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2月4日はWorld Cancer Dayです。  あなたは、何をしますか?

片瀬ケイ在米ジャーナリスト、翻訳者、がんサバイバー
がんに立ち向かうために、私たちができることは? UICC提供

ワールド・キャンサー・デー

 2月4日はWorld Cancer Day(世界対がんデー)。これは、2000年2月4日にパリで開催された「がんサミット」からはじまった取り組みで、国際対がん連合(UICC)が、がん征圧の啓発や様々な施策を世界中で行おうと呼びかけるもの。

 2019年から3カ年のテーマは、I AM AND I WILL(私は今、そしてこれから私は)。このキャンペーンでは、「あなたは誰?」、「そして、あなたは何をしますか?」と世界中の人々に問いかける。それによって、「私は(I AM)父親」、「そして私は(AND I WILL)がんについて知識を得る」というように、個人レベルでもがん撲滅に向けた行動を起こすことを促していく。

 さらにI AM AND I WILLのメッセージを、公式ハッシュタグをつけてSNSでシェアし、世界中の人々とつながりながら、対がん活動を盛り上げていこうと呼びかけている。

禁煙効果でがんによる死亡が減少

 米国では1971年末に、当時のリチャード・ニクソン大統領が「がんとの戦争」宣言をし、がん研究を国家戦略に位置づけてから、半世紀近い月日が流れた。今もがんは、心臓病に次いで米国人の死因の2位となっているが、この25年間でがんによる死亡は減少を続けている。

 今年1月に全米がん協会が発表した「がん統計2018年度版」によれば、1991年から2016年の間に、がんによる死亡率は27%低下した。大きな要因は肺がんの減少。喫煙率低下への長年の取り組みの効果がでて、男性の肺がん死亡は1991年から50%近くも低下した。

 全米がん協会は、全体的ながん死亡の減少要因として、喫煙率の低下に加え、治療法の大きな進歩と、がんの早期発見をあげている。米国では18歳以上の喫煙率は、男性が17.5%、女性が13.5%で、全体平均では15.5%まで下がっている(2016年現在)

肥満や貧富の差がマイナス要因

 その一方で、肥満に関連するとされる肝臓がんや膵臓がんは上昇傾向にあった。米疾病対策センター(CDC)によれば、米国の成人の肥満(BMIが30以上)率は39.8%に上る。

 また今回の報告書では、経済状況でがん死亡率に差がでる傾向が指摘された。2012年から2016年の間についてみると、最も貧しい地域の全体のがん死亡率は、最も裕福な地域と比較して20%も高かった。貧しい地域では、住民が医療保険に加入していない場合が多く、経済的事情で検診を受けていない。また禁煙やHPVワクチン接種など、がん予防となる対策をとっていない、がんを発症しても十分な治療が受けられないといった実情がある。

日本はどう立ち向かいますか

 日本では、がんが死因のトップ。JT調査によれば、今も日本人男性の喫煙率は27.8%と高く、男性のがん死亡数トップの部位は肺である。米国の例を見れば、取り組むべきことは明らかだ。

 2月4日、UICC日本委員会は東京のカレッタ汐留で、午後6時からイルミネーションをブルーとオレンジにライトアップする「Light Up the World」イベントで、日本ががんに立ち向かう決意を世界に発信するという。

 I AM AND I WILL。がんを予防するために、がん患者を支援するために、がんを撲滅するために、個人や医療関係者、研究者、企業、政府など、それぞれができることがあるはず。あなたは、何をしますか?

在米ジャーナリスト、翻訳者、がんサバイバー

 東京生まれ。日本での記者職を経て、1995年より米国在住。米国の政治社会、医療事情などを日本のメディアに寄稿している。2008年、43歳で卵巣がんの診断を受け、米国での手術、化学療法を経てがんサバイバーに。のちの遺伝子検査で、大腸がんや婦人科がん等の発症リスクが高くなるリンチ症候群であることが判明。翻訳書に『ファック・キャンサー』(筑摩書房)、共著に『コロナ対策 各国リーダーたちの通信簿』(光文社新書)、『夫婦別姓』(ちくま新書)、共訳書に『RPMで自閉症を理解する』(エスコアール)がある。なお、私は医療従事者ではありません。病気の診断、治療については必ず医師にご相談下さい。

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