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東京都知事選挙、ホリエモン堀江貴文が東京のドナルド・トランプになる日

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
出典:東京都選挙管理委員会

KNNポール神田です!

ホリエモンが東京都知事選挙に立候補するのは?というスクープが飛び込んできた…。これは、一見、なさそうに見えたが…。混沌とするアフターコロナ時代を牽引していくにはこれくらいの個性の強いキャラクターが必要なのかも知れない。

□元ライブドア社長で実業家の堀江貴文氏(47)が東京都知事選(2020年6月18日告示、7月5日投開票)の立候補に意欲を示していることが19日、分かった。周辺は「正式な出馬表明は告示直前」との見通しを語った。新型コロナウイルスの感染拡大前の2月には都知事選への興味を持ち、NHKから国民を守る党の立花孝志党首(52)と継続的に協議しているという。

□ホリエモンが2度目の政界挑戦を目指す可能性が出てきた。

□出馬への意欲は、新型コロナウイルス感染が収まらない現状への危機感がある。ツイッターでは過度の「ステイホーム」を批判。早期の自粛解除、積極的な経済活動の再開を主張している。今月発売の著書「東京改造計画」では、東京メトロ・都営地下鉄の合併、都庁内のデジタル化促進、大麻解禁など37項目、500ページに及ぶ“公約”をつづっている。

出典:堀江貴文氏、都知事選出馬へ 関係者は可能性に「99%」…7月投開票

筆者は、IT業界から初の国政選挙に立候補した経験もあるので、ホリエモンこと堀江貴文氏の都知事選への『立候補』について検証してみたいと思う。

第21回東京都知事選挙の立候補予定者への書類配付(2020年5月18日)は、すでに始まっており、都知事選挙に出馬する立候補者は、これらの書類を元に立候補の申請を行う。書類の不備がないように、選挙管理委員会は事前に提出書類を確認するためと、立候補者をマスメディアに紹介していく期間としている(あくまでも候補予定者として…)。

出典:東京都選挙管理委員会
出典:東京都選挙管理委員会

https://www.senkyo.metro.tokyo.lg.jp/uploads/20200511syoruihaihu.pdf

■2020年6月18日(木)告示、7月5日(日)投開票

 今回の東京都知事選挙は、2020年6月18日(木)告示で、7月5日(日)投開票、約2週間(17日間)の選挙戦が繰り広げられ、新たな東京都知事が決まる。

基本的に『告示日』とは、『立候補届け』の最終締め切り日であるのと同時に、実質、選挙ポスターを貼るための番号を抽選で決めるためでもあり、実質、立候補の締め切りと、選挙番号の付与と、選挙活動の解禁日でもある。

もちろん、告示日前には、各個別のポストに投函されるようなモノクロの『選挙公報』の原稿はそれ以前に締め切られている。さらに『立候補届け』には、法務省へ『供託金』として300万円を供託し、代わりにもらえる供託証明書を添えて申請しなければならない。この『供託金』は『供託ポイント』と呼ばれる1/10以上の得票数を得ることによって100%変換される。

つまり約500〜600万票が投票される都知事選挙で50〜60万票以上を獲得すると供託金は没収されない

■メリットしかないホリエモンの『立候補』

YouTube対談などで、『N国党』党首の立花孝志氏との交流もあり、『N国党』は2019年7月から政党要件を満たしており、もしもホリエモンが『N国党』から立候補するならば、政党として、選挙期間前の2020年6月18日(木)以前から選挙活動が実質可能となる。

ホリエモンの知名度は、日本全国に知れ渡っており、N国党に所属するしないにかかわらず、好き嫌いに分かれたとしても、歯に衣着せない独自の切り口は、一定層の票田をガッチリとグリップすることは出来るだろう。

むしろ、一人しか当選できない東京都知事よりも、国会議員の方が当選出来る確率は高くなるだろう。しかし、衆議院の解散や満期、参議院はまだまだ先だ。

■マスメディアからSNSへホームを変えたホリエモン

しかし、ホリエモン視点で考えれば、『サンデージャポン』などでも、テレビ出演よりも『YouTuber』の方が良いと発言しており、すでに、活躍の舞台を『オンラインサロン』や『YouTuber』のネット側にシフトしている。

そして、これらの場で、十分にご自身の承認欲求は満たされているはずだ。今さら、『政治』という一般人の監視が超絶にうるさい世界へ突入し、カネの使い方にまで文句を言われる日常を、氏が入りたいとは考えにくい…。

唯一違うのが、『書籍』だ。ホリエモンの書籍は部数が読めるのと同時に印税収入よりもむしろ『ホリエイズム』をより広く伝えるメディアとしてうまく機能している。

フローのメディアはSNSで獲得し、ストックメディアは書籍で獲得しているのだ。

それだけでなく『多動力』のヒットは、編集者の『箕輪厚介』氏という新たな次世代人材を昇華させている。

■2020年5月30日発売の書籍『東京改造計画』の絶妙なタイミング

出典:『東京都改造計画』
出典:『東京都改造計画』

そして、コロナ前からの『都政』への関心がまとまり、一冊の本となって、公示前の絶妙なタイミングで発売される…。

すでにamazonPayPayモールでも予約が開始となっている。

候補者のマニュフェストのような『提言』が具体的に『37』も現れている。

東京改造計画 出典:amazon
東京改造計画 出典:amazon
東京改造計画 出典:amazon
東京改造計画 出典:amazon
東京改造計画 出典:amazon
東京改造計画 出典:amazon

なかなかユニークな政策とも取れる提言だ。田中角栄元首相の『日本列島改造論』の選挙PRを思いだす。

選挙に受かるための政策は多いが、自身の主張をより声高々にあげるための『出馬』というプロモーションはありだと思う…。

かのN国党の立花氏も、政見放送に出演によって、YouTubeの登録者数がアップしたことを公言している。

ホリエモンにとって、当選しなくても耳目を集めることは十分に可能であり、現在のYouTube登録者数が2〜3倍になることも可能だろう。現在のYouTube登録者数は 108万人(2020/05/21現在)

2020/05/21現在出典:YouTube
2020/05/21現在出典:YouTube

https://www.youtube.com/channel/UCXjTiSGclQLVVU83GVrRM4w

投票数の1/10の供託ポイントに到達しなくても、300万円の供託金以上の宣伝効果がある。政党要件を満たしているN国党から出馬となるとマスメディアも取り上げるからだ。

そして、万一、ホリエモンが、都知事に当選しても、米国のドナルドトランプ大統領の事例があるから、さほど心配する必要はない。当時、泡沫候補と思われていたトランプが、まさかの当選。しかもブレない愛国主義で次期選挙にまでのぞむ…。そしてまた対立候補が弱すぎる…。トランプになってから、世界は急降下するように予測した経済学者や政治学者もたくさんいるが、ビフォーコロナまでは経済は絶好調である。今後はまだまだ未知数でわからないが、このような急激な変化の中、従来の型どおりの政策だけではなく、思い切った政策やIT化は進めなければならないことは明確だ。

マイナカードで10万円を給付するのにどれだけ、面倒なことを自治体に政府は科しているのだろうか?ハンコを押すために自粛中に出勤とか、緊急助成金の申請を電子書類で作成したものをCD-RやUSBメモリで郵送で提出させるなどの愚作な制度だらけだ…。

そう、小池都知事も、首長の権限が、会社の部課長レベルと嘆いているくらいである。ホリエモンが万一、東京都知事になったとしても、それほど激変させることは、議会の圧力もあり難しいから安心して欲しい。しかしだ。トランプさながら、WHOですら脱退するというようなパフォーマンスや、twitterにおける暴言など見ていると、ホリエモンの口の悪さや無礼さなどはかわいいものである。

■ホリエモンが東京のドナルド・トランプになる日

むしろ、国会における全ての答弁が、官僚ペーパーを読み上げるに終わる現在の国会。twitterでの『#検察庁法改正案に抗議します』デモ。

出口の見えない自粛。アフターコロナをどのように生き抜くのか? ホリエモンのようなマッドサイエンティストでサイコティックで、人の感情など全く気にしないタイプがビジバシと切り開いていくというカードを切ってみるのも都民の選択としてありかと思う。

しかし、現在のお役所のスタイル、選挙のスタイル、メディアのスタイルも、超速に遅いが変わり始めてはいる。しかし、ここは、一気にアクセルを切らないと日本そのものが、システムの弊害で世界の『IT後進国化』するのは目に見えている。そこだけはなんとか、今の時代に避けておかなければならない。

そう、こんな時代だからこそ、ホリエモンに東京のドナルド・トランプになってもらい、ワイルドな舵取りのお手並を拝見してもらいたい。少なくとも、IT化すればすむ事の課題を上げてPDCAを回すだけでも小さな大改革になるはずだ。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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