まるで『マネジメントゲーム』ソフトバンクグループの4.7兆円調達、2兆円自社株買いの『意思決定』

出典:ソフトバンクグループ

KNNポール神田です。

□ソフトバンクグループは(2020年3月)23日、保有資産を最大4兆5000億円売却すると発表した。調達した資金は最大2兆円の自社株買いのほか負債の削減に使う

□資産売却は今後4四半期にわたって実施する。売却対象は明らかにしていないが、中国・アリババ集団や国内通信子会社ソフトバンクなど流動性の高い上場株が主な対象とみられる。4兆5000億円は保有株27兆円の2割弱に相当する。

□自社株買いは(2020年3月)13日発表した上限5000億円の買い入れと合わせて2兆5000億円となる。発行済み株式数の45%を取得し消却する。ソフトバンクGの時価総額は19日時点で6兆円と保有株に比べて小さく、割安と判断した。

出典:ソフトバンクG「守りの財務」へ転換 新規投資を抑制

□ソフトバンクグループは中国の電子商取引会社アリババ・グループ・ホールディングの株式約140億ドル(約1兆5500億円)相当の売却を計画

□アリババ株の売却額は120億-150億ドルとみられている。ソフトバンクグループは国内通信子会社ソフトバンクの一部株式や、米スプリントの持ち分の一部をTモバイルUSとの合併完了後に売却することも検討

□資産売却計画については孫正義社長が23日に発表したが、どの資産を手放すかは明らかにしなかった。

出典:ソフトバンクG、1兆5500億円相当のアリババ株売却を計画-関係者

■どの保有株式をいつ、いくらで、販売するのか?

31.1兆円分の保有資産 出典:ソフトバンクG
31.1兆円分の保有資産 出典:ソフトバンクG

31.1兆円の内訳     2020/02/12

16.1兆円 アリババ

4.8兆円 ソフトバンクKK 通信 Zホールディングス親会社

3.2兆円 ソフトバンクビジョンファンド

3.2兆円 スプリント

2.7兆円 アーム

現在の株価の低下で保有資産の価値は27兆円とも言われるので一概にいえないが87%の目減り率程度で考えるべきだろう。つまり、25.7兆円の2019年9月30日の保有価値で考えたほうがよいかもしれない。

すでに、bloombergのリークにあるように、アリババの140億ドル(1.4兆円)の発表もあるが、約1年間あるので、他の保有資産の売却もいろいろと検討できる。アリババのみで4.7兆円調達することも可能だろう。しかし、ソフトバンクKK一社分でちょうど4.7兆円であり、Tモバイル合併が承認された3.2兆円のスプリントも、2.7兆円のアームなどとの組み合わせも考えられる。

■『タイミング、スケール、方法論』をよく考えるべきである』 by孫正義

出典:ソフトバンクG
出典:ソフトバンクG

アリババ(16.1兆円保有)の売上や純利益は、年間140%の伸びなので、単純にアリババ株のみの放出は考えられない。ソフトバンクKK(4.8兆円)の株式は、金の卵としての通信事業だけではなく、孫会社としてのZホールディングスへの影響力を持っている。ヤフーやZOZOを抱えている。さらに、LINEとの経営統合が発表され、実現されれば、結果としてヤフーの海外進出という悲願も達成できることだろう。

また、PayPay株式会社は、ソフトバンクグループ50%、ソフトバンク株式会社25%、Yahoo! JAPAN25%という出資構成で後発ながらも、日本ではQRコード決済事業の実質トップランナーとなっている。スプリント(3.2兆円)もTモバイルとの合併後には、米ケーブル最大手のコムキャストとの合併というオプションもリークされている。そうコムキャストはIOCの五輪開催に2032年にまで影響を持つNBCの親会社でもある。

株式売却の質問に関して、『タイミング、スケール、方法論をよく考えるべきである』と孫正義は答えた。

どこの株式をどの市場で、どのタイミングで、どれだけのスケールで、どんな方法で?このやり取りは孫正義が得意とする『マネジメントゲーム』で何百回、いや、何千、何万に及ぶ『意思決定』でソフトバンクの創業当初から鍛えたきたスキルなのである。

■ソニーの開発した『マネジメントゲーム』をこよなく愛する孫正義

出典:MGオンライン
出典:MGオンライン

「仙台で3.5で3つ、札幌で3.2で2つ、広告と研究開発を使って…」というようなやり取りが『マネジメントゲーム』ではおこなわれている。短時間で経営の意思決定を高めるトレーニングツールとしてである。もちろん、会計知識というよりも、市場変化に迅速に判断できるからである。そして、ソフトバンクでは、ソニー版とは違う独自ルールで運用されている。

□孫社長は、ソフトバンク創業直前にマネジメントゲームMGと出合い「強烈な勉強になった」と振り返っている。そして現在は、盛田氏同様に後継者育成のツールの一つとして期待しているようだ。しかも、マネジメント・カレッジとライセンス契約を結び、孫社長独自のルールも導入しているのだ。

□マネジメントゲームMGは、ソフトバンクやグループ会社の人材教育において、さまざまな場面で登場する。たとえば、孫社長の後継者発掘・育成・見極めを目的とした「ソフトバンクアカデミア」や、新入社員研修、新任課長研修などでも取り入れられている。

出典:孫正義社長とソフトバンク社員が“ゲーム”に熱中する理由

□第一次オイルショックが日本経済を揺るがした1970年代の前半、ベンチャー企業の草分けでもあるソニー株式会社の一角で、「マネジメントゲームMG」という名のユニークな社員教育プログラムが誕生しました。開発に携わったのは、エンジニア(技術者)と管理屋、人事屋のメンバーたち数名。目指したのは、経営に関心の薄いエンジニアにマネジメントのノウハウを、短期間で楽しく効果的に身につけさせることでした。経営を「自分事」として実感しながら、現場に直結した経営知識や計数感覚を身につけられないか、この思いに対する回答が「マネジメントゲームMG」(略称MG)でした。

出典:マネジメントゲーム(MG:Management Game)の歴史

そう、ソフトバンクグループの保有の株式から、4.5兆円を4四半期かけて調達し、2兆円の自社株をどのタイミングで行使するのかというまさに最高値で勝負する『マネジメントゲーム』といえるだろう。

■エリオット3% VS 孫正義22%の『差』

出典:ソフトバンクG
出典:ソフトバンクG

おそらくエリオットは第4番目の大株主だが、2019年9月末の『ソフトバンクGの大株主の状況』では現れていない。

□エリオットは有力アクティビストとして知られ2月にSBG株を約3%取得したことが明らかになっていた。エリオットはSBG株を「世界で最も過小評価されている銘柄」と指摘し、2兆円規模の自社株買いを同社に求めていた。

出典:エリオット、ソフトバンクGの追加自社株買いに期待

今回の自社株買いの方法論は、物言う株主エリオットの提案とも似ている。しかし、3%と22%と、圧倒的な7倍もの株の保有数を誇る。

■『マネジメントゲーム』で学んだ『SVFゲーム』の儲けのカラクリ

出典:ソフトバンクG
出典:ソフトバンクG

前出の『マネジメントゲーム』の思考の仕組みと似ている

出典:ソフトバンクG
出典:ソフトバンクG

さらにここに『SVFゲーム』の儲けのカラクリがある。

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1961年神戸市生まれ。ワインの企画・調査・販売などのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の編集とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送局「KandaNewsNetwork」を運営開始。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を兼任後、ソーシャルメディア全般の事業計画立案、コンサルティング、教育、講演、執筆、政治、ライブストリーム、活動などをおこなう。メディア出演、コンサル、取材、執筆依頼 などは 070 5589 3604 まで

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