カタールW杯まで半年足らず、国内外での選手たちの活躍が注目されますが、国内組のFWとしては唯一、日本代表の7月シリーズに参加した上田綺世(鹿島アントラーズ)にベルギー1部のセルクル・ブルージュからオファーが届いたと複数メディアで報じられました。

法政大学の在学中に鹿島とプロ契約を結んだ上田は当初から将来的に海外でプレーする意思を語っており、クラブがわもそれを見越していたと考えられます。すでに合意の方向で進んでいると伝えられ、もし正式決定となれば7月に予定されるEAFF E-1への参加は難しくなるでしょう。

上田綺世の欧州挑戦については「鹿島から世界へ羽ばたくストライカー。上田綺世が欧州で活躍する条件」でまとめたが、今年のJリーグで得点ランキングトップの10得点を記録している。

韓国、中国、香港と東アジアの王者を競う同大会で、日本代表のエースとして期待された上田がもし不参加となれば、編成上も大きな影響があることは間違いありませんが、Jリーグには数多くの有望なアタッカーがいることも確かです。

その有力な一人が湘南ベルマーレの町野修斗(湘南ベルマーレ)です。上田に次ぐ8得点で湘南を引っ張る町野。185cmのサイズと高い身体能力を持ち、森保一監督も高く評価するポストプレーと鋭い飛び出しを使い分けて、大事な時に必ずボックス内にいる正真正銘のストライカーです。

ボックス内の強さに加えてミドルシュートも得意としており、パワフルな上田とまた違った技巧的なシュートを決めることもできます。そして、流れの中で美味しい場所を嗅ぎ分ける嗅覚もあり、もし上田が鹿島に残留したとしても、22歳の新鋭ストライカーが得点王に輝く可能性は十分にあります。

上田や町野と全く違うタイプですが、ストライカーとして注目を集めているのが西村拓真(横浜F・マリノス)です。攻撃的なポジションであればどこでもこなすマルチなアタッカーですが、常に見ているのはゴール。いかに良い形でフィニッシュできるかをイメージしてオンオフのプレーをしているのが見て取れます。

一瞬のスピードも非凡ですが、驚くべきはトータルの運動量で、トップ下など前目のポジションにありながら、毎試合のようにボランチやサイドバックの選手を上回る走行距離を叩き出しています。攻守に幅広く動きながら、連続運動の流れでボックス内に走り込むフィニッシュは西村ならではです。

良質なパサーが揃うマリノスの環境に恵まれていることもありますが、ターンオーバー的な起用も多いチームですでに6得点を記録しており、さらなるゴール量産も期待できます。

大卒ルーキーの満田誠(サンフレッチェ広島)は典型的なストライカーではありませんが、幅広くチャンスメークに関わりながらゴールに向かうスタイルは西村に通じるものがあります。シャドーのポジションからゴール前に走り込んでラストパスをワンタッチでゴールに流し込むフィニッシュが十八番ですが、やや遠目から狙いすましたミドルシュートも備えています。

そしてショートカウンターを仕留めるスペシャリストであること。激しいプレッシャーで高い位置のボール奪取を促し、攻撃に転じた瞬間にファーストパスの受け手として動き出しています。相手のディフェンスがオフで捕まえるのは非常に難しく、代表基準で照らし合わせても、非常に危険なシャドーストライカーと言えるでしょう。

パリ五輪世代のU−21代表で主力を担う細谷真大(柏レイソル)もさらなる成長が期待される一人。すでにリーグ戦で6得点をあげていますが、U−23アジアカップで国際舞台を経験し、さらに力強さが加わった感もあります。攻撃ビジョンが明確で、周囲との連動力に優れるのが細谷の特長です。

ボールを持って前を向けば推進力のあるドリブルでゴールに迫りますが、やはりパサーと完璧に呼吸を合わせた飛び出しからのワンタッチシュートはスペクタクルで、上田に通じる部分です。その細谷とともに、パリ五輪世代で前線の主力を担う鈴木唯人(清水エスパルス)も有望なタレントの一人です。

チャンスメイカーでもある鈴木の場合、細谷よりもフィニッシュワーク以外の仕事が多くなり、ボックスの外が活動エリアになりまずが、ボールを持って前を向いた時の強さと推進力は勝るとも劣らないものがあります。同世代にはオランダ1部のスパルタに加入が決まった斉藤光毅という”欧州組”のタレントもいますが、細谷真大と鈴木唯人はパリ五輪でダブルエースになっていく可能性は大いにあります。

さらに、E−1の候補として推すのは難しいものの、後半戦でさらなる活躍が期待されるアタッカーもいます。

サガン鳥栖のエースとして期待されながら、前半戦はなかなか結果が出なかった大型ストライカーの垣田裕暉が、FC東京戦で2ゴールを決めて、本領を発揮し始めています。また細谷のチームメートでもある森海渡(柏レイソル)も途中出場が多い中で4得点。筑波大に在学中ながら”和製ハーランド”とも呼ばれるハイスケールなフィニッシュで、早くも将来のA代表候補として注目されます。

山岸祐也(アビスパ福岡)も非常に興味深いストライカーです。幅広く動きながらクサビの縦パスを収めて、時間を作ることも自分で進撃することもできます。クロスボールには高さだけでなく、ディフェンスの間に飛び込んで合わせるなど、勇敢さも併せ持っています。28歳という年齢を考えると、上記の選手たちより代表招集に不利な部分もありますが、大卒から群馬、岐阜、山形と渡り歩いてきた叩き上げのストライカーに注目してください。

ポテンシャルということでは中島大嘉(北海道コンサドーレ札幌)も将来性を期待される一人。圧倒的な跳躍力やゴールに突き進むドリブルなど超アジア級の身体能力は他の選手に無いアドバンテージです。あとはそうした特長をどうゲームで発揮してゴールに結びつけるか。すでにリーグ戦2ゴール、ルヴァン杯でも4ゴール決めていますが、ミシャ監督の信頼を高めてプレー時間を伸ばして行って欲しいところです。

そして、ここであげないわけに行かないのが、J2で14得点を記録している小川航基(横浜FC)です。もともと東京五輪に向けて、上田綺世とエースを争っていたほどのタレントですが、ジュビロ磐田でなかなか殻を破れずに、地元クラブである横浜FCに完全移籍。1トップとシャドーの両ポジションをこなしながら、J2の首位を走るチームで攻撃を牽引しています。

周りとの相性や常にゴールを狙えるプレー環境が爆発的な得点力につながっているかもしれませんが、日本サッカー界にとって希少な正真正銘のストライカーの覚醒は喜ばしく、さらなる活躍も期待されます。その意味では近い将来、 A代表でも上田の強力なライバルになる一人は小川航基なのかもしれません。そうした期待も込めて、後半戦も観ていきたいと思います。