛かるのは避けようのない話で、何かの手を打つ必要があります。そもそも2021年度に今年度(2020年度)に匹敵する出荷計画を立てるのはハードルが相当高いのは確かですから、あえて勝負をかける考えもあるでしょう。ただしスイッチの商品寿命を延ばすことを考えると、実際の販売状況を見ながら、上位バージョンの発売は遅らせる方がベターといえますから、かじ取りは難しいでしょう。売れたゲーム機ならではのぜいたくな悩みですが……。

 ともあれ、まずは今年度のクリスマス商戦の結果と、残り3カ月での数字の上積みが大切です。そこで好成績であれば、2021年の年内に1億台に届く可能性すらもありえます。2月1日に発表される任天堂の第3四半期決算で明らかになる年末商戦の結果を楽しみに待ちたいと思います。