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世界初!イマーシブな没入時代へ #イマーシブフォート東京 本日オープン 元ヴィーナスフォート

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
出典:株式会社 刀

KNNポール神田です。
イマーシブフォート東京』が本日、2024年3月1日(金)オープンする。

2024年3月1日、東京・お台場。
これまでのテーマパークとは一線を画す“完全没入体験”テーマパークが誕生。
映画やアニメ・ゲームの世界で目にする“ドラマティックな出来事”
それを、“鑑賞者”ではなく“当事者”として体験する——
世界初※のイマーシブテーマパーク
イマーシブ・フォート東京、誕生。
https://immersivefort.com/


場所は東京・お台場の元ヴィーナスフォートの場所だ。

『イマーシブ(没入)』という言葉を聞くと、IT業界側から考えると、ついついVRやARのようなヘッドセットを装着した視界を中心とした『没入感』をイメージするが、このお台場でオープンした『イマーシブフォート東京』は、装置を使うのではなく、本人がそのまま、シナリオ型への劇場の世界に入り、『没入』するという」。そう、『イマーシブフォート東京』という劇場形式ではあれど、観客席とステージがあるのではなく、演者と参加者が一体となる。観客ではなく参加者と表現したい。
そして、『イマーシブシアター』を中心とする複数のイマーシブ体験のみで構成されるテーマパークとしては世界初 だという(2023年9月 株式会社刀 調べ)。


■イマーシブシアターとは?

『イマーシブシアター』と定義されている参加型演劇スタイルは、実は昔から多く存在していた。『演劇』スタイルから参加者一体型のアート作品として、展示空間を含めて作品とみなす『インスタレーション』として多く展開されてきた。


筆者のイマーシブ体験の中では、1980年代の視覚障害者の雇用とスキルをフィーチャーしたドイツ・ハンブルグ発の『ダイアローグ・イン・ザ・ダーク』が衝撃的だった。
真っ暗な暗闇の世界を、視覚障害者にガイドされながら歩き、飲食体験をするという健常者にとってははじめてのことだらけ。車の通りの多い車道を模した音響の中を渡る。暗闇の中で水をグラスに注ぐ…2000年代に入り、日本でも期間限定で開催されるようになり、2010年代には日本で常設の『ダイアローグ・イン・ザ・ダーク』が展開でき、障害者の雇用促進となっている。
https://did.dialogue.or.jp/

チームラボ』の作品もデジタルを活用した『イマーシブシアター』と分類することができるだろう。



2020年代になると日本でも劇団『泊まれる演劇』が、ホテルを劇場として活用する『日本型のイマーシブシアター』が誕生させている。

https://www.tomareruengeki.com/

■イマーシブシアターの採算性はどうか?


そして『イマーシブシアター』を興行として成功させたのは2000年代のロンドンからだろう。
イギリス演劇集団の『パンチドランクPunchdrunk)』が『没入型演劇(イマーシブシアター)』として開始した。
なんといっても、この『イマーシブシアター』の最大の売りは、装置型の演出を不要としていたことだ。廃墟や工場跡でもパフォーマンスが可能。照明やサウンドはあれど、最終的には、演者が織りなす演技力とシナリオ力、そして参加者ということなので、ゲームセンター型の装置中心のアミューズメントとは一線を画す体験だ。
https://www.punchdrunk.com/
https://www.theburntcity.com/

何よりも一等地である必要がないので、固定費が低く、演劇同様に開催演目と日時を指定して興行を打つことができる。

『パンチドランク』のように演目がたくさんあると、その演目を言語を変えてアレンジすれば世界のどこにでもライセンスが可能となる。

2000年からの20年で、演目数は膨大にあり、過去の偉大な作品をミュージカルやブロードウェイに書き換えるのと同様に、今後もイマーシブシアター用に置き換えていくことが可能だ。

■実は『刀』はイマーシブシアターの日本においてのパイオニアである


株式会社刀の代表の森岡毅が、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン時代に『ホテルアルバート』(2018年2019年)を開催。

2023年5月 西武園ゆうえんちで開催中の『没入型ドラマティック・レストラン 豪華列車はミステリーを乗せて』などで手応えを感じている。

当時「ホテルアルバート」シリーズの製作総指揮を務めていたクリエイティブ・ディレクター津野庄一郎、興山友恵といったメンバーをはじめ、日本におけるマーケティングとエンターテイメントの精鋭が結集する株式会社刀が、大規模なイマーシブシアターをはじめとする“本物のイマーシブ体験”を生み出す
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000073819.html

何よりも、今回は、森岡毅(もりおかつよし)率いる 株式会社刀が自ら、企画・開発から運営まで自社で行う初めてのテーマパーク開業であり、また東京都心での初のテーマパーク事業展開を手掛けるというところに大注目だ。

https://katana-marketing.co.jp/

そう、クライアントのいない自己投資のテーマパークは、森岡毅にとっても初めてのイマーシブ体験となることだろう。

旧ヴィーナスフォートが備えていた、細部まで精緻に作り込まれたヨーロピアンな街並みを最大限活かしながら、物語に没入するための空間として再定義。

そう、ヴィーナスフォートは、米ラスベガスのシーザーズ・パレスのローマをテーマにした『ザ・フォーラムショップス』をモデルとしたので、その施設をそのままヨーロピアンな劇場として、『居抜き』として扱うのは、設備投資がかなり節約できる投資となったことだろう。

日本における観光・テーマパークの領域においては、1983年の東京ディズニーランドの開業によって、従来の遊園地業態に加え「テーマパーク」という概念が登場してから約40年が経ちます。この期間、「ゲストが傍観者・第三者としてエンターテイメントをみんなと同じように楽しむ」というテーマパークの形は大きく変化していません。今回の開業は、そのライブ体験の刺激の強さや濃密さ、当事者性、個別体験性などどれをとっても従来のテーマパークの形態を次のレベルへ進化させる、全く新しいチャレンジであり歴史的転換点となります。刀社はマーケティングとエンターテイメント領域におけるリーディングカンパニーとして、この変化の起点となり前進していく所存です。


現在のところ、10打席中10安打を達成しているので、緻密な計算の上での『イマーシブシアター』。
ヴィーナスフォートは入場料無料だが、イマーシブフォート東京は6,000円程度となるから、リピーターが増えれば、都心での活性化と、何よりも、日本の演劇人の仕事を大幅に、日常的に雇用できることとなる。
そう、演劇や俳優を志望する人たちは、食うためのアルバイトをするが、イマーシブシアターが日本各地、いや世界各地にできれば、演劇で食える人を何千人も雇用できることが可能となる。

これは、新たなテーマパークの姿になる可能性だけでなく、装置産業である劇場、レストラン、の新たな進化を期待させてくれそうだ。

そして、オンラインでの参加ができるようなシナリオがあれば、時間と空間を超えての総合イマーシブな体験が可能となりそうだ。

https://ticket.immersivefort.com/ticket/

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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