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ロシア東部で-62.7度 今月末まで極寒列島

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
凍てつく大地。21日朝の最低気温は中国・北京でー10度(ウェザーマップ作画)

 今月17日、ロシア東部のTongulah(トングラ)で、-62.7度という極めて低い気温が観測されました。このあたりは世界で有数の寒冷地ですが、ー60度を見かけることは少ないです。

 スウェーデン気象水文研究所(SMHI)はシベリアとしては2002年2月1日にOjmjakon(オジュミャコン)で観測された-64.5度以来の最低気温としています。

1月17日の最低気温を示した図(気象庁ホームページの図を筆者が加工した)
1月17日の最低気温を示した図(気象庁ホームページの図を筆者が加工した)

中国北東部でも-50度

 ロシアや中国で、著しい寒さとなっている原因は北極から南下している寒気です。上空の偏西風から切り離された寒冷渦がロシアから中国に移動しています。20日は中国北東部の漠河(モーホー)で-50.5度まで下がりました。

 徐々に南下する寒気、あと数日で日本にやってくるでしょう。気象庁は24日から26日頃にかけて、全国的に厳しい寒さとなり、日本海側を中心に大雪になるとして、警戒を呼びかけています。

【上空1,500メートル付近の気温予想図】上図は来週、下図は来月初め(ウェザーマップ作画、筆者加工)
【上空1,500メートル付近の気温予想図】上図は来週、下図は来月初め(ウェザーマップ作画、筆者加工)

極寒列島 まるで冷凍庫のなか

 上図は気温や西日本の雪の予想に使われる上空1,500メートル付近の気温予想図です。寒色は平年と比べて低い温度を、暖色は高い温度を示しています。図の中央に日本列島があります。

 来週(25日にかけて)は日本列島に向かって、非常に冷たい空気が流れ込む様子がよくわかります。先月クリスマス頃の寒さや大雪を上回る可能性が高いでしょう。九州や四国など南国と言われる地域でも、冷凍庫のなかに入ったような寒さとなりそうです。

大雪や寒さに備えて(ウェザーマップ作画)
大雪や寒さに備えて(ウェザーマップ作画)

 雪による交通への影響はもちろんのこと、著しい寒さは身体に大きな負担がかかります。

 また、屋外にある水道管が凍結し断水したり、出歩くのが難しくなることも考えられます。数日間、家で過ごせるように準備する必要がありそうです。

 この寒さは今月末まで続く可能性が高く、来月になると寒さが緩む見通しです。

【参考資料】

スウェーデン気象水文研究所(SMHI):-62,4 i Tongulah i Sibirien、16 januari 2023

気象庁ホームページ:世界の天候

気象庁:強い冬型の気圧配置に関する全般気象情報(第2号)、2023年1月21日

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは117冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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