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ハンコのいらない社会を実現できるか?ブロックチェーン技術が生み出す社会

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
(写真:アフロ)

KNNポール神田です。

(茨木)県庁では年間26万~27万件の決裁事務があり、昨年度の電子決裁率は11・8%にとどまった。電子決裁のシステムは以前からあったが実施率が低かったのは、「公務員特有の文書主義が原因」(担当者)という。

 しかし、IT企業出身の大井川和彦知事が昨年9月に就任し、4月から電子決裁による作業効率化を高めるよう指示。その結果、7月分の電子決裁率は99・1%を達成した。残り0・9%(約200件)を分析したところ、いずれも今後は電子決裁が可能だと確認できたという。

出典:ハンコよさらば! 茨城県庁の決裁、ほぼ100%電子化

ハンコをなくすことによっての効率化

まずは役所の中でハンコを使用しないことによって、業務改善、効率アップ、文書管理、等々の効果が図れるだろう。

ハンコは上長から上長へ積み上げて信用を担保しているという超アナログの『ブロックチェーン技術』の集積だからだ。

であれば…、文書管理そのものをブロックチェーン技術によって、広範囲にわたって利用することにより、文章の秘匿性と安全性をも同時に担保することができる。ブロックチェーン技術を一躍有名にしたのが『仮想通貨』である。しかし、『仮想通貨』の交換所に対するハッキングによって、仮想通貨ばかりでなく、ブロックチェーン技術まで、セキュリティに問題があるように言われるがそれは間違いだ。

たとえ、仮想通貨の交換所が、ハッキングされても、ブロックチェーン技術は価値を担保している堅牢性に注目すべきなのだ。

このブロックチェーン技術を『仮想通貨』だけに利用するのはもったいないと思う。

むしろ、役所や行政の膨大な文書を、ブロックチェーン技術で担保すべきなのだ。

テレビを騒がせる、なくなった文書問題や、処分された文書問題も一瞬にしてなくなるのだ。

ブロックチェーン技術はヒトの雇用を奪うのか?

もちろんブロックチェーン技術によっての効率化は、不要な人材を必要とせず、人件費においてもかなり大胆な効率化が図れることだろう。

AI技術によって、職が奪われるとよく言われるが、AIが人間側を上回るよりも、ブロックチェーン技術のほうが実現性が早いと考えている。これは現在の仕組みを置き換えるだけで可能だからだ。ペーパーレスを考えれば、考えるほど、改ざんされにくい『ハンコ』の代替手段として一番有効だ。

何よりも紙をなくすことによっての、効率化、合理化は絶大だ。維持管理コストが極端に変わる。

地域行政のヒトの雇用のありかた

役所に出向いて、いつも感じることは、1番窓口から何番窓口へという、サービス受給者が非効率なベルトコンベアにのせられたかのように、文書を持ち回る時間とGDPに貢献しない時間の過ごし方だ。

地域行政がブロックチェーンで生み出した余剰なヒトの雇用は、顧客サービス側に配慮することによって、より良いパブリックサーバントとしてのサービスを提供できると思う。

地域住民により添う気持ちの意識の高い職員こそが、生き残れる地域行政にしなければならない。

ヒトが一番効率化、合理化を妨げているからだ。

地方の税収を効率よく分配するためにも、透明化し、いつでも公開できる状況を作るべきだ。

首長のたったひとりが変わるだけでこれだけの偉業を成すことができることを茨城県庁は見事に証明してくれた。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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