フィリップ・ローズデールのセカンドライフは「ソーシャルVR」の世界へ

KNNポール神田です!

VRで世界がつながる「ソーシャルVR」の世界がやってくる?
VRで世界がつながる「ソーシャルVR」の世界がやってくる?

ローズデールは“VR進化論”ともいうべき道筋を語ってくれた。それは、VRは今後、3つの段階を経て社会に浸透していくというものだ。

第1段階は、オキュラスやソニーなどが開発を進める「ゲーム」。第2段階は、リバー・スタジオが取り組んでいるような旅行や音楽、スポーツなどの「映像体験」。そして第3段階は、まさにローズデールらが作ろうとしている「ソーシャルVR」だ。いずれVRが広まれば、仕事や生活、趣味などの大部分が仮想世界で展開されるようになるのだという。

出典:ゲームや映像体験の次は「ソーシャルVR」

リンデンラボ社のセカンドライフ(SecondLife)を覚えているだろうか?3D空間にアバターを住まわせ、ランドという土地をリンデンドルという仮想通貨で売買しながら独自の空間をつくるメタヴァース(仮想世界)を創り上がる。有名企業も多数参入し、CGによる仮想の世界観を広げただけでなく、さまざまなコスプレ販売から振る舞いをさせる電子上のプログラムを売買できるというプラットフォームも築いた。そんなリンデンラボ社を率いてきたのが、フィリップ・ローズデール氏だ。2007年をピークに、世界はTwitterなどの#ハッシュタグによるライトでスピーディーなコミュニケーションへとシフトしていった。

しかし、近年は、Ocurus社の隆盛とともに、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)の革命が起き、再びVRが現実性をもちはじめている。単なるCG空間だけでなく、新たなコンテンツやゲームプラットフォームとしての価値が創造されつつある。SecondLifeもVRバージョンのパイロット版を作り、アバターになって眺めるのではなく、アバターとして360度、CGの中に没入する感覚を提供している。そこに名乗りをあげたのが、フィリップ・ローズデール氏だ。VRの第三フェーズとしての、「ソーシャルVR」の概念だ。

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現在、MacとWindowsのアルファ版がダウンロードできるので、ダウンロードしてみた。しかし、誰もいない宇宙空間にひとりぼっちだ。しかも、簡素なキャラクターのみ。しかし、デベロッパーたちが、自らのサーバーを立ち上げ、ホストするという世界観はまるで、インターネットの黎明期のヤフーが「ジェリーのWWWガイド」のようでもあり、SecondLifeの初期の頃を彷彿させてくれる。素人には何をどうすればよいのかさっぱりわからない世界だ。そうベータの前のアルファ版だ。

このVRの何もない宇宙からはじまる新たな世界
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VR新時代、2016年はVR元年となるのか?

電子書籍元年は毎年更新され、もはやいつが元年かわからなくなった。VRもそれに近いが、2016年はVR元年と呼べそうな期待感がある。Oculusが一般のコンスーマー用製品を発売するからだ。GoogleGlassのように開発社用に出荷すれど頓挫したプロジェクトもあるように、一般コンスーマー用品に最初のファーストペンギンたるアーリーアダプターがどのように評価するかによって変わる。また、SAMSUNGの「Gear VR」のようなスマホを装着し、安価で本格的な最新VRという選択肢もある。しかし、世界はテレビ関連業界を枢軸とした捏造された「3D」の世界に大いにだまされてきた。現在、3D映画ですらもう話題にならなくなっている。

それにもまして、だいのオトナが頭にガジェットを装着して、ノロノロ動いて、何かをしゃべり始めるのだ…。まさに「VRゾンビ」の図である。当人たちには、まるでこの世を逸脱した別世界でいろんなVRの旅をしているが、リアルで生身な人間のぬけがらは、飯櫃なVRゾンビでしかない。この飯櫃さを1万歩譲ったとしても、視覚と聴覚を離脱させる感覚に人類は、不思議なことにあっという間に慣れてしまうのだ。まるでそこに存在するかのような錯覚まで感じてしまう。他にもGoogleが出資する「AltspaceVR」や体験型の「River Studios」などが続々と名乗りを上げている。

会社に行かなくていい経済社会

「こんな計算をしたんだ。現在、もしブロードバンドに接続されている世界の一般家庭のパソコンすべてをハイ・フィデリティのソフトウェアでつなげたら、すでに地球の全陸地とほぼ同じ大きさの仮想世界を作り出すことができる。これが数年後には何倍もの大きさにもなる。仮想世界はいずれ現実世界を超えて、はるかに豊かな世界になることは間違いない」

出典:ゲームや映像体験の次は「ソーシャルVR」

フィリップ・ローズデールの仮想世界に対するアプローチは、Second Life時代と何ら変わっていない。しかし、違うのは、ユーザーが個々にサーバーを立てて広大で無限な「ソーシャルVR」の世界を築こうとしていることだ。会社で全員がヘッドマウントをしているのは滑稽だが、誰もいない自分の部屋でヘッドマウントをして会社にアクセスして会議をするのならばどうだろうか?音声やビデオ会議でもなく、まさにそこにいる感覚で会議ができるとすると、人と人が1箇所に集まるための膨大なコストとのトレードオフを考え始めるだろう。もしも、「ソーシャルVR」のほうが効率的で合理的だと証明することができれば、都心の一等地に何室も会議室を構え、大雪でも出勤しなければならないという状況は少なくとも知的生産に従事する人であれば変革してくる時代だと考えられる。

Ocurus社はご存知のように、Facebookの傘下の企業だ。当初のVRは、まず自然な没入感が売りのリーディングカンパニーとしてのOcurus社が牽引し、その周辺のポインティングデバイスなどが登場するだろう。「VRゾンビ」の姿がどれだけぶざまであっても、それで得られるベネフィットがあればトレードオフの関係は成り立つ。その後、そのぶさまさをできうる限りフォローする技術が登場するのだ。

人と人がリアルに会っているような気になるのは、同じ空気を共有しているからではなく、同じ時間と空間を共有しているからだ。そこには他のことができない縛りの空気が存在していることが重要だ。ソーシャルVRはそんな空気感をアバターで紡ぐことができそうな気配を醸し出している。それこそがfacebookが次に狙う世界観なのだろう。

VRに身を投ずる事が一番コストが安く、仕事をしたりリフレッシュできるツールになりそうなのが気になる。便利と合理さの中で人間としての美意識との闘いが始まる。