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ターゲットマンの平均身長は何と187.6cm。U-20日本代表が警戒するべきイタリアのセットプレー。

河治良幸スポーツジャーナリスト
長身で日本人離れした身体能力を持つ冨安は巨漢FWファバッリのマークが濃厚。(写真:田村翔/アフロスポーツ)

韓国で行われているU-20W杯もグループリーグの3戦目。1勝1敗のU-20日本代表は決勝トーナメント進出をかけてイタリアと対戦する。堅守と洗練されたサイドアタックを特徴とする相手だが、最も警戒するべきはターゲットマンの平均身長が187cmにもなるセットプレー。CKやFKも危険だが、右SBのジュゼッペ・スカレーラが投じる高速ロングスローはウルグアイ戦でもアシストを記録しており、まさに最高レベルの警戒が必要になる。

サッカーはサイズでやるものではないが、有利不利は存在する。それがセットプレーとなればなおさらだ。イタリアはウルグアイ戦のスタメンがMFのニコラ・バレッラ(175cm)をのぞき、全員180cmを超えていた。南アフリカ戦では185cmのFWルカ・ヴィードに代わり俊足のジュゼッペ・パニーコ(174cm)を起用したが、それでも9人が180cm超だった。

セットプレーのターゲットマンは5人か6人で、191cmのFWアンドレア・ファバッリをメインターゲットとして、MFパオロ・ギグリオーネ(191cm)、DFフィリッポ・ロマーニャ(186cm)、DFジュゼッペ・ペッツェッラ(186cm)、MFマッテオ・ペッシーナ(187cm)、FWルカ・ヴィード(185cm)がペナルティエリア内でマーカーとマッチアップする。彼らの平均身長は何と187.6cmだ。

さらにペナルティエリアの手前に183cmのロランド・マンドラゴラや183cmのリッカルド・オルソリーニらが構えており、ミドルシュートを狙いながら、マイナスのボールやセカンドボールからのクロスに飛び込む準備もしている。しかも、イタリアには左のオルソリーニ、右のスカレーラという良質なキッカーがおり、ニアとファーに正確なボールを蹴り分ける。

さらに警戒するべきはスカレーラのロングスローだ。南アフリカ戦でファバッリのゴールをアシストしたが、速い上に精度が高く、多少浅めの位置からでも鋭い弾道でペナルティエリア内に入れてくる。自陣のサイドラインを割ればそのシーンが生じるため、CKや間接的なFKより回数が多くなる可能性もある。前日練習で内山篤監督はロングスローを想定した練習を取り入れたが、キック以上にシミュレーションはしにくいため、試合で一発目にやられない様に集中し、そこから次第に慣れて行くしかない。

日本代表はDF冨安健洋(188cm)が相手の一番危険なターゲットマンにに付く。そして中山雄太(181cm)、左SBでの初出場が予想される杉岡大暉(182cm)、ウルグアイ戦で負傷した小川航基に代わり先発しそうな田川亨介(181cm)、178cmながら跳躍力のある原輝綺がゴール前のマーカーとなり、6人目には右SBの初瀬亮(175cm)が付くか、より対策を取るなら藤谷壮(178cm)が入ることも想定される。南アフリカ戦で足を負傷した186cmの板倉滉も全体練習に復帰しており、終盤のパワープレー気味の攻撃に応じて投入するケースも考えられる。

平均すると180.8cmか181.3cm。仮に板倉をMFの172cmの市丸瑞希あるいは167cmの坂井大将に代えボランチに加えると182.6cmになる。これでも歴代のU-20日本代表ではかなり恵まれている方だが、通常で7cm、板倉を入れても5cmの差がある。流れの中と違い、セットプレーというのはピンポイントでターゲットマンに合ってしまうと、低い側が競り勝つことは難しい。しかし、一番やってはいけないのは相手の動き出しに対してマークを見失うこと、そして付いていても競るタイミングが遅れ、実質フリーで合わせられてしまうことだ。

身長差や基本的な身体能力の差は埋められなくても、厳しく付いていれば完全な体勢でフィニッシュされることはない。「最後まで相手のアゴっつらぐらいに頭を寄せることができれば、強いシュートはいかない」と原が言う様に、フリーで打たせなければ強いシュートを狙いどおりに打たれる確率は大きく下がるのだ。なるべくCKや深い位置でのセットプレーを発生させないことも大事だが、それぞれがマーキングを明確にしながら、タイトな対応をしつこく繰り返していくしかない。

イタリアに対しては90分を通して様々な駆け引きが求められるが、流れで粘り強く守れていても、セットプレーから早い時間に失点してしまうと非常に苦しくなるため、特にセットプレーやリスタートの場面では壁やストーンになる選手も含めて、一人一人が集中してタイトに守り切る意識を続けることが重要だ。

スポーツジャーナリスト

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。 『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

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