ひまわり8号 合成画像で霧がより鮮明に

関東平野に発生した霧(3月3日午前8時,Natural color RGB)

霧の観測は目視が主流で、全体像の把握が難しい。そこで、ひまわり8号では雲画像を合成することで、霧がより鮮明にわかるようになった。

雲が地面に接すると霧になる

表紙の雲画像は今朝(3日午前8時)の日本列島を見たものです。前日の雨がすっかり止んで、関東平野はよく晴れています。でもよく見ると、栃木県から茨城県にかけて、輪郭がはっきりとした白いもの(黄丸)が写っています。小さな雲でしょうか?

これは地上付近に発生した霧です。霧は地面に接した雲で、見通せる距離(視程)が1キロ未満をいいます。宇都宮では午前3時、視程200メートル、水戸では午前9時の視程が300メートルでした。

気象観測の多くが自動化された今でも、霧の観測は気象台職員による目視(目で見ること)が主流です。道路わきに設置されたライブカメラの画像でも霧の有無はわかりますが、全体像を把握するのは難しい。ましてや観測場所が限られる海上ではなおさらです。

ひまわり8号で霧の監視

そこで以前から気象衛星の雲画像を使った霧の監視が行われています。世界トップクラスの性能を誇るひまわり8号では雲画像が従来の5種類から16種類へと大幅に増えました。

16の雲画像のうち3つを組み合わせて、霧がより鮮明にわかるように工夫したのが「Natural color RGB」で、専門的にいうとB05(近赤外)、B04(近赤外)、B03(可視)をそれぞれ赤・緑・青に割り当てて合成した画像です。

合成画像Natural color RGBでみた霧と積雪(3日午前8時)
合成画像Natural color RGBでみた霧と積雪(3日午前8時)

この「Natural color RGB」の長所は、水の粒でできた雲や霧は白く、氷晶でできた雲や積雪、流氷は青緑(シアン)に見えることです。従来の雲画像ではすべてが白黒の濃淡で見えるだけでしたから、水と氷の区別が一目でわかるようになりました。上図の雲画像では霧のほかにも、南アルプスや富士山の積雪が青緑色になっています。

関東平野の霧は日が高くなった午前10時過ぎにすっかり姿を消しました。

【参考資料】

木下仁,成田正巳,吉松雅行,寺坂義幸,2017:第6章ひまわり8号の画像を利用した霧の監視,平成28年度予報技術研修テキスト,気象庁予報課,94-114.