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メルカリの現金がダメなら、ヤフオクの収入印紙でどう?

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
ヤフオクで、現在も出品され続けている収入印紙

KNNポール神田です!

メルカリで出品された「現金」をクレジットカードで高値で買い取る社会現象は、いろんな社会の見えなかった闇を露見させている。

出品した男性「これが1万円札10枚を出品して、ここにSOLDと書かれていますが実際に12万円で落札されています」インターネットで現金が販売されているのを見て試しにやってみたという男性。すると出品から2日ほどで落札されたという。出品した男性「僕自身はお金がもうかりますし、その方(落札者)も一時かもしれないけど、助かるのであればいいんじゃないのかなと思います」

出典:ネットで現金販売 出品者語る利益の仕組み

メルカリ」では現金1万円が1万3000円で売買されるなど額面以上の価格での出品が相次ぎ、利用規約に違反するとして今月22日から流通する紙幣の出品を原則禁止とし、見つけ次第削除している。早急に現金を手に入れたい購入者がカードのショッピング枠で購入したものと見られ、メルカリはマネーロンダリングに繋がる恐れもあるとしている。また、ヤフーが経営するヤフオクでも昨日から流通する紙幣などの出品を禁止する措置を取っている。

出典:「メルカリ」 流通紙幣の出品禁止 フジテレビ FNNスピーク

当然、「現金」が出品され、その現金の価値に付加がついて売買されるというのは、古銭商などではありえるが、現在の流通している現金では考えにくい。また、換金の可能なチケットショップでも「買い取り」では、「現金」は扱わなかった「商材」である。しかし、メルカリのオークション方式ではなく、売価で契約が成立すれば、即送られてくるというスピーディーさも手伝い、CtoCの市場で貸金業に似たビジネスモデルがワークし始めたのだ。金融庁も貸金業法における「貸付け」に当たるのではないか?という懸念を声明している。しかし、法的に認めるには恐ろしく時間がかかる…。これが、「貸金」を業として行えば懲役10年となる。しかし、一般の素人が個人的に出品したとすると…司法判断が必要となる。幸い、事業者側がさっそく、「利用規約」で対応に動いてはいるが、次から次と換金しやすい商材は雨後のタケノコのように登場する。

残高ありのSUICA

メルカリで、現金がダメなら、残高ありののSUICAはどうだろうか?

SUICAの原価は500円だが、500円で駅で、実質買い取ってくれる。チャージの上限は2万円まで可能だ。つまり25,000円までのSUICAは販売できることなる。

メルカリで「SUICA 残高」で検索してみた。高額はないまでもSUICAは販売されている。現金とちがって、SUICAの換金は難しい。

オークションの収入印紙

収入印紙ならばチケットショップで換金できる。ヤフーオークションで「収入印紙」で検索してみると…額面よりも低めの出品は、チケットショップで換金するより意味がある。しかし、額面よりも高めの収入印紙もみかけることができる。これはメルカリで、現金を買う人たちと同じ構造が考えられる…。https://auctions.yahoo.co.jp/search/search;_ylt=A7dPFtQdsP9YS1EAgYFAPDh8?p=%E5%8F%8E%E5%85%A5%E5%8D%B0%E7%B4%99&aq=-1&oq=&x=0&y=0&fixed=0&ei=UTF-8&slider=0&tab_ex=commerce&auccat=

持たざるモノの知恵

チケットショップは、今まで潤沢に持っている人、あるいはサンクコストを切り捨てて現金化したい人が、チケットショップに「販売」に行き、市場価格よりも安く購買したい人がチケットショップで購買するというビジネスで成立していた。しかし、チケットショップは現金商売でクレジットカードで購買というモデルはなかったのだ。それは、セドリできる幅が狭くなるからだ。しかし、多重債務者にとっては、時間の延長のほうが問題であり、クレジットカードのキャッシングが無理だったとしても、ショッピング枠の与信があるかぎり、購買することができる。メルカリで現金を買う、チャージ付きのSUICAを買う、収入印紙を買う、ネットでの基本通貨はクレジットカードなので、すべて購買することができる。そうすることで、債務までの猶予時間を買っているのだ…。

バンザイする勇気

しかし、金策に溺れて走り回れば回るほど、あちらこちらでさらに、負債は成長するばかりなのだ。基本的に債務超過に至る人ほど、真面目だったりする。真面目だから真摯に取り組み、さらに負債を重ねてしまう。まずは、「自己破産」を恥じることなく、プライドをさておき、真剣に考えてみて欲しい。金策に溺れることによって、さらに負債を増やすことになっているならば、すぐにバンザイして逃れるべきだと思う。これによって、債務の期間を延長するのではなく、債務の時間を完全に止めることができる。バンザイした時の額が増えなければ再起のチャンスの可能性は上がる。

メルカリの現金がダメなら、ヤフオクの収入印紙でどう?と投げかけてみたが、困っている人はクレジットカードから換金できるものには、何でも手をつけてしまうからキリがない。法律のほうが、完全に遅れているのでいくらでも、クレジットカードで換金できる商材は次から次へと発明できてしまう。むしろ、それよりも、政府は、国民が多重債務に陥る傾向を少しでも早く、気づき、保護するべきだと思う。法的にも、多重債務者を生み出す土壌となるような、リボルビング払いなどは、特殊な事情以外は認めないという規制が必要だろう。

らくらくリボ払いとか、今ならボーナスポイント付きなどの宣伝コピーは犯罪行為かと思う。

早めのポジティブな意味での「自己破産」をまずは検討してから、資金繰りは考えるべきだ!

※あくまでもこれはヤフー個人の筆者の考えである。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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