「ラスアス2」で賛否両論もネタバレ回避の傾向 ネットの良心

「ラスト・オブ・アス パート2」のゲーム画面

 「ラスアス」の愛称で親しまれる世界的人気ゲーム「The Last of Us(ラスト・オブ・アス)」の続編「The Last of Us Part 2(ラスト・オブ・アス パート2)」が19日に世界で発売され、早くも「クリアした」という人もいるようです。テーマが「復讐(ふくしゅう)」で、前作のファンであれば卒倒するようなストーリー展開に加え、過激な描写もあるだけに、ネットで賛否両論が続出する一方で、他のプレーヤーへの配慮を感じることもありました。

◇前作は「PS3で最高のゲーム」の声も

 「ラスアス」シリーズは、ソニー・インタラクティブエンタテインメント傘下のゲーム開発会社で、質の高い作品を送り出すことで知られる「ノーティードッグ」が制作しました。2013年にPS3で発売されたラスアスは世界で1700万本を出荷しました。数だけを単純に比べれば「モンスターハンター:ワールド」を上回るほどです。

 ただ日本では、ライトユーザーにも知られているとは言えません。日本でのパッケージゲームの販売数は、ベスト版やPS4向けのリマスター版を入れても50万本弱(ファミ通調べ)に過ぎません。一体何が魅力なのでしょうか。

 ラスアスは、洋画のような本格的なストーリーと、戦闘が楽しめるアクションゲームです。謎の「寄生菌」のパンデミック(爆発的感染)で人口が激減、荒廃した米国を舞台に、娘を失った中年男性のジョエルは、14歳の少女エリーをある場所に連れていくことになり、二人は赤の他人でありながら親子のような絆を築いていきます。欧米のゲーム媒体で200以上の賞を獲得。「PS3で最高のゲーム」と言われ、傑作という位置付けにあります。

◇ラスアス2 すさまじい完成度

 ラスアス2は、ラスアスから5年後の世界が舞台です。19歳になったエリーは、荒廃した世界ながらもジョエルと落ち着いた生活をしていましたが、「ある大事件」がおこり、復讐の旅に出ます。荒廃したシアトルに潜入し、「寄生菌」に感染した化け物や、エリーに敵対する人間と戦いを繰り広げます。

 ゲームの完成度は「すさまじい」の一言です。映画的な演出を、ゲームの中に組み込んでおり、序盤からドキドキさせられることの連続でした。戦闘シーンでは、隠れて敵を倒すのも、真っ向から敵を打ち負かすのも、プレーヤー次第です。寄り道をしても、仲間との会話がとぎれることはなく、本当に話しかけられている気分になるほどです。

 ただし、物語の内容ゆえに、ゲームの好き嫌いは真っ二つに割れるはずです。発売前にプレーした感想を言えば、前回の“家族愛”から一変する重いテーマになる上に、エリーが女性と恋愛をするなどの要素もありましたから「賛否両論になるだろう」と予想していました。リアルタイム検索でも賛否両論になっており、ポジティブな評価よりもややネガティブの方が多いようです。ラスアス2に対するメディアのレビューですが、高い評価もある一方で、「前作には及ばない」など厳しい評価もありました。

◇ネタバレ回避の傾向も

 ただし、ネガティブな意見が多いのですが、興味深いところがあります。まずラスアス2の序盤で起きる「ある大事件」をあまり書き込む様子がないのです。前作をプレーした人は、感情の高ぶりもありダイレクトにネタバレを書き込むと思っていただけに意外でした。それらしきことは触れても、ネタバレに配慮している点には好感が持てます。

 一方で、注目を集めるためか、ネタバレを前面に出した刺激的なワードを並べる書き込みもあることはありました。ただ現段階では、圧倒的少数派のようです。誹謗中傷の温床的な扱い方をされるネットですが、必ずしもそういうわけではないのですよね。

 むしろ気になったのは、ラスアスのエンディングまでを紹介したメディアの記事を見かけたことです。ラスアス2を楽しむために、前作を知っておくと面白さがアップするのはその通りなのですけどね。「別の手もあるのでは……」と思いつつも、それぞれの考え、需要もあるでしょうし、なかなか判断が難しいところです。

◇18歳以上対象の「大人のゲーム」

 ちなみにラスアスとラスアス2は、ゲームの表現内容を審査する「CEROレーティング」で、最も厳しい「Z指定(18歳以上対象)」で、「大人のゲーム」でもあります。恋愛表現、ナイフを首筋に突き立てるといった残酷なシーンもあります。崩壊した世界を表現しようとしてリアルを追求すれば、過酷で生々しい表現になるのは必要でしょう。まあ、そうした表現の要不要について議論するのも楽しみと言えます。

 内容も内容だけに遊ぶ人を選ぶゲームではありますが、遊んで損はないでしょう。気になる人は、前作のラスアスで良いので手に取ってみると、1700万本が売れた理由に納得できると思うのです。

(C)2020 Sony Interactive Entertainment LLC. Created and developed by Naughty Dog, LLC.

ゲームを愛するものの、ゲームには愛されないヘタレなゲーマー。ゲーム好きが高じて、記者として兜倶楽部にも出入りし、決算やメーカーの各発表会、PS3の米国発表会、中古ゲーム訴訟、残虐ゲーム問題など約20年間ゲーム業界を中心に取材をする。合わせてアニメやマンガにも手を伸ばし、作品のモデルになった場所をファンが訪れる“聖地巡礼”現象も黎明期から現地に足を運ぶなどしている。マンガ大賞の選考員も担当しており、好きなジャンルはラブコメ、歴史もの。

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