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「積極的にチャレンジしていきたい」。ボランチ柴崎岳が描く日本代表の新たなサイクル

河治良幸スポーツジャーナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

森保一監督が就任して2回目のサイクルとなる10月シリーズ。ロシアW杯で主力をになった6人の選手が復帰し、柴崎岳もメンバーに名を連ねた。スペインのヘタフェではなかなか出番に恵まれず、起用された試合も攻撃的なポジションで起用されている柴崎だが、コーチとしてロシアW杯に帯同した森保監督は「(不安は)まあ全然。自信を持ってプレーはできる」と信頼を語っており、新しい代表チームでもボランチが主要なポジションになりそうだ。

「監督に求められていることを理解もしていますし、それを練習とかから表現していかないといけない。試合に出ればやはり結果を求められますし、そこは本当に地道に腐らずやって行くしかない、プロとしてやるべきことなのかなと思いますし、それと同時に自分の強みも忘れずに、いろんなバランスを見ながらプレーしたいなと思ってます。比較的難しいシーズンを送っていると思いますけど、自信とか自分に対しての信用、信頼という部分は揺るがないものがある」

ヘタフェでの境遇についてそう語る柴崎。「もちろんコンディションはやってみないとわからない部分もあります」と前置きしながらも、こうした状況で日本代表に参加することについては「プレーに対する自分のビジョンや考えていることは持っているものがあるので、ピッチに立ったらそれを表現するだけ」と前を向く。コスタリカ戦でキャプテンマークを巻いた青山敏弘との競争について柴崎は「青さんとは違ったタイプなのかなと僕自身は感じてますけど、そこは監督がどういったことをするのかによっても変わりますし、どこのポジションも競争はある」と語り、切磋琢磨しながらも同じピッチに立つことがあれば、その中でビジョンを共有してチームを機能させる意識を持っている。

「もちろん実力ありきの世界だと思ってますし、そうした(ロシアW杯の)悔しさを持ってているから選ばれる訳でもないと思うので、まあ少なからず経験して、今の段階で言えること、伝えられることというのはないと思うので、練習等でコミュニティつくりだったりとか、今リアルにできることをやっていければ」

そう語る柴崎がこれまでと少し趣の違った言葉を発したのはロシアで感じたことについての質問だった。「W杯の時に感じたのはいろんなタイプの選手が必要だということ」と切り出した柴崎は次の通り続けた。

「いろんな状況に対して対応できる選手が必要だということをいえば、今の時期からそういった競争状況のある日本代表を作り上げる、最終的にW杯メンバーは23人ですけど、30名ぐらい誰が出ても変わらないようなチームを作り上げる必要があるかなと。様々なタイプが必要になると思いますし、様々なシチュエーションに対応できる選手、それも高いレベルで対応できる選手が必要になると思いますし、若い選手も含めて、さらに一丸となってやっていかないとベスト16というところは突破できないのかなと思っている」

そのためには「新しい選手がどんどん出てくるのは非常にいいこと」だと語る。そしてその時に選ばれたメンバーだけでなく、呼ばれていない実力のある選手も含めて、代表チームを良いものにしていく必要性を主張した。その柴崎に筆者がいくつか踏み込んで聞いた。

ーークラブでは攻撃的なポジションで出ているが、西野さんの時も合宿中のポジション変更がスムーズだった。今回もボランチで起用されても問題と考えていますか?

柴崎「はい。個人的にはボランチの選手だと思ってますし、僕のやってみたいポジションもそこですしね。あとはフォーメーションによってまた違う選択肢も出てくると思いますけど、おそらくそこ形であればボランチが一番適任かなと思うので、そこはやはり監督に求められる部分というのはやっぱり自分の中で表現していきたいと思っていますし、それを時間かけてでもよくしていこうというこれからの展望もあるので、この合宿、試合でいろんなことを吸収したいなと思います」

ーーロシアでの手応えなり課題なりあって、次の4年のサイクルがスタートという流れだが、その第一歩として今回をどう捉えていますか?

柴崎「そうですね。個人的にはW杯とか、それ以前のこと、パフォーマンスはもう過去のことだと思ってますし、それは僕の中では忘れて、一から代表選手として築いていかなければ行けないものがあります。それはやはり今ピッチで示した選手とか、示したものが評価として繋がるものだと思ってますし、過去の実績等は関係なく、また1から代表選手としての立ち位置を自ら掴んでいきたいなと思います」

ーーパナマ、ウルグアイというW杯に出場したチーム、特にウルグアイという世界的な強豪とやる中で真価が問われるじゃないですけど、チーム作りと今回の対戦相手の兼ね合いをどう見ているか。

柴崎「真価といっても新チームですし、急激にW杯に出場できるという訳ではないので。やはり1歩ずつ進んでいかなければならないというのと、まあパナマもそうですし、ウルグアイもW杯にでた強豪国として今の自分たちの立ち位置とかが非常によく見える試合になるとは思っているので、結果も100%追求しながら、そういった中で自分たちの今の世界との距離感を少しでも測れるような試合になれば、今後の代表の活動にもいきてくると思います」

ーー表現としてはゲームコントロール、もともとゲームメイクは意識していたが、大きな部隊を経験をして90分のオーガナイズの部分でもより影響していけるかなという展望はありますか?

柴崎「勝利にこだわる戦いであれば、いろんなことをやらないといけないというのはもちろん考えますし、ただそれをこの親善試合でいろんなことを捨ててまでやるかというとそれはまた違った考え方にはなると思うので、やっぱりこういった時期で親善試合として、チームとしてチャレンジできるところは積極的にチャレンジしていきたいなと思いますし、それは結果にこだわらないという訳ではなく、ミスを恐れずにチャレンジしていける時期は今なのではないかと思ってるので、そういったことを考えながらやりたいと思います」

スポーツジャーナリスト

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。 『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

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