エルニーニョ影響 CO2濃度は初の400ppm

世界のCO2濃度は産業革命前と比べて144%増加した(ペイレスイメージズ/アフロ)

気候を変化させる力が最も大きい二酸化炭素(CO2)。2015年の世界年平均濃度は初めて400ppmに達した。人為的な要因に加え、エルニーニョ現象による干ばつや森林火災などが影響し、大幅な上昇となった。加速する温室効果ガスの増加が「パリ協定」の根幹を揺るがす。

温室効果ガスの厳しい現実

世界気象機関(WMO)は24日、温室効果ガス年報の第12号を公表しました。2015年の世界の主要な温室効果ガス濃度は解析開始以来の最高を記録、そのなかでも気候を変化させる力が最も大きい二酸化炭素は初めて400ppmに達しました。

産業革命(1750年)前の二酸化炭素濃度は278ppmでした。それが現在では44%増加し、とくにこの数十年は急激な増加を示しています。二酸化炭素の排出量を抑える対策よりも、経済発展による排出量の増加のほうがはるかに上回っている厳しい現実が浮き彫りになりました。

最大級エルニーニョが助長

二酸化炭素濃度の季節変化(綾里,2015年速報値,気象庁)
二酸化炭素濃度の季節変化(綾里,2015年速報値,気象庁)

2015年の二酸化炭素濃度の上昇幅が大きくなった原因に、最大級に発達したエルニーニョ現象があります。

本来、二酸化炭素の濃度は植物が豊富な夏に低く、植物が枯れる冬に高くなる季節変化をします。エルニーニョ現象が発生すると、雨の降り方が変化するため、熱波や干ばつが深刻化し、それが大規模な植物の減少や森林火災につながります。

二酸化炭素を吸収するはずの植物が少なくなる一方で、森林火災は二酸化炭素を放出しますから、結果的に大気中の二酸化炭素が増えてしまうのです。

エルニーニョ現象が終わっても、大気に放出された過剰な二酸化炭素は千年の単位で影響を及ぼします。専門家はエルニーニョ現象に終わりはあるが、温室効果ガスによる気候の変化に終わりはない。400ppmは意味深く、気候変動は新たなステージを迎えたと警告しています。

「パリ協定」の根幹が揺らぐ

2020年以降の温暖化対策の新たな枠組みである「パリ協定」では、2100年の世界の平均気温を産業革命前と比べて2度未満の上昇に抑える目標を掲げています。

2度というとわずかな上昇幅と思われるかもしれませんが、すでにこの100年余りで世界の平均気温は0.85度高くなりました。その影響は極端な大雨や暑さなどとして今の気候に現れています。

気温の上昇幅を2度にするためには、温室効果ガスを約450ppm(CO2換算)に抑えなければなりません。しかし、二酸化炭素濃度は速いペースで増え続けていて、パリ協定の根幹が揺らいでいるといっても過言ではないと思います。

世界会議のニュースを見るにつけ、「会議は踊る、されど会議は進まず」という言葉を思い出します。温暖化対策は待ったなしの状況にあることは誰もが分かっているけれど、各国の足並みが揃わない。理想と現実に大きなギャップがあります。

来月にはモロッコのマラケシュで第22回気候変動枠組条約締約国会議(COP22)が開催されます。二酸化炭素濃度400ppmという厳しい現実に、各国の決意が試されるでしょう。

【参考資料】

気象庁:「WMO温室効果ガス年報第12号」の公表~世界の年平均二酸化炭素濃度が400ppmに到達~,2016年10月24日

世界気象機関(WMO):Globally Averaged CO2 Levels Reach 400 parts per million in 2015,24 October 2016

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