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9月も台風は多いのか?

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
台風11号は24日午後3時、台湾南部を北西に進んだ(ウェザーマップ作画)

 秋は甚大な台風被害が発生しやすい時季だ。この秋も海面水温が高く、台風のさらなる発生が予想される。また、日本列島に近づきやすい気圧配置も。

この1か月で6個発生

 今年の台風はちょっと様子が違います。6月末までほとんど発生せず、今年はどうなるのだろうと思案していました。

 しかし、この1か月間に6個発生し、そのうちの3個が上陸しました。これほどの緩急は予想外で、状況の変化に驚いています。

 台風の発生数は8月24日現在で11個、平年では14個程度ですから、やや少ないものの、上陸数は3個とすでに平年の上陸数に達しています。

【台風の発生数】2019年と平年値を比べたもの(8月24日現在、著者作成)
【台風の発生数】2019年と平年値を比べたもの(8月24日現在、著者作成)

秋は平均して1個上陸

 来月1日は二百十日です。昔から台風の厄日として知られ、台風の猛威に一層、警戒する時期になりました。

 こちらは秋(9月~11月)に上陸した台風の数をグラフにしたもの(1951年から2018年までの68年)です。

【秋】台風の上陸数(1951年~2018年、著者作成)
【秋】台風の上陸数(1951年~2018年、著者作成)

 1998年や2004年のように4個上陸した年もあれば、全く上陸がなかった年も18年あります。これだけでは秋は台風が多いのか、少ないのか、よくわかりませんが、平均すると毎年、1個程度は上陸しています。今年も、もう一つくらいは上陸する可能性があるでしょう。

今後も台風は日本に近づきやすい?

 台風シーズン後半、台風はどのくらい発生して、そして日本列島に近づくのでしょうか。

 最新の3か月予報(9月~11月の天候見通し)によると、北太平洋の海面水温は平年と比べ高く、雲が活発に発生する見通しです。台風の発生に結びつきやすい状況が続くと考えられます。

 そして、もうひとつは太平洋高気圧(夏の高気圧)と上空の強い西風(偏西風)の関係です。秋は徐々に太平洋高気圧が退き、代わって日本の上空に強い西風が流れるようになります。

 この秋はいつもの年より太平洋高気圧が北に張り出し、上空の強い西風も日本列島の北を流れる予想です。

2019年秋の予想天気図(気象庁の予想を参考に著者作成)
2019年秋の予想天気図(気象庁の予想を参考に著者作成)

 そのため、全国的に気温が高くなりやすく、関東や東海、北日本太平洋側は雨が多い予想です。

 また、台風は太平洋高気圧の縁に沿って北上するため、例年より北上しやすい=日本列島に近づきやすいのではないかと考えています。

 いずれにしても、このまま台風シーズンが終わるとは思えず、昨年のような被害が起こらないことを祈るばかりです。

【参考資料】

気象庁:向こう3か月の天候の見通し(9月~11月)、2019年8月23日

気象庁:全般季節予報支援資料 3か月予報(予報期間 2019年9月~2019年11月)、2019年8月23日

気象庁ホームページ:過去の台風資料

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは117冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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