Appleはクルマよりも、サービスとウェアラブルに専念すべきではないだろうか?
KNNポール神田です。
『アップル、EV開発計画を白紙に-10年がかりのプロジェクト断念』というスクープがBloombergのマーク・ガーマン記者によりリークされた。
『プロジェクトタイタン』というコードネームの事業は、2014年からはじまった、独自の自動運転システムを持つEVカーの開発事業である。
テスラのイーロン・マスクも度々Apple本社へ訪れたりしながらの長期に渡るプロジェクトであった。
■Appleの関係者からによるリークされた情報だが…
最高執行責任者(COO)のジェフ・ウィリアムズとプロジェクト責任者のケビン・リンチは、15分足らずの会議で約2,000人のチームにこのニュースを伝えた…という、Bloomberg紙のテック担当のマーク・ガーマン記者のスクープだ。
Apple側の正式コメントではないにしても、長年Appleをリポートしている担当記者であるから内容は広報面も理解した上でのスクープだと思えるので信憑性は高く思える。しかし、ガーマン氏は、『アップルがレベル2+の自動運転システムを備えたEVの発売予定を当初の2026年から2028年に延期した』と伝えていたので、Apple側の経営判断の変化も伺いしることができる。
現在2024年であり、これから4年かけて進める大プロジェクトともなると、社内でも反対意見が出て当然だろう。
特に『AI』部門の変化は、この1年でも激変している。OpenAIとタッグを組むMicrosoftをさらに盤石にした。当然、Appleも指を加えて眺めている状況でもいられない…。『AI』は、今後のApple製品、すべてに関わってくる重要な技術だ。
■iPhone事業は利益の6割、サービスは2割に成長、1割はウエアラブル
Appleとしても、iPhone一本足打法から,サービスやウェアラブルに『AI』は必須であり、『AIエージェント』としての『Siri』を『音声インタフェース』として考えれば、全製品カテゴリーでのAI事業の展開が可能だ。
Appleの利益のうちiPhoneのシェアが6割を切り、サービス事業が2割に伸び、ウェアブルが1割に、残りをMacとiPadで1割強という並びになっている。
サービスやウェアブルを伸ばしたいと考えるのが普通だ。AIの進化を考えると、異次元のクルマ事業の開発は、どこかの企業を買収すればいつでも参入できるので、基幹となる今後の次世代メインストリームに集中するのは良い判断だと思える。
■ウェアラブルでは『Appleリング』を開発すべきだ
AppleのiPhoneに次ぐ事業はサービスで2割を占める。これを最大化するには、AIのストアのようなもので、各製品に対してのAppleの独占する製品群とのAIシナジーだろう。
ウェアラブルは、AppleVisionProのような、チャレンジングな製品カテゴリーはこれからの進化に欠かせない。
サングラス型デバイスも考えられるし、AppleWATCHという製品カテゴリーでもすでに大きなシェアを獲得している。
Appleの忘れ物タグのAirTagのような製品も忘れてはならない。iPhoneとの連携で値段が高くても、人々はApple製品を選択している。
ウェアラブルといってもVisionProを毎日、しかも1日中装着は考えにくい。AppleWATCHは、ヘルスケア機器としてもはや手放せない。AirTagとAppleWATCHのつなぎで考えると、Appleリングという指輪型のデバイスは十分に勝機があると思う。
つけていて、気にならず、家のロックから、生体認証や、家電のセットなどいろんなキーデバイスにできるはずだ。何よりも、クルマのように流通も工場もマーケティングもゼロからというものでもない。
製品さえあれば、明日からでも販売でき、サービスやウェアラブルの利益に貢献できる事業部門に育つ可能性がある。
iPhoneの事業のセカンドは『サービス』そして、それを補完できる『ウエアラブル』である。これらを消去法で考えていくと、カラダに装着して邪魔にならない場所は、当然、限られてくると思う。