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「あつまれ どうぶつの森」が政治アピールに利用される? 世界的人気があだ

河村鳴紘サブカル専門ライター

 任天堂の人気ゲーム「あつまれ どうぶつの森」が、中国のネット販売市場で購入できなくなったことをロイター通信や共同通信などの複数メディアが報じ、ヤフートピックスにもなりました。

【参考ヤフートピックス】「あつまれ どうぶつの森」が中国の通販サイトから“消失” 「政治的な原因か?」憶測広がる

 いったい何が起きたのでしょうか。私も気になって、検索してみました。

 説明する必要もないでしょうが、一般的な目線でみると、政治アピール?ともとれますね。

 「どうぶつの森」シリーズは、言葉を話す「どうぶつ」が暮らす場所でプレーヤーが交流し、釣りや虫捕りなど“スローライフ”を楽しむゲームです。先月発売されたばかりの最新作「あつまれ どうぶつの森」は、手つかずの自然が残る無人島に移住したプレーヤーが、訪れる仲間と交流し、島を発展させています。発売3週目で、国内だけで300万本以上のパッケージソフトを販売しています(ファミ通調べ)。

 しかもこの数字は、ダウンロード版を含めない数です。任天堂の決算資料を見ると、ダウンロード版の売上高比率はここ9カ月で22.3%~38.3%で推移しています。大ヒットソフトはパッケージソフトの比率が高まるので、低めに2割程度と仮定すれば、360万本という恐ろしい推定の数字が出ます。新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛、ソフトの品不足を考えると2割どころではないかもしれませんが……。ここに海外展開の数字が加わるわけです。このゲームにどれだけの影響力があるか、感じてもらえると思います。

 さてゲームに詳しくない人やプレーしてない人は、「あつまれ どうぶつの森」で、なぜこんなことができるのか?と思うかもしれませんね。同作の特徴として、ゲームの世界を自由にデザインできる機能があります。島の形形状からキャラクターが着る服まで自由に作れてしまうのですね。

 さらに同作は、オンラインにも対応しており、最大8人まで島に仲間を呼ぶことができ、そこでチャットもできてしまいます。よくあるのが、自分の好きなキャラクターや作品の世界観、イメージをまるっと、ゲーム中で再現することです。世界最大の同人誌即売会「コミックマーケット」を「あつまれ どうぶつの森」で見事に再現したユーザーも現れて、話題になりました。

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 話を元に戻しましょう。さて、なぜ同作でアピール的な遊び方?をされているのかといえば、同作が世界的な人気作になり、多くの人の注目を集めたからでしょう。このゲームを使って、訴えたいことをクリエートし、SNSにアップすれば、効率的なアピールが可能なわけですね。

 ゲームでは、同じく世界的な人気ゲーム「マインクラフト」のように、ゲーム内に箱庭世界を作る「サンドボックス」という手法が人気です。これはゲームを長く遊んでもらい、お互いのプレーヤーが作ったアイテムを公開するなどして、売り上げを伸ばすのはもちろん、ゲームの商品寿命を延ばすために有効とされています。

 並みのゲームであれば、そもそも世界的に広く見られないので、誰かが作ってもさほど広がるわけではありません。ですが、現在流行中の人気ゲームになると、その“宣伝力”に利用価値が生まれるわけです。また普通の人気ゲームであれば、ここまで自由なことはできないのですが、爆発的な人気もあり、ゲーム世界をクリエートできる「あつまれ どうぶつの森」はちょうどよいわけですね。どんな人でも、アイデア一つでアピールできるので、いろいろな可能性がある証なのですが……。

 こうした利用用法の対策として、特定の国や地域だけにゲームシステムをかなり手を入れることも考えられます。ただし、ゲームの仕様を変えると、ゲームそのもののバランスが一気に崩れてしまう可能性があり、なかなか難しいところです。世界的人気があだになるとは予想できるはずもなく、メーカーとしては悩ましいところでしょう。

サブカル専門ライター

ゲームやアニメ、マンガなどのサブカルを中心に約20年メディアで取材。兜倶楽部の決算会見に出席し、各イベントにも足を運び、クリエーターや経営者へのインタビューをこなしつつ、中古ゲーム訴訟や残虐ゲーム問題、果ては企業倒産なども……。2019年6月からフリー、ヤフーオーサーとして活動。2020年5月にヤフーニュース個人の記事を顕彰するMVAを受賞。マンガ大賞選考員。不定期でラジオ出演も。

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