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この冬は寒さ厳しく、インフルエンザ大流行も

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
この冬(12月-2月)の平均気温の予想(3か月予報、気象庁)

この冬のキーワードは「西ほど寒さ厳しく」

2013年12月-2014年2月 北半球3か月平均500hPa高度および平年偏差予想図(気象庁)
2013年12月-2014年2月 北半球3か月平均500hPa高度および平年偏差予想図(気象庁)

左図を見てください。この図はこの冬(2013年12月-2014年2月)の北半球3か月平均500hPa高度および平年偏差予想図で、長期的な天気を考える際に、よく使われる図です。

図の見かたを少し詳しく説明しましょう。図の中心が北極で、ちょうど北半球を真上から見たものです。細い線が入り組んでいるため、大陸の位置関係が分かりにくいですが、図の正面にある日本列島を黄色の丸で囲みました。そして、図の右上が北米大陸、そして左側がユーラシア大陸、欧州です。

この冬は日本列島からユーラシア大陸にかけて、破線による陰影域が広がっています。この部分は平年に比べて、高度が低い、つまり気温が低いことを表わしています。この図からわかることは、この冬(12月-2月)は北極からの寒気の影響を受けて、全国的に寒く、とくに西日本ほど厳冬となる可能性が高いということです。

この冬はどんな冬になる?

2011年冬 北半球3か月平均500hPa高度および平年偏差図(気象庁)
2011年冬 北半球3か月平均500hPa高度および平年偏差図(気象庁)

寒い冬になる可能性が高いといっても、あまりに大雑把すぎて、イメージが湧きません。そこで、今年の冬の予想と類似した冬を探してみました。すると、2011年の冬に共通点が多いようです。2011年といえば東日本大震災があった年です。

(この冬と2011年冬の共通点として注目したのは、北半球3か月平均500hPa高度および平年偏差図において、極東からアリューシャン列島にかけて「正偏差」、日本付近から中国大陸にかけて「負偏差」ということです。)

2011年の冬は度重なる強い寒気の影響で、山陰と北陸地方で大雪が相次ぎました。主な出来事を順を追って説明すると、

■2010年12月24日-25日 クリスマス寒波

強い冬型の気圧配置となり、大阪や高松、熊本など西日本で初雪が降りました。とくに、福島県会津地方では一晩で1メートルの雪が降り、国道では大型トラックなど300台以上が立ち往生しました。

■2010年12月30日-2011年1月2日 年末年始寒波

猛烈な寒波の到来で、西日本の各地で大雪となりました。鹿児島市で積雪25センチ。京都・金閣寺が雪化粧。東京でも初雪が降りました。

とくに、鳥取県米子市では「昭和38年1月豪雪」を上回る、積雪89センチを記録し、国道ではトラックや乗用車など約千台が立ち往生、JRの特急が駅間で動けなくなり、乗客が車内で一夜を明かしました。また、港に停泊してあった漁船100隻以上が雪の重みで転覆しました。

■2011年1月~2月 寒さと乾燥 インフルエンザ警報

1月16日には鹿児島県の奄美大島・湯湾岳(標高694メートル)で雪が降りました。このあたりが降雪の南限です。

では、関東地方はどのような天気だったかというと、厳しい冷え込みとカラカラ天気が続き、東京都心では最低気温が氷点下を記録、皇居のお濠が凍りました。また、約1か月間、まったく雨が降らず、乾燥注意報は38日連続(統計史上2番目に長い記録)、1月下旬にはインフルエンザ警報が出ました。

もちろん、天気図が似ているからといって、この冬が2011年と同じになる保証はありません。でも、例年寒さが厳しい北日本よりも、この冬は東日本や西日本で寒くなる可能性があると思っています。山陰や北陸地方では例年以上に、大雪に備えたほうがいいでしょう。一方、東京は寒さと乾燥した天気で、インフルエンザが大流行するかもしれません。

【参考資料】

2010年12月の天気:気象人

2011年1月の天気:気象人

昭和38年1月豪雪(気象庁)

東京都2010年-2011年インフルエンザ情報(東京都感染症情報センター)

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは117冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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