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豪雪村をゆく

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
雪に埋もれた乗用車(2015年1月2日 長野・小谷村)

新春寒波の最中、北アルプスの懐に抱かれた長野県小谷村栂池高原に出かけてきました。

松本駅からJR大糸線を一路北へ。冬野の安曇野はうっすら雪が積もっている程度でしたが、大町市を通り過ぎると景色は一変、雪が深くなっていきました。白馬駅では雪が舞い、小谷村に着くころには背丈くらいの積雪に。すべてが雪に埋もれていました。

新春寒波で記録的な大雪に

長野・小谷村の最深積雪(センチ) 12月29日から1月2日
長野・小谷村の最深積雪(センチ) 12月29日から1月2日

左図は長野・小谷村の最深積雪をグラフにしたものです。年末の12月29日は積雪が99センチだったのが、31日の大晦日から1月1日にかけて大雪となり、積雪は平年の4倍にあたる193センチ(1月として4位)に達しました。また、1日の日降雪量64センチは、1月として3番目の記録です。小谷村には31日夜から1日にかけ、大雪警報が発表されました。

表紙の写真は大雪が収まった2日朝の様子です。民宿の駐車場にあった乗用車は雪に埋もれ、まるで大きな雪団子のよう。隣では若者グループが乗用車を掘り出していましたが、時間だけが過ぎていく、慣れない雪かきに一所懸命な人もいれば、半分遊んでいる人もいて、こういうときに性格が現れるんですね。

「頭上屋根雪に注意」にリアルな恐怖

頭上屋根雪に注意!!
頭上屋根雪に注意!!

天気予報ではよく「屋根からの落雪にもご注意ください」とコメントします。ただ、言っている本人は本当の怖さは知りません。今回、栂池高原のあちらこちらに「屋根雪に注意」の看板(赤丸)があり、ついつい目がいってしまいました。上を見上げると屋根から雪がせり出し、今にも崩れそう。時折、ドサドサという大きな音がして、屋根から雪が落ちてきます。あの雪の一撃を受けたら、死んでしまうだろうなと思うほどの迫力です。

どこも雪に埋もれていましたが、道路は除雪が行き届いて、交通機関は普段とあまり変わらない様子。朝早くは除雪車の音が聞こえ、地道な作業が生活を支えていると実感しました。数日滞在した程度で、雪をあれこれ言うのはおこがましいですが、ここで生活していくのは大変だろうなと、正直な気持ちです。

公共交通機関の充実を

今回は電車やバスを乗り継いで、ほぼ1日かけて往復しました。残念なことに、交通機関はとても不便で、バスや電車の本数があまりにも少なく、車中心のアクセスだと強く思いました。駅では多くの外国人旅行者を見かけましたが、不自由に思っていることでしょう。悪天候や事故で交通機関がストップしたら、どうするのだろうかと他人事とは思えません。

というのも、以前、オーストリアのスキーリゾートに出かけたことがあり、頻繁に公共交通機関が運行され、言葉が不自由でも、わかりやすく、安心して利用できました。

旅行の基本はアクセスです。だれもが不自由なく、安心して利用できる交通機関の充実が一番でしょう。利用者が少ない、本数の削減、さらなる利用者の減少という負の循環を断ち切らなくては。もうすぐ長野五輪から20年、世界に誇るスキーリゾートが再び、輝くことを願っています。

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは117冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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