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雪の帯広 桜開花のワケ

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
帯広の最高気温の変化 2013年5月上旬

今日(10日)午前、北海道の帯広測候所でサクラが開花しました。

平年より6日、昨年より5日遅い開花です。帯広といえば、今週の月曜日(6日)に雪が降ったニュースを覚えている方も多いでしょう。本州では新緑が深まる時期に、北海道では雪が積もるほど降るなんて、季節の違いに驚きました。

1.帯広 5月の積雪は8年ぶり

実際、帯広では5月になっても、2年に一度程度はみぞれや雪がちらつきます。でも、近年、5月に雪が積もった記録(1センチ以上)を調べてみると、2005年、1996年、1977年と積雪を伴うような雪は珍しいことが分かります。

2.サクラのつぼみをチンする?

この珍しい雪のあと、わずか4日でサクラが開花したのです。

もともと、帯広のサクラ開花日の平年は5月4日なので、サクラのつぼみはすでに膨らんでいたのでしょう。開花目前のつぼみは雪によって、一時冷凍保存されましたが、ここ数日の暖かさで一気に解凍、今日の開花へと至ったのだと思います。いうならば、冷凍食品をチンするみたいでしょうか。

3.根雪が長いと、サクラも遅い

今年は2年ぶりに、札幌より帯広の方が先に開花しました。

札幌の根雪が消えるのは平年で4月3日(長期積雪の終日)です。春分が過ぎて、日足が長くなってきても、札幌の最高気温は10℃を下回ります。根雪が消えると、一気に気温が上昇し、最高気温は一か月で7℃くらい高くなります。

ちょうど、札幌では根雪が消えてから、一か月後にサクラが開花しています(サクラ開花日の平年は5月3日)。今年の札幌は平年以上に積雪が多かったため、雪が完全に消えたのは4月12日、平年より9日遅くなりました。根雪が気温の上昇を抑え、サクラの開花が遅れる傾向があるようです。

【長期積雪終日が平年より1週間以上遅かった年】 1991年以降

年 長期積雪終日 サクラの開花日(平年日5月3日) 

1994 4月13日 5月6日 平年並みの開花

1996 4月14日 5月5日 平年並みの開花

1999 4月12日 5月3日 平年並みの開花

2000 4月10日 5月18日 平年より遅い開花

2005 4月15日 5月10日 平年より遅い開花

2006 4月10日 5月8日 平年より遅い開花

2012 4月11日 5月1日 平年並みの開花

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは117冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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