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3月31日、さようなら『#Gyao!』動画撤退とCGMとの対峙 #木村拓哉 映像は3月末まで?

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
出典:GYAO!

KNNポール神田です。

動画視聴サービス『GYAO!(ギャオ)』のサービスが2023年3月31日に終了する。

https://gyao.yahoo.co.jp/

■サービス終了のお知らせ

いつもご利用いただき、ありがとうございます。

誠に勝手ながら、「GYAO!」「GYAO!ストア」「トレンドニュース」は、2023年3月31日(金)午後5時をもちまして、すべてのサービスを終了いたします。

(終了時刻は、状況により前後する場合がありますので予めご了承ください。)

各サービスをお楽しみいただいているお客様には、多大なご迷惑とご不便をおかけすることとなり、誠に申し訳ございません。何とぞご理解くださいますようお願いいたします。

また、サービス開始より多くのお客様にご支持いただきましたことに、運営チーム一同、深く御礼申し上げます。

サービス終了まで短い期間ではございますが、「GYAO!」「GYAO!ストア」「トレンドニュース」を引き続きお楽しみいただけますと幸いです。

https://gyao.yahoo.co.jp/thankyou

2023年1月16日に突如、発表された。

現在提供されている視聴サービスは、あと2ヶ月間でなくなる…。

『GYAO!』のサービス開始は、2005年(平成17年)の18年前にさかのぼる…。『USEN』が『ブロードバンド回線(※当時の大容量回線)』を展開していた当時の最大のサービスとして登場した。

2009年(平成21年)、ヤフー株式会社の『Yahoo!動画』と株式会社GyaOの『GyaO』が統合し、ヤフー傘下入り。

https://ja.wikipedia.org/wiki/GYAO!

2009年、現『Zホールディングス』の川邊健太郎Co-CEOがヤフーから出向し、2011年度単年度黒字化を達成。ヤフー動画のシステム統合によるコスト削減効果も大きい。累積100億円の赤字を2年で黒字化。

https://diamond.jp/articles/-/13071

2023年、『GYAO!』のサービスを終了を発表。『LINE VOOM』に資源を集中する。

■動画サービスの戦国時代

動画サービス老舗の『GYAO!』の突然のサービス終了発表に驚いた…。やはり、後発の『ABEMA』の背中を追いかけてきた『GYAO!』であったが、『ABEMA』のワールドカップでの快挙に心が折れてしまったのかもしれない…。

出典:日本経済新聞
出典:日本経済新聞

データ分析のヴァリューズ(東京・港)によると、22年12月の利用者数は382万人と17年12月比で2.5倍となったが、412万人(6.3倍)のネットフリックス997万人(3倍)のアマゾンプライムビデオの後じんを拝していた。

新たな国内勢の台頭もある。サイバーエージェントが16年に開始したネットテレビ「ABEMA(アベマ)」だ。22年にはサッカーのワールドカップ(W杯)の全試合を無料配信し、日本が予選を戦った3日間で累計4100万人超が視聴した。民放各局も番組配信サービス「TVer(ティーバー)」を15年に立ち上げ、22年に番組の同時配信を始め利用者を増やしている。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO67630850W3A110C2TB0000/

むしろ、『LINE LIVE』『LINE LIVE-VIEWING』も2023年3末終了で『LINE VOOM』に総力を結集するのは『TikTok』の独走、『YouTubeショート』の背中を追いかけるには良い判断だと思える。

無料の動画配信サービスでは、『YouTube』がトップだが、『TVer』が2021年から7.0ポイント伸びている。

出典:インプレス総研
出典:インプレス総研

動画サービスは大別すると2種類。

『プロフェッショナル』と『アマチュア』の2種類だった。

しかし、プロのYouTuberという、プロをもしのぐ、アマチュアの存在が、プロとアマチュアの領域を曖昧にした。

さらに、大量の違法コンテンツだったアマチュアの世界が明快にコンプライアンス化することによってプロとの差がわからなくなる。

さらに、テレビを見ない人にとっては、YouTuberの方がプロにしか見えない。プロのひな壇芸人がYouTuber化することによってさらに曖昧に。

そして、『プロフェッショナル』作品も『有料サブスクリプション』と『広告モデル』と2つに分類されるようになった。

『広告モデル』はすでに『テレビ』もライバルという現状で、『YouTube』『TVer』『ABEMA』『GYAO!』と戦国時代だ…。当然、『仕入れ』や『変動費』が視聴と共に発生する企業は、ユーザー数が増えれば増えるだけ、広告費の争奪戦となる。

一方、アマチュアに台頭される『CGM:コンシューマジェネレ−テッドメディア』もプラットフォームによる、課金モデルという有料が登場しすでに『プロ化』している。

最大の違いはアマチュアのCGMには仕入れや変動費がかからないというメリットがあり、広告費や課金はすべて分配で成立する。原価ゼロビジネスというのが大きい。

YouTubの広告費は最大6割をYouTuberに還元していた、そして、その市場を拡大してきた。そして、その広告が『TikTok』の台頭により脅威として顕在化されている。『YouTubeショート』や『LINE VOOM』が『TikTok』を追いかけるという市場の新構図が生まれている。

ZHDの川邊健太郎が手塩にかけて育ててきた『GYAO!』をクローズさせてでも『LINE VOOM』にかける選択は、『Yahoo!動画』をクローズさせて『GyaO!』の統合によって黒字化させた手法と非常に似ている。『LINE VOOM』の4月以降の人的布陣も含めて注目してみたい。

■GYAO!オリジナル 木村拓哉 Flowからの『木村さ〜〜ん!』

おそらく、木村拓哉、最大のネット動画200本超えのアーカイブもなくなってしまうだろう…。

https://gyao.yahoo.co.jp/title/%E6%9C%A8%E6%9D%91%E3%81%95%EF%BD%9E%EF%BD%9E%E3%82%93%EF%BC%81/5f6086e6-cfc2-4627-bf2e-1212fd508be3

ジャニーズのネット動画解禁でも、当時、一番の話題だったのが、木村拓哉のネットでの登場だった。

すでにネットでジャニーズ事務所が視聴できるのが当たり前だが、そこにいきつくまでにはかなりの難題があった。

GYAO!提供のTokyoFM『木村拓哉 Flow supported by GYAO!』連動の『 木村さ〜〜ん!』も3月26日(日)までと公式Twitterで発表となった。

すでに『木村さ〜〜ん』の『LINE VOOM』への遷移も始まっているのでLINE VOOMへと提供が変わる可能性も残されているが現在ではわからない。LINEもある。

https://page.line.me/041filbw?oat__id=1038572&openQrModal=true

このラジオ番組は、1995年SMAP時代からの木村拓哉の唯一の継続している冠番組枠でもあるからだ。しかし『LINE VOOM』のキャラクターには、木村拓哉さんでは、すでに重厚すぎるかもしれない。

おそらくスポンサーが変わっても木村拓哉番組は継続されるだろうが、ZHDから離れるとこの映像コンテンツはあと2ヶ月間の見納めとなるだろう。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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