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大晦日『嵐』最後の『生ライブ配信』は『紅白』とはガチ歌合戦?

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
出典:Johnny'snet

KNNポール神田です。

先の『アラフェス2020』が終わったばかり…しかし、すでにグループとしての『嵐』の活動期間は残すところ2ヶ月弱…。

いよいよ最後の最後の12月31日、大晦日に『This is 嵐 LIVE 2020.12.31』の生配信LIVEが決定したという…。

□年内いっぱいでの活動休止を発表している嵐が12日、公式ファンクラブサイトで、大みそかにグループ史上初の生配信ライブを開催することを発表した。

□活動休止前ラストライブとなり、ファンと同じ時間を共有して2020年を締めくくる。

□今月3日に配信したライブ「アラフェス」同様、無観客配信ライブとなるが、事前収録だった「アラフェス」と違い、今回は生配信だという。松本潤は「今回は嵐として初となります、無観客ではありますが、生配信で!お届けしたいと思います」と伝えた。

出典:嵐が大みそかに初生配信ライブ「何度も何度も協議」

『嵐』の本当に最後となるライブが配信される。

気になるのはネット配信でいつから『ライブ(LIVE)』が『生(LIVE)』でなくなってきたかだ。録画を決められた時間に解禁するというのは『映画』の公開と変わらない。

Appleのイベントなども2020年はすべて『事前録画イベント』となり、テレビの通販番組と変わらなくなってしまった感がある。

しかし、今回の『嵐』は、『生配信』という本来の『ライブ』でしかも最後の『ライブ』となる。

■無限大の収益を生む『オンラインライブ』と『紅白歌合戦』司会との差!

第71回NHK紅白歌合戦 のオンエアは、2020年12月31日(木)19:30〜23:45 

https://www.nhk.or.jp/kouhaku/

□ 大みそかの「第71回NHK紅白歌合戦」の白組司会が俳優の大泉洋(47)に決まった。

□何と言ってもサプライズは大泉だ。実は年内で活動休止する「嵐」の起用が既定路線とみられていたからだ。

□ 嵐はグループで2010年から4年連続で白組司会を務め、間に「V6」井ノ原快彦を挟んだあと、16年から再び相葉雅紀→二宮和也→櫻井翔と白組司会のバトンをつないできた。

□「東京五輪イヤーの今年、嵐がグループで白組司会をやって大団円というシナリオは、何年も前から言われ続けていました。それこそ先日、ジャニーズ事務所の会長職を退いたメリー喜多川氏は、公然と『東京五輪の年は嵐が(司会を)やるのよ!』と宣言していました」とは音楽関係者。

□ところが、新型コロナの感染拡大ですべての計算が狂った。東京五輪は1年先延ばしに。5月に行われるはずだった嵐のコンサートも延期となり、3日に配信ライブ「アラフェス2020 at 国立競技場」という形で開催

出典:嵐じゃなかった! NHK紅白司会に大泉洋抜擢の舞台裏

国民的番組である大晦日のNHK紅白歌合戦の予算は、3億円とも言われる…。

その予算の中から司会者にいくら支払われるのか? 当然、3億円を超えることはない…。

『嵐』が紅白歌合戦に長時間を拘束され、がんじがらめの台本で白組を応援したところで、すでに国民的知名度を獲得している彼らにとってメリットといえるようなメリットはないだろう。むしろ、『アラフェス2020』のオンライン配信で、通常ならば国立競技場で最大8億円しか発生しない売上を最大564億円と試算できた。

一晩で、ドーム公演130回分!嵐は『アラフェス2020』の一晩でどれだけ稼いだのか?

https://news.yahoo.co.jp/byline/kandatoshiaki/20201105-00206409/

■『嵐』の『オンライン・ライブ』に参加するのは300万人?144億円規模のチケット売上を想定

出典:YouTube
出典:YouTube

なんといってもオンラインライブは、『ファンクラブ』の特典を作りやすく、『一般』との差別化が明確にできる。さらに、NHKの『紅白歌合戦』に出場するよりも、収益は最大化される。

嵐のYouTubeチャンネル 308万人(2020年11月13日現在) ファンクラブののべ人数300万人とほぼ一致する。

すると、前回同様、4,800円のオンラインチケットでいくと、300万人だと、144億円となる。

https://www.youtube.com/c/ARASHI_5_Official/videos

嵐オフィシャルサイト

https://www.j-storm.co.jp/arashi

■『オンライン・ライブ』の気になる『※時間未定』

『嵐』の生配信が決定したが、気になるのが『開催時間』だ。前回の『アラフェス2020』もファンクラブ会の1部(16:30〜)と一般の2部(19:30〜)で時間を分けて開催された。

2020年大晦日、どう考えても、ファンクラブ層と一般層は経営的には2度分けて開催したい。ファンクラブ層としては2ステージ視聴するからだ。ファンクラブ層を、300万人としてもファンクラブ層が全員が参加すれば600万人。一般層が400万人参加すれば1,000万人ユーザーと計算できる。1,000万人ならば一晩で480億円だ!

しかし、それだけ『売上』を上げてしまうと税金もハンパない。そこで、税金をどうするかというと、ステージの固定費にお金をかけたほうが良いとするのがジャニーズの経営スタイルだ。それだけステージ演出には費用がかけられるので当然、ファンの満足度は上がるという良い方向となる。

『オンラインライブ』は、まさに会場のキャパシティに制限されないライブ興行ビジネスの金脈となった。今回は時間が未定となっているが、どこから『生配信』を行うのかにも注目である。広さを競う会場でなくてもよい。総合演出プロデューサーの松本潤氏の発想力によって今までに見たことのない場所からの生配信も可能だ。

そして、ファンクラブ、一般と分けた場合、大晦日ということもあり、午前0時までにちょうど終わるという演出も考えられる。新しい年を新たな個々のメンバーとしての旅立ちと捉えることもできる。

避けられないのが『紅白歌合戦』との時間帯とのガチ合戦だろう。昼間だけの公演で、『紅白歌合戦』に迷惑をかけない時間帯という配慮はビジネス的に考えられない。そう、大晦日に開催する時点で、『紅白』と『歌合戦』することは大前提だったと考えられるからだ。

そこで、いつ、どこから、『生配信』されるのか期待したいところだ。

■ジャニー喜多川氏亡きあとの、ジャニーズのインターネット戦略

途中で視聴できなくなってしまったアラフェス2020リピート配信 出典:筆者
途中で視聴できなくなってしまったアラフェス2020リピート配信 出典:筆者

筆者は『アラフェス2020』の『リピート配信』を視聴していたが、交響楽団と共にの『モンスター』の途中から視聴が不可能となった。疑似の歓声も聞こえない、ステージはどこか現実ではない、リハーサルを見ている親近感を感じた。それと、同時にこのようなライブを実際に自分の目で見てみたいという衝動に駆られた。

たった一度のライブ配信の希少価値はわかるが、ネットの視聴環境で、ユーザーの視聴数や満足度を落とすのはもったいないと感じる。

メールでジャニーズに再配信のリクエストをしているが応じてもらえなかった。

出典:Johnny'snetオンラインサポート
出典:Johnny'snetオンラインサポート

事前にネット環境を確認していても、いざ本番となった時には、やはり通信のリスクがある。万一、視聴できない状況のためのリスク対応は必要かと思う。

そして、嵐の休止後も、『嵐』のファンクラブも継続が発表されている。

最終的にはフィジカルな媒体のブルーレイディスクなどで、2020年のオンラインライブの完全盤のような商材を作ることもできるだろう。

何よりも、人間という『タレント』を扱うビジネスだから、利益の源泉となった『グループ』への最大の貢献と、新たなライブ配信が可能となった今、『ジャニーズ』自身が理想の『配信スタジオ』を持つことも可能ではないだろうか?

観客を入れることを前提としていない、いわば『音楽スタジオ』と『撮影スタジオ』を兼ねた理想の国が作れるのかもしれない。

秋葉原での『AKB劇場』やよしもとの全国的な『劇場』などはすぐに展開できるだろう。

ダンスや歌や演技を教えるスクール事業もやりやすい。

いや、むしろ、『ジャニーズランド』のようなテーマパークを作ることも可能なフェイズに入っていると思う。

ちなみに東京ディズニーランドは1,584億円(1983年)

カリブの海賊は160億円

サンリオピューロランドは650億円(1990年)

『嵐』のオンラインライブでの収益から、投資キャッシュフローにまわしておく時期ではないだろうか?

■事前に必ずネット視聴環境をチェックしておこう!

■推奨環境

出典:Johnny'snet
出典:Johnny'snet

https://online.johnnys-net.jp/s/jno/device_list

■動画視聴環境

出典:Johnny'snet
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https://online.johnnys-net.jp/s/jno/page/live_player_test

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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