Yahoo!ニュース

#PayPay ロス』たった10日間の100億円祭りで終わってしまうのか?

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
出典:PayPayウェブサイト

KNNポール神田です。

ま!、まさかの、PayPayの『100億円あげちゃうキャンペーン』が、なんとたったの10日間で終了してしまった。

2018年12月4日(火曜日)から12月13日(木曜日)のたったの10日間で、100億円を使い果たしてしまったのだ…。1日あたり平均10億円の還元がおこなわれたこととなる。

せっかく、わかりにくいキャンペーンがやっと認知されてきた頃だった。

https://news.yahoo.co.jp/byline/kandatoshiaki/20181203-00106342/

2019年の3月31日までのキャンペーン期間にかかわらず、100億円の還元に達してしまったという…。

https://paypay.ne.jp/promo/10billion-campaign/

今後も新たなキャンペーンの実施を予定しております。

詳細は、決まり次第ご案内します。

この言葉だけが虚しくみえる…。突然の終了に…唖然としてしまった方も多いはずだ…。これから買おうと思っていた人も多いはずだ。そして、新たなキャンペーンとはなんなんだろう?…。

1日50億円、10日間で最大500億円のPayPayの経済効果

ここで『100億円 20%還元』という数字のもたらした効果を分析してみたい。単純に100億円を20%還元だけで使うと、500億円の売上を加盟店は達成したこととなる。また、100億円を、10万円までの全額還元で換算すると最大10万人に還元できる。これらの組み合わせによるキャンペーンだった。では、このキャンペーンでいったい何人のユーザーを獲得できたのだろうか?前代未聞の100億円のバラまきキャンペーンは、あっけなく終了してしまった。今日、2018年12月14日からPayPayを使おうというモチベーションは、まったくなくなってしまった…。また、もっと買いに行けばよかったという後悔の念がよぎる。

500億円はビックカメラで37.5日分、ヤマダ電機で13.3日分の売上 

ビックカメラ単体の年商は、4,875億円(2018年)だ。1日あたり13.3億円

ヤマダ電機単体の年商は、1兆3,656億円(2017年)だ。1日あたり37.4億円だ。

PayPayの売上にみる経済効果500億円売上は、ビックカメラ単体の売上 37.5日分、ヤマダ電機単体の売上 13.3日分となる。それらがたったの10日間で終わったものだから、特に量販店はウハウハだったのではないだろうか?

なによりも、PayPayを通じて、最大500億円のキャッシュが市場に流通したのだ。それは加盟店全体の売上を10日間で跳ね上げたことだろう。

2019年1月10日(木曜日)怒涛のPayPay100億円の還元日

そして、一番大事なことは、これから起きることだ…。

PayPayのキャンペーンで加盟店に、お客が押し寄せたが、実はこれはまったく前哨戦なのである。実際の売上を支えていたのは、まだ還元が1円もなされていないユーザーの財布なのだ。そして、20%の還元や全額還元の100億円がユーザーの手元に戻ってくるのが、2019年1月10日木曜日だ。これは何を意味しているのか?ユーザーは、PayPayで使えるお店でこのPayPayという名の相場がまったく変動しない『PayPay通貨』を使うことになるのだ。特に量販店で高額商品を買った人は、20%還元を得られ、全額還元の人は再度その全額分を『PayPayの加盟店のみ』で使うこととなるだろう。いわば、正月明けのお年玉となることだろう。

そして、加盟店を獲得するのにこれほど美味しいハナシはない。100億円が降り注がれるというのだ。そう、この『100億円あげますキャンペーン』の本意は、ユーザーにではなく、加盟店に対してだったのだ。

PayPayの営業部隊は、この10日間の大成功を持って、加盟店獲得に拍車をかけることだろう。ソフトバンクとヤフーグループのQR決済に覇権を握られることを拒絶していた大手チェーンといえども、売上が降り注ぐ1月10日(木曜日)の怒涛の100億円の獲得チャンスには乗り出したくなることだろう。そう、加盟店にならないことには、まったくおこぼれにあずかれないのだ。

PayPayのキャンペーンの予測 ソフトバンクの上場は12月19日(水曜日)

ソフトバンクの上場日(IPO)は、2018年12月19日(水曜日)。そして申込み締め切り日が本日だ。サラリーマンのボーナスもこれからのところも多い。クリスマス商戦がスタート。しかしPayPayは終了…。いやいや、そんなことはない。上場は資金調達のためにおこなうものだ。PayPayの第2弾のキャンペーンを発表するには好都合だ。PayPayのティザーキャンペーンを打つだけでも投資家にとっては好材料と映ることだろう。

そうすると、12月19日の前日の18日や17日あたりにはなにか第二弾があってもおかしくない。それまでに大手の加盟店をさらに発表できれば、大ブームとなることだろう。クルマやバイクが20%還元で買えるなんてこともありだろう。

100億円の還元で、最大500億円もの市場売上が10日間で終わったとすると、第二弾はもっと速くなることだろう。そう、また同じ100億円では、瞬殺でパニックになるほどだ。たとえば、20%還元で500億円を投入すると市場売上は最大2500億円となる。現在の5倍の規模だ。すると50日は持たないまでも、30日間、つまり一ヶ月は持つ。そして、還元日を翌月の2月10日とすると、それまで500億円の原資は必要としない。上場で得られた資金を投入しても間に合う。これは、リアルなオフラインの加盟店をどれだけ短期に獲得するかの時間を買うための激しいレースなのだ。

怒涛のスマートフォン決済市場の覇権争い

既存参入組だけでも『LINE Pay』『ORIGAMI Pay』『楽天Pay』『d払い』『amazon pay』らが存在し、さらに来年2019年には、怒涛の参入組がある…。『ゆうちょペイ』『MUFGウォレット』『セブンペイ』『merpay』などだ…。

筆者はこの10日間、コンビニエンスストアは、PayPayの使えるファミリーマートしか利用していない。

コンビニのように周りにいくらでも店舗があり、価格競争力がないところでの20%の還元力は大きい。もしも、この期間が長く続けば、セブンイレブンやローソンの売上はボディブローのように効いてくることだろう。実際、ローソンは、Rakuten Payや LINE Payなども展開なので、PayPayに陥落しやすいだろう。セブンイレブンは自前で築きたいところだが自社のオムニチャネルだけでは成功しているとは言い難い。『セブンペイ』もあるが、ここでガッツリとソフトバンクとヤフーと組むという座組もありだと思う。また、なんといってもイトーヨーカドーという大型スーパーを抱えていればPayPayの3年間は手数料不要という撒き餌もかなり魅力的な施策に映るだろう。ファミリーマートとドン・キホーテ、さらにユニーも資本関係ができているのでPayPayでの可能性は少なくないだろう。新たなキャンペーンには新たなサプライズな加盟店が必要なのだ。第二のビックカメラやヤマダ電機クラスが参入することによって、さらに大きな市場を制することができる。また、『ORIGAMI』では2018年12月31日まで吉野家の牛丼並盛(1杯 380円)が半額相当になるキャンペーンを行っている。PayPayロスを紛らわすにはありだろう。どれだけ知名度のある加盟店を獲得するかによってこの日本の決済市場の覇者が決まるのである。企業の系列によってそれらは分かれるのだろうが、コンビニごとにカードがたくさんあるよりも、『ウイナーテイクスオール』の総取りのほうがエンドユーザーにとっては店舗ごとによってQR決済を使いわける面倒さはなくなる。

リアル店舗だけではない『個人間送金』の世界

スマートフォンのソフトバンクと、ネット販売のヤフーショッピングを抱え、さらに、リアル店舗を抑えることがPayPay最大の戦略だ。そして、何よりも個人間送金が簡単にできてしまうことにも注目しなければならない。

筆者のPayPayのQRバーコードを公開するだけでも、誰でも簡単に読み取り、送金することができた。

今までの『送金』の常識を疑うほどだ。さらに銀行間での送金手数料に、自分のお金ですらATMで引き出したり、預金するのに手数料を取られるという空気抵抗の多いお金が個人間で気軽にやり取りができる。これはもうある意味、日本円で担保された価値の変わらない『仮想通貨』ともいえるのかもしれない。そこでは、何よりもCtoCの『フリマ』プラットフォームの『メルカリ』の『merpay』の存在が気になる。一年以上も前に発足し、すでに何もプロダクトを発表してはいないが、数百人レベルの採用と、『メルペイコネクト』というBtoBの加盟店開発会社も立ち上げている。PayPayの大きなキャンペーンに度肝をぬかれると同時に、用意周到だった計画を1月10日の100億円還元がバラまかれる前に、なんらかの施策をmerpayが打ちだしてくることは容易に予測しやすい。『LINE Pay』も『LINE Payでわりかん』キャンペーンで1万円を5,000人に残高還元している。そう、この激しい『QR決済戦争』はPayPayの将来利益を目論んでの焦土作戦で激しさを増し続ける。

政府のキャッシュレス推進にこのPayPay方式はありだ!1兆5000億円ものキャッシュ流通

今回のPayPayの100億円キャンペーンは、政府に一番勉強してもらいたい。キャッシュレスを推進するのに3,000億円の予算を見込んでいるならば、PayPay方式の20%をキャッシュレス還元にすると、1兆5000億円ものキャッシュが市場に潤うのだ。すると一気に日本は、キャッシュレス社会を実現することができ、景気も今までのバラマキよりもリアル店舗全体に流布することができ、消費を喚起することができる。そして、これらの3000億円が再流通すると総額1兆8000億円もの景気対策になるのだ。消費税を10%にあげる事よりも、20%OFFで買い続けることができたほうが短期的でも、圧倒的な景気対策になることだろう。一度普及したキャッシュレスは、日本のお金をもっと流通しやすくしてくれることだろう。

いずれにしても、PayPayのキャンペーンは早期に第二弾があると考えられる。これでおしまいということは決してないだろう。なので、それまでは、他の方式も含めて、私たちは、キャッシュレスの経験値をあげておくべきだろう。加盟店が増え、新たな施策で新年を迎えられることを望む。そして、新規参入組はこの現状を打破するさらなる焦土作戦で市場を活性化してほしいものだ。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

神田敏晶の最近の記事