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エスカレーターの片側立ちの人たちへ!あなたが一歩反対側へ立つだけで日本は変わる!

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
千代田区永田町のエスカレーター左側立ち 出典:筆者

KNNポール神田です。

エスカレーター乗り方改革のポスターの前で左側に行列する人たち JR東京駅 出典:筆者
エスカレーター乗り方改革のポスターの前で左側に行列する人たち JR東京駅 出典:筆者

日本に帰国した時に、一番不思議に思うのが、エスカレーターの片側立ちで、右側を急ぐ人のためにわざわざ、空けている光景だ。どう考えてみても、エスカレーターの輸送能力の1/2しか発揮されていない事は、小学生でも理解できる。しかも、『エスカレーター乗り方改革』のポスターの前で、右側はガラガラで、左側がエスカレーターを乗る前から行列になっている。歩くのが面倒だから左側という選択肢は理解できるが、右側に立とうとするメンタリティーは誰も持ち合わせていない。なぜなんだろう?

歩かず立ち止まる の啓蒙キャンペーン 出典:JR東日本
歩かず立ち止まる の啓蒙キャンペーン 出典:JR東日本

■急いでいる人のために、道を譲るのは日本人の美徳なのか?

広い道路や、選択肢がたくさんある場所であるならば、人に道を譲るのはとても良いことだ。しかし、エスカレーターは道とは違う。エスカレーターは2人が並列で並んだほうが輸送能力は最大化でき、一番効率的に設計されている。片側に、いつ、くるかもわからない『エスカレーター駆け上がる派』のために、常に片側を空けるほど非効率なことはない。混雑しているのにわざわざ、エスカレーターの輸送能力を1/2にする必要はないと誰もが考える。しかも、いつしか、この片側立ちがなんとなく社会の『マナー』のように浸透してきてしまった。

□「特にエスカレーターの片側を誰も使わずに空けておいたままにしておくと、渋滞が起きやすくなる」。渋滞学の権威で東京大学・先端科学技術研究センター教授の西成活裕さんはこう弊害を指摘する。

□通常の1段空けで使っても、両側立ちならば輸送量が毎秒1.25人にまで高まる。さらに無理をして1段も空けない状態で使えば輸送量は一気に毎秒2.5人に増える。もし、これが実現できれば、平地での群集の最大流量の毎秒1.4人を大きく上回る。

□エスカレーターの運行速度は毎秒50センチ前後。もし利用者が片側だけに立ち、もう一方の片側はまったく利用せず、通常のように1段空けて乗った場合、エスカレーターの輸送量は毎秒0.625人になる。西成さんによると「平地での群集の最大流量は毎秒1.4人」なので、混雑時にはエスカレーターの乗り口に最大で毎秒1.4人のペースで押し寄せてくる群集に対して、輸送量がまったく追いつかない計算になる。

出典:エスカレーター、なぜ両側立ちは普及しないのか?

エスカレーター片側渋滞の構造 出典:Cheddar
エスカレーター片側渋滞の構造 出典:Cheddar

■エスカレーターを駆け上がる派は、本当にトクをしているのか?

たとえ、常に駆け上がる人が途切れずにいたとしても、1.5倍のスピードで駆け上がれていないので輸送能力の総和量が、150%を超えることは絶対にない。

一分あたりの輸送量の差 出典:The Telegraph
一分あたりの輸送量の差 出典:The Telegraph

エスカレーターに両側に立てば1分あたり113人 片側だと最大でも81人 両側100%のパフォーマンスが片側にすると71.6%にまで落ちている…。片側立ち実験The Telegraph

筆者の科学的エビデンスではないが、臨床実験で、同じ場所へ行くのに、一緒に家を出た妊婦の奥さんとどちらが早く目的地につくか3回競ってみた。

妊婦の奥さんはエスカレーターは左で立ち止まる。妊婦なので通路はゆっくり歩く。一方、筆者は右側のエスカレーターを全速力で駆け上がる…歩道も1.3倍くらいの競歩なみにカツカツと歩く…。この実験をおこなった結果。5分ほど早くつけるのは、3回に1回。エスカレーターを全力で駆け上がったとしても乗り換えなどで、一本早く目的地につける確率は3回に一回程度の偶然でしかない。他の2回は結局は電車の乗り換えの待ち時間で、走った割りに、駆け上がった割りに合わない同着であった。

これは、たまたまな実験なので科学的とは言えないが、エスカレータを駆け上がった程度では、結果としての到達時間、全体にはインパクトを与える可能性は高くないということを言いたいのだ。あの立ち止まっている時間を最小化したいという直感的な『自分は忙しい脳』を満足はさせても結果に通じない。それを証拠に、『エスカレーター駆け上がる派』のほとんどがエスカレーターを駆け上がったのに、その後は普通に歩いている。忙しいのならば、本当はそこでも今度は、『歩道を駆け走る派』にならなければならないのではないだろうか?

■『エスカレーター駆け上がる派』は、時間管理できていない人

トレーニング効果を考えるならば、エスカレーターを駆け上るよりも階段を駆け上るほうが、筋トレ効果は絶対に高いだろう。本当に、目的地に早く着きたければ、エスカレーターを駆け上るよりも、業務の段取りをよくして、家を3分間、早く出たほうが良い。会社では、会議を早めに切り上げれば良い。コーヒー飲む時間を半分にすれば良い。つまり、エスカレーターを駆け上がらないと行けない人は、自分の時間管理や自己管理ができていない人である可能性が高い。英国紳士は絶対に走らない。走る大人は恥ずかしいからだ。ゆとりを持って行動できているスマートな人には走る必要などどこにもない。

■エスカレーターに反対側に乗る人が増える社会へ

一方、エスカレーターの反対側を空けてしまう人の心理はどうだろうか?後ろから急いでくる人とのトラブルを避けたいというのが大半ではないだろうか?そんなことでもめるくらいならば、おとなしく左で立っていたほうが良いという判断で、生産能力を半分にする運動に加担してしまっている。たまたま、そういう人がいるのは良い。しかし、公式見解でエスカレーターの歩行が危険であることは立証されているし、ポスターで啓蒙まではじめて、これだけ議論されながらも、エスカレーターの片側を空けてしまうのか?

■勇気を出して、反対側に立ってみよう!

エスカレーターの反対側にわざわざ立って、波風を起こしたくないと考える人が99%いようが、筆者はわざわざ反対側に立つようにしている。後ろからクレームがあるのは実際には1割程度だ。その1割しかないクレームに対応するだけで、社会の景色は自分のアクションで大きく変わる。

小さな事だが、1%の人が反対側にアクションを起こせば、クレーム率は0.1%だ。0.1%のリスクを侵すだけで、50%強の輸送能力しかないエスカレーターが、特に朝のラッシュ時には、100%へと変化するのだ。

あの永田町の反対側だけが行列している光景は、日本の景気停滞の光景とまったく一緒だ。国や政治の問題ではなく、国民ひとりひとりが、現在の景気を変えようとしない、ことなかれで、なんとかやれているなら現状維持という姿勢で、ずっーーーーーと、横ばい生活が染み込んでしまっている。

ここまで読んだ人は、だまされたと思って、今から勇気を出して、反対側に立ってみよう!。クレームといっても突然、殴りかかる人もいない。あるとしても『私は忙しいのに…』という自分勝手な論理でしかない。

忙しいと言う妄想癖のような人を諭してあげるべきだ。忙しい人のために全体の効率を落とす理由が筆者にはまったく理解できない。

■立ち止まられて文句を行ってくる人対策

しかしながら、1%くらいは、絡んでくる輩もいる、

そこで大事なのは、正しい事を行っているという毅然とした態度だ。

『エスカレーターで歩くのは危険なので…知らないのですか?』を繰り返せばよい。その間にエスカレーターは到着する。…それでも、なおも文句を言ってくる人には、『あれ?あなたは、忙しいのではなかったのですか?』と質問する。そう、クレーマーの『エスカレーター駆け上がる派』は文句は言えるけれども、質問に答える論理的な根拠を持っていないのが大半だ。

そして、1割り程度のクレームを言う人の後ろの列を見てみよう。ぎっちりと2列につまった素晴らしい光景が見えるはずだ。筆者は、いつも右で立ち止まり、1%の物議を醸しているが、そのうち後ろは両方レーンが完成し、2倍の輸送能力を取り戻し、生産性を上げる結果を生んでいる。

自分が一歩反対側へ歩みだすだけで両側通行となる JR新宿駅 出典:筆者
自分が一歩反対側へ歩みだすだけで両側通行となる JR新宿駅 出典:筆者

結果がすべてだ。『エスカレーター駆け上がる派』『エスカレーター駆け降りる派』の人たちも前が詰まれば、必ず服従して立ち止まるのだ。空いているから駆け上るのだ。

そう、あなたの勇気は、あなたのメンタルをも同時に強化してくれる。

最初はとても怖いけれども、ボクもそうだった。しかし、一度やってしまえば、こんな簡単なことがどうして今までできなかったのだろうと考えるくらい簡単なことだった。こんな小さな改革の経験をみんなが機会損失にしてしまっている。

日本国民が、おかしいと思った事をそのままさらっと受け流すのではなく多少のリスクは背負っても、全体の効率化と合理化がはかれるのであれば、勇気を振り絞って、アクションを取らなければならない。

そうしないといつまでも、この国はエスカレーターの片方分の発展しかできないままなのだ。

さぁ!今日から、一歩反対側へシフトできる、ファーストペンギンになろう!

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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