PS5高額転売の価格下落でネット 「爆死」「転売屋死亡」と盛り上がる

ソニーの新型ゲーム機「プレイステーション5」=著者撮影

 12日の発売を前に“完売”する人気となったソニーの新型ゲーム機「プレイステーション(PS)5」。フリマアプリで高額で転売されている問題で、発売翌日から転売価格が急に下落していることを受けて、ネットでは「爆死」「転売屋死亡」などの書き込みで盛り上がっています。グーグル検索で「PS5」「転売」と打ち込むと、関連する検索キーワードに「爆死」「暴落」「下落」などが表示されています。

◇フリマアプリ規約違反も……

 PS5は9月18日から販売店やECサイトなどで予約を受け付けたものの、購入希望者が殺到して抽選に外れる人が続出。各販売店でも予約を受け付けるにあたり、購入履歴など1人で複数を購入できない施策を取って対抗しました。

 しかし、予約に当選したとみられる人の一部が、希望小売価格(ディスクありの通常版が4万9980円、デジタルエディションが3万9980円、消費税抜き)の2倍前後の価格を提示して、ツイッターで転売を募っていました。

 そして発売前日の11月11日には、フリマアプリ「メルカリ」で10万円以上で出品がはじまりました。同サービスの規約には「手元にない商品の出品を禁止」とありますが、メディアに掲載されたとみられる写真を使っていました。

メルカリでは、手元にない商品の出品を禁止しています。

商品が手元にないことで、商品に関する質問に答えられない、配送できない/遅延するなどのトラブルを避けるためです。

また、他社のECサイトから購入者宛に直接商品を発送することや、配送代行サービスの利用も禁止しています。

違反を確認した場合は取引キャンセル・商品削除・利用制限となる場合があります。

出典:メルカリ

 メルカリの規約に沿えば、11日分の出品は一斉に削除されてもおかしくありませんでしたが、残念ながら売られていました。運営は高額転売を実質的に許容し、消極的に見られても仕方のない対応になっています。

【参考】相次ぐPS5の高額出品、100台で900万円も 「出品禁止は考えていない」「権利者からの申し立てがあれば削除も検討」――メルカリに対応方針を聞く(ITmedia)

 運営会社が高額転売に対して断固たる対応を取れば、フリマアプリのブランドイメージはアップするでしょう。しかし、転売狙いの出品者(顧客)はライバルアプリに流れる可能性が大で、収益の弱体化を意味します。

 なおメルカリは東証マザーズの上場企業で、プロサッカーチームの強豪・鹿島アントラーズを傘下に持ち、ブランドイメージの向上を図っています。2020年6月期の通期売上高は、前年同期比47.6%増の約763億円と急成長していますが、一方で約193億円の営業赤字を計上しています。2021年6月期の第1四半期決算では、売上高は前年同期比52.3%増の約221億円、営業損益は約4億円の黒字でした。 決算数字を見る限り、高額転売に対して消費者の望む対応を期待するのは難しいのかもしれません。

 「法に触れなければ問題がない」「利益の徹底追求」というスタンスもひとつの姿勢かもしれませんが、長い目で見るとどうでしょうか。2012年、高額課金を誘発すると指摘されたスマートフォンの「コンプガチャ」問題で、消費者庁が規制に動き、スマホゲームの提供会社は慌てて反応しました。以前から業界内でも課金を誘発させすぎる仕組みは「やりすぎ」と疑問視する声はあったのですが、結局外圧で動く形になりました。社会問題になっている以上、この流れがフリマアプリでおきない保証はありませんし、そうなればビジネスの自由度は確実に失われます。

 もちろん転売の規制は、線引きが難しく、現行法では対応できないのも事実です。そのため「規制されない」と踏んでいるのでしょうが、企業の姿勢として実質上の「高額転売容認」は、ほめられたものではありません。そして、問題はくすぶり続けて企業や業界のイメージに悪影響を及ぼし続け、常にビジネスのリスクを抱えることになります。

◇“採算割れ”でも購入はリスク

 ネットでは、PS5の高額転売の価格下落を見て「転売屋無事死亡」「飯がうまい」「いい薬」などの声がありました。ただし「爆死」とあるものの14日の段階では、転売でPS5は7万~8万円で取り引きされているようです。フリマアプリの手数料と送料を考えるとPS5のデジタルエディションなら約5万円、通常版なら6万円強が“採算ライン”といったところ。そういう意味ではまだ相応の“利益”は出ていて「爆死」は言い過ぎな気もしますが、希望小売価格の2倍以上で売れるような「濡れ手で粟」レベルの高額転売ではないという意味では的を射ています。

 また今回の動きを見て、購入を控える人も出るでしょう。そうなるとさらなる転売価格の下落はもちろん、本当の意味での“採算割れ”になるかもしれません。PS5は今後も定期的に出荷されるわけですから、転売ヤーが焦るのは確実でしょう。

 なお今後、転売“採算割れ”のPS5が出ても、購入するのは得策ではありません。商品に問題のある可能性、保証の問題などがあります。発売がスタートしたばかりの精密機器であることを考慮し、何かあっても相談できる販売店から希望小売価格で購入するのが安全と言えます。ゲームを遊ぶまとまった時間を確保できる年末年始までは時間はありますし、高性能な精密機械ゆえに繊細で壊れやすいゲーム機の転売商品購入は、価格面からもリスクと言えます。

【参考】【注意喚起】PS5やXbox Series X|Sの転売品、製品保証を受けられなくなる恐れ(GAME Watch)

 PS5は、8K対応の映像、コントローラーの振動で多彩な触感表現を再現し、ロード(ゲームの読み込み時間)を飛躍的に短縮した新型ゲーム機です。現行機のPS4用ソフトもほぼ遊べます。今年度末(2021年3月)までに世界で760万台以上を出荷する予定です。